ひとしきり医師の話を聞いて

母の病室に案内された。



母は目を瞑り

点滴をされていた。



そして口から

「ぷっ、ぷっ、ぷっ」と

言っているように聞こえた。



その母の様子を見た途端妹が



「母はいつからこの状態に

なったのですか?!」




今まで冷静に見えたのに

明らかに動揺して

慌てたように見えた。




そう言えばずっと前に

妹から聞いた話しを思い出した。





妹は以前勤めていた病院で

何百人の方の死と向き合ってきた。





「意識が無くなり、口から

ぷっ、ぷっという呼吸になる

私達は『ぷっぷっ呼吸』と

呼んでいる」




「その症状が出たら

もう死期が近い証拠なの

危篤状態だよね。」





『ぷっぷっ呼吸』全く

ひねりの無いセンスない

呼び方だなぁと

聞いていたのを思い出したが




わたしは妙に冷静に

受け止めていた。




母ならそんな状態も

乗り越えて奇跡の回復が

出来ると

この時も信じていた。