人は、手にしていないものを欲しくなる生き物です。

今持っているものより、まだ持っていないものの方に心が向いてしまう。

けれど、今手にしているものも、かつては「どうしても欲しい」と願ったものだったはずです。


私たちは、それを手に入れた瞬間は確かに満足します。

でもその満足は長く続かず、また新しい欲望が顔を出します。

そして、次のものを追いかけ、手に入れ、一瞬満たされ、また次を求める――。

その繰り返しの中で、心はいつの間にか空っぽになっていきます。


本当は、もう十分に持っているはずなんです。

両手に抱えきれないほど、すでに多くのものを得てきたはずです。

それでも「足りない」と感じてしまうのは、欲望が尽きることがないからです。

欲望や快楽に支配されると、どれだけ手にしても満たされません。

それは、外側の刺激で内側の空洞を埋めようとしているからです。


けれど、そのスパイラルから抜け出す方法はあります。

まず、今の自分を静かに見つめること。

欲望が湧いたときに、一歩引いてみること。

「これは本当に必要なのか?」「私は何を埋めようとしているのか?」

そう問いかけてみることです。


見栄や競争心、周りからの評価に振り回されていないか。

同じ失望と満足のサイクルを繰り返していないか。

心のどこかで「もう欲しくない」と気づいているはずです。

それでも追いかけてしまうのは、習慣のように欲望が自動的に動いているからです。


だからこそ、静けさの中で自分を省みる時間が大切です。

何も足さず、何も奪わず、ただ心の奥にある本当の声を聴くこと。

そこには、すでに満ち足りた感覚があります。

人は本来、そんなに多くを必要としていないのです。


欲望を否定する必要はありません。

ただ、欲望に支配されず、自分が本当に望むものを選べる心を育てればいい。

その心は、静けさの中でしか育ちません。

外の世界ではなく、内側に目を向けたとき、初めて「もう十分だった」という感覚に触れられます。


私たちは、すでに多くを持っています。

足りないのではなく、見えていないだけ。

心が静かになれば、本当に大切なものはいつでも手の中にあります。


今日のこの瞬間から、欲望を追いかける生き方ではなく、

心の静けさと満ち足りた感覚を取り戻す生き方へ。

その選択は、誰にでもできるし、いつからでも始められます。


あなたはもう、十分に持っている。

そして、十分に満たされていいのです。