旅館見学、そして感じること | よねちゃんのつれづれ便り

旅館見学、そして感じること

今週月曜、熊本の山鹿市にある「旅館細川」という旅館のバリアフリールームを見に行った。

私自身、旅館を訪れるのは十数年ぶりであった。

これまでにも何度か個人旅行で旅館に泊まろうとした事もあったが、日本家屋の構造上、和室が多かったりして、車いすで利用するのが難しいため、予約の時点で断られたり、あきらめざるを得なかった。

その旅館は数年前から施設のバリアフリー化に取り組まれており、2年ほど前にバリアフリールームを作られたという。

部屋は12畳あり、ベットが2つあり、両方とも電動ベット。しかもベットとベットの間の幅が広く、移動しやすい。

部屋の中にあるトイレもドアを開けるのに要領と力がいるが、手すりも病院のトイレのように逆L字型になっていて、力も入れやすく、安定感もあり、非常呼出ボタンもひもを長くして、引っ張れば、反応するようになっていた。洗面台も電動車いすだとレバーの部分が当たり、奥まで入れない事が多いが、レバーが当たることなく、奥まで入る事が出来るので無理なく使う事が出来た。
トイレは部屋内だけでなく、客室のそばと車いす利用者用の家族風呂の洗面スペース横にもあった。

お風呂は車いす利用者でも使いやすいようにスロープがあったり、浴槽も足から身体をズルズルとずらしながら入っても大丈夫な高さだった。その他、床で足などをすりむかないように、マットが用意してあったり、シャワーチェアも置いてあった。他の家族風呂も見せて頂いたが、身体の不自由な人でも利用出来そうな感じだった。

会議室や宴会場も見せて頂き、普段は畳が敷いてあるのだが、車いすの人が使う時には取り外しが簡単に出来る畳を採用されているので、畳をはずせば、その下にジュータンが敷いてあるので、これなら車いすで動いても安心だし、用事が終わればまたすぐ畳に戻せるので便利だ。

食事をする場所も専用に作ってあり、テーブルの高さもちょうど良く、膝が当たることなく、きちんと奥まで入る事が出来た。(電動車いすに乗るようになってから気付いたのだが、レストランなどの多くのテーブルが高さ的に操作するレバーに当たってしまう事が多く、少し手前で止めねばならず、食べづらい。もう少し高いほうがいいかも…。手動の車いすなら問題ないかも知れないが。)また予約の時点で伝えておくと介護用食器なども用意して下さるそうだ。

車いす専用の出入口もあった。

本当に至れり尽くせりのもてなしだと感じた。

旅館のご主人にお話を伺うと「身体の不自由な人にも温泉に入ってもらいたい、旅を楽しんでもらいたい」という気持ちが伝わってきて、「身体の不自由な人が一人で泊まっても大丈夫なようにしている。だけど、利用者の声に耳を傾けて、出来るところから改造をしている。」とおっしゃった。

車いす利用者として本当にありがたい言葉だ。今でも試行錯誤していると言われるが。

「障害が重くても旅行に行きたい!」と思っている人は大勢いる。

一番大変なのは宿探しだ。以前は市販のホテルガイドを利用していた。今ではインターネットを利用するが、それほどヒットしない。

使い勝手は別として、バリアフリールームを設置しているホテルは増えた。ただホームページの客室の案内のところか料金のところを見ていかないと気付かない。トップページに格安プランの案内は大きく載っていても、「バリアフリールームあります」と大きく書いてあるところはあまり見た事がない。

大きく書いてあれば、とりあえず「問い合わせしてみようかな」と思うのだが。書いてあっても、比較的小さな字で申し訳なさそうな感じで表示しているところが多い。

利用する側としては、情報は出来るだけ多い方がいい。まだ口コミに頼っているような状況なのだから。旅行雑誌などにも、そういった情報も載せてほしい。

宿泊施設側もせっかくバリアフリールームを作ったのに利用されないのはもったいない。いくら政令で50室以上客室がある旅館やホテルはバリアフリールームを作る事が義務付けられたといっても、思ったほどまだ数は多くない。旅館や民宿になるとなおさらだ。

今が宿泊施設にとっては、アピールするチャンスだと思うのだが。

居酒屋などの飲食店にも同じような事が言える。

雑誌などに値段や場所や料理内容や何人収容出来るかは書かれていても、車いすで入る事が出来るトイレがあるかどうかまでは書かれていない事が多い。(当然といえば当然だが)

予約さえしていれば、入店拒否される事もないし、ちょっとした段差なら店員さんが手伝って下さる。

しかし、車いすで入る事が出来るトイレがある飲食店となるとまだ少ない。

車いす利用者にとっては、とても重要な問題なのだ。

だから集まる場所が固定されてくる。

雑誌やフリーペーパーなどにトイレ情報が載っていればありがたいのだが。

最後に「旅館細川」のホームページアドレスを書いておくので、参考にしてほしい。

http://www.yamagaonsen.com
(旅館の方の承諾を得て載せています。)