入院が無くなり家に帰ると
母は疲れ切ったように
すぐにベットに横になった


病院から帰るエレベーターで
看護師さんに
「お昼ごはん何か食べて帰るの?」
と聞かれ


「ラーメン食べて帰ります。」
と母はようやく笑顔になった


「ラーメンいいですね、
美味しいラーメン食べていって下さい」
と看護師さんに言われたが


先週もラーメン食べたし
母は意識障害でお昼はラーメン
としか言わなくて


消化にも、栄養バランス的にも
他のものがいいだろうと
勝手にお蕎麦に変更してしまった


後で知ったがお蕎麦はあまり
消化には良くないらしく
お粥かうどんの方が良かったそうだ



そのせいかお蕎麦はほとんど食べず
早く帰りたがった



家に着いてから食欲の無い母に
好きなものなら食べるのではと
その日は好物を用意したが
何も口にせずに寝てしまった。



次の日も毎日
母の好きなものを
用意したが何を食べても
喜ぶことは無く
「不味い、不味い」が口ぐせの
ようになっていた


そんなことが何度か続いた
いつもなら病気と意識障害の
せいだと笑って受け流せるのに



その日はかなり自信を持って用意した
母の大好物のアボカドとマグロ
とお芋の煮物



いつもなら独り占めする勢いで
食べていたのに
ひと口食べてまた「不味い」と
箸を置いて全く食べなくなった





どうすれば良いのかわからなく
いつまでこんな状態なのか
先の見えない状況に
「不味いって言うな!」と
つい声を荒げてしまった



その時の母の困った顔が
忘れられない



あとで後悔して
二度とそんなことが起きないように
だけど自分を追い込んで
介護するわたしが
ダメにならないように




わたしはとってもよくやっている
頑張っていると自分を励まし




明日はきっと母が喜び
美味しく食事が出来て
元気になると信じて
眠りについた



だけどその次の日
ショッキングなことが起きた


続きはまた