再び電話が鳴り

悪い予感がした。



やはり病院からで

同じ看護師さんから



「お姉さんだけではなく

妹さんも一緒に来て下さい

朝方お母さんはケイレンを

起こし、呼吸も一時止まりました

今は落ち着いてますが

この後どうなるか

わからないので

出来るだけ早く病院に

来て下さい。」



なんだかさっきの電話より

内容が深刻になり

すぐに駆けつけなくては

いけないのは理解出来た




なのにわたしの口から出た

言葉は





「妹は今日から新しい職場で

すぐには行けないかも知れません」





それは本当だった

看護師の資格のある妹は

家の近所の病院に移る事になり

その出勤初日だった。





そんなこと言ってられない

状況なのは理解していたのに

なぜか言ってしまった。






この状況から逃げたかったのかも

知れない。






妹が新しく勤務した病院の

連絡先がわからなかったので

妹の旦那さんに連絡したら

すぐに連絡してくれたらしく






初出勤わずか2時間で帰宅し

妹から病院へ一緒に行くため

わたしはJRで移動し

そこに妹が迎えに来て

一緒に向かう事になった。






打ち合わせしたJR駅に着くと

妹の旦那さんも一緒に

駆けつけてくれていた。






車に乗り込んで病院へ

向かう道中

わたしは理解出来なかった

疑問を妹にぶつけた





「母さんがケイレン起こしたって

どういう事だろう?

なんでケイレンが起きたんだろう」





聞こえているはずの妹は

何も返事を返してはくれなかった。






この時

妹は一生懸命答えてくれようと

したらしいのだが

知識がある故に

ことの深刻さが理解出来て






言葉を発すると

泣いてしまいそうで

何も言えなかったらしい





後部座席で妹の表情が

見えなかったわたしは

そうとは知らず




ここを乗り切れば

母は回復し

あの時は大変だったよね

なんて




いつか笑い話に出来るのでは



とのんきなことを

考えていた。