日本で一般的な世界地図を見ると地図の中心に日本が描かれている。右側に北米と南米があり左側に欧州やアフリカ大陸が描かれてあるが、こんな地図が世界中で使われている訳が無いわけで。英米のロック・ミュージシャンは「こんな地図から食み出そうな、それこそ極東の地までよく来る気になるなあ。」と出不精の私は思うわけです。というわけで「実況録音盤選 第十幕」(LIVE IN JAPAN PT. 2)の始まりです。
ランナウェイズ「LIVE IN JAPAN」(1977)は同年6月に渋谷公会堂と東京厚生年金会館で行われたライブを収録。人気がある内に一儲けとでも思った関係者でもいたのか、6月のライブを8月にリリースするという早業で世に出た。というのも、おそらく来日中のメンバーの不仲というか不穏な空気を招聘元やレコード会社は察していたのであろう。来日中にベースのジャッキー・フォックスが脱退表明し、その後すぐにボーカルのシェリーも脱退するのだから。それでもテレビに出るほど人気はあったので金にはなるというわけで。このライブ盤はリアル・タイムでは英米では発売されなかった。同年10月にリリースされたスタジオ録音盤「WAITIN' FOR THE NIGHT」は新メンバーを加えた4人体制だったので、オリジナル・メンバーでのライブ盤が残されたのは良かったと思う。
スージー・クアトロ「LIVE AND KICKIN’」(1977)は同年6月の中野サンプラザと大阪厚生年金会館でのライブから選曲された2枚組LP。あれ、ランナウェイズと来日期間が被っていますよ。因みにランナウェイズは77年6月4日から12日までの日程で6回のコンサートを行い、スージーは何と5月27日から7月7日までの期間中に35公演も行っている。日本での所属レコード会社も違うので、バンド同士はともかくレコード会社はライバル心剥き出しで盛り上がったのではないだろうか、と想像するのも楽しい。スージーは74年から78年まで連続で来日し78年には日本で結婚式を挙げたくらいであるから、余程日本との相性が良かったのだろう。ただ、このアルバムも例によって英米ではリアル・タイムでの発売は無かった。
ウィルコ・ジョンスンとパイレーツの「LIVE IN JAPAN , 2000」(2001)は、共に2000年11月20日渋谷オンエア・イーストでのライブを収録。ジャケットの作りも統一感があり、これは両方揃えて一安心というか、神社で左右に置かれた狛犬がごとく二体ならぬ二枚で一組のライブ盤。パイレーツは1988年の日本公演もCD化されている。つい先日リリースされたような感じがするのに、今ではウィルコもミック・グリーンも鬼籍に入るとは。
レオン・ラッセル「LIVE IN JAPAN」(1974)は1973年11月8日の日本武道館公演を収録したLP。これも当初は日本のみのリリースであった。60年代後半から70年代半ばくらいまでのレオン・ラッセルは無双状態といっても過言でない働きと人気を誇っていた。そんな時期のライブが日本で録音されたのが驚きなら、日本のみの発売だったのも驚きである。しかもコンサートの全貌とはほど遠い1枚のLPでの発売。ブートレグだと別日ではあるが日本公演を完全収録したタイトルがあり、歴史を確認するのに実に役立つ。2011年のCD化で日本以外の国でのリリースが実現しボーナス・トラックとして何故か71年のライブが収録された。
エリック・クラプトン「JUST ONE NIGHT」(1980)は1979年12月3日の日本武道館公演を収録。流石にこれはリアル・タイムでワールド・ワイドに発売された。
2枚組LPに収録する時間の関係で実際のコンサート通りの曲順を若干いれかえてレコード化され、この日演奏された17曲中、『COUNTRY BOY』『KNOCKIN 'ON HEAVEN'S DOOR』『LAYLA』の3曲が外された。この時のクラプトン・バンドには元ヘッズ・ハンズ&フィートのアルバート・リーが参加しているため、彼特有のカントリー色溢れるギターを聴くことができる。コンサートでは、アルバートが同年リリースしたソロ・アルバム「HIDING」から2曲が取り上げられ、そのうちの1曲『SETTING ME UP』ではボーカルも披露。外された『COUNTRY BOY』も、79年の演奏を収録した数あるブートレグを聴くと実に楽しい演奏でこれはオフィシャル盤に是非とも収録して欲しかったものだ。まあ、1曲でも収録されただけましか。因みに『SETTING UP』はマーク・ノップラー作でダイアー・ストレイツの
デビュー・アルバムに収録されている。クラプトンにとってソロでは3作目のライブ盤だが
やっと長尺で聴くことができる盤が出たと当時のファンは嬉しく思ったことだろう。因みに
私は、このアルバムのジャケット写真を気に入っている。(マジで)
スコーピオンズ「TOKYO TAPES」(1978)は同年4月の中野サンプラザ公演を収録した
