◎12/4「子ども・子育て 新システム」 シンポ
4日の「子ども・子育て 新システム」シンポ@御茶ノ水女子大に
参加してきました。
なかなか良いイベントでしたので、簡単にレポートします。
▼はじめに、
◎ 汐見稔幸さん 白梅女子大学長
・エデュカーレの対談で小宮山さんと話をしたら、
考えておられることが共感するものだったので、今回のイベントを
急きょ企画した。
会場の皆さんとの良い意見交換の場となることを願っている。
▼講演
◎小宮山洋子:厚生労働副大臣
・「子ども・子育て 新システム」は保育の量を増やすことによる
女性の就労が目的だという