病院に着くと

コロナ禍で面会は出来ない

と言われていたのに




受付で名前を言うと

直ぐに血液内科病棟に

案内してもらえた。




ナースステーションで

名前を名乗ると

小さな、休憩室だろうか

案内されて




部屋で医師が来るのを

待つように言われた




しばらくして医師が

神妙な顔つきで現れた。




そして受け入れ難い話しを

始めた。




「お母さんは白血病だけではなく

何かに感染しており

それはかなり悪い状況です。

しかしもう何に感染しているのか

調べるにも体力が持たないと

思われます。





今朝方、ケイレンを起こし

一時呼吸も止まりました

今は落ち着いてますが

痛みも感じず、意識も

有りません。





今日、明日が峠だと思います。

今のうちに会わせたい方が

いるのなら連絡した方がいい

でしょう。」




わたしは医師の言葉を

冷静に聞いていたが

全く受け入れられなかった。




どこか他人事のように聞いており

何を言っているのか

理解したくもなかった。




昨日の診断で自宅に

連れ帰ったら

余命1、2週間で

看取る覚悟をしなさいと




入院したら3ヶ月しか

入院出来ないから

その後は自宅近くの病院へ

転院先を探す話しをした

ばかりなのに




入院した翌日に呼び出され

今日、明日が峠って

この医師は何を言ってるのだろう。



話しが変わるにも程があると

わたしは心の中で

この医師に怒りをぶつけていた。




しかし妹とその旦那さんは

東京に居る姪や甥

母のお姉さんにも早く連絡を

しなければならないとか

話していた。




この後医師から

とんでもない無神経な言葉が

飛び出したが



妹や旦那さんは全く覚えて

いないと言っていた。



わたしはムッとして医師を

睨みつけたので

はっきり覚えている。



「お母さんは77才ですよね

77まで生きたなら

大往生

では

ないですか!」



うすら笑いまで

浮かべていた




意識が無いと言っても母は

まだ生きている。



まして大往生って人が決める

ものじゃ無いと思う。



本人が決めるのだ。



この無神経な医師の診断が

ただ、ただ当たらないでいて欲しいと

祈るような気持ちでいた。