2枚組LP。「蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライブ」という素敵な邦題が付いていた。この盤は欧米でも同時リリースされたが、掲載写真のジャケットは日本のみでワールド・ワイドにリリースされた盤はステージの躍動感あふれるカットと「東京テープス」の手書き文字がいい感じの秀逸なデザインであった。しかし、私はこのジャケット・デザインも好きである。私の頭がおかしいのであればお許しいただきたいのだが、尖った蠍の尾と花弁、これは見事にセックスを表現していると思うのだ。ガンズン・ローゼスの時もそう思ったし。(笑)ご当地ソングではないが『荒城の月』を演奏しているのは日本公演ならではで、2015年リリースのDX盤ではもっと凄いのを聴くことができる。イエスは1973年の初来日公演で『さくら さくら』を唄ったし、キンクスも1982年の初来日の際に日本公演ならではの曲を歌った。こういうのはアーティスト側の好意を感じて何となく嬉しいものだ。オリジナル・ラインナップでの有終の美が記録された盤としても価値があるライブ盤である。
パブリック・イメージ・リミテッド「LIVE IN TOKYO」(1983)は同年7月に行われた中野サンプラザでのライブを収録した2枚組12インチ。私がリアル・タイムで買ったP.I.L.の
初めてのレコードである。高校生の私は「なんで12インチ2枚組なんだろう。9曲なら1枚のLPに収まるし安く買えたんじゃないのか。」なんてことを思ったものだ。今ならあの
「METAL BOX」の存在があって音質に拘ったジョン・ライドンが12インチにしたのだろうと思えるのだが、それとは別に逆に今なら「キース・レヴィンがいない。」とがっかりするのも事実。(笑)このライブを聴いて気に入った曲を調べるとそのほとんどがファースト・アルバムに収録されていることに気付き、このライブ盤を振り出しにP.I.L.のアルバムをリリース順に集めることになったのである。アフターピルというものは当時は無かったのである。ん?。
ベック・ボガート&アピス「LIVE IN JAPAN」(1973)は同年5月の大阪厚生年金会館での演奏を収録した2枚組LP。日本で企画され発売されたライブ盤で、これも当初は日本のみのリリースであった。ディープ・パープルの「LIVE IN JAPAN」もそうであったが、LPに
収録できる時間の関係上、実際のコンサートの曲順を入れ替えてのレコード化となったが、
2013年にリリースされた40周年記念盤で初めてコンサートで演奏された曲順通りの
並びでリリースされた。正確な曲順でリリースされたのは日本企画の40周年盤だけなので
おそらくマスターが日本保管だからこそ可能であった快挙といえる。パープルの場合は日本発案であるが、リリースの可否を決める事も含めた様々な権利がパープル側にあったので、
マスター・テープは持ち帰られているから、あちら都合で何とでもできた話なので。
ジョージ・ハリスン「LIVE IN JAPAN WITH ERIC CLAPTON AND BAND」(1992)は
91年12月に行われた公演から選曲された2枚組CD。同時に2枚組LPも収録曲数は同じ(19曲)でリリースされた。2004年にリリースされた「THE DARK HORSE YERAS
1976-1992」に収録されたDVDで日本公演の映像を綺麗な画質で数曲見ることが出来たので驚いたものだ。このライブ盤は口悪く言えば捏造だらけというか、後追いの人たちがこの盤のみしか知らなかったら歴史を誤って無意識に誤認する可能性だってある要注意盤である。この日本公演はジョージをサポートしたエリック・クラプトンが4曲ほどバンドと共に単独で歌い演奏したのだが、それが一切収録されていないのだから。そこで歴史を正しく知るためにブートレグの存在が重要な意味を持つのだ。それに、来日公演中のジョージは髭を生やしてなかったのに、ジャケットに描かれたジョージの顔には髭が描かれてある。(笑)これは、何の意図があるのだろう?。まあ、そんなことよりも1974年以来のツアーが日本で行われ形に残ったのだから、これはこれで喜ぶべきではある。私は昔から好きな娘に冷たくあたる照れ屋さんなのだ。(笑)
いやあ、20枚しか選べないって結構頭を悩ませることになって疲れるものだ。もし、ここでレジデンツとかデヴィアンツとか選んでアレやソレを選ばなかったら「本当にこれでいいの?。」と後で反省することになりそうだし。(笑)外タレとしてのアラン・メリルを選ばなかったことは「よくぞ我慢した。」と褒めていただきたい。有名なシカゴやU.K.やカーペンターズも候補には挙げていたが選ばなかった。今更だが、ジャズの盤は選んでいない。
と、いうわけで「実況録音盤選」も無事100枚を選び終わったのだが、諸兄姉の好きな盤が1枚でも多くあれば幸いである。で、ここでまた悪魔の囁きである。「お兄さん、もう少しいいでしょう?。私もあと1時間で終わりだから、この後・・・。」
そう、この後、「日本のロック(ポップスとかフォークと呼ばれた音も含む)」からも選ぶべきだろうということで、また暫く頭を悩ませることにした。後1時間したら、「お兄さん」から名前呼びに変わるそうなので。(笑)できれば下の名前で・・・。(バカ)
それでは次回「実況録音盤選 第十一幕」(日本のロック編 PT.1)で、またお会いしましょう。
幕間


































































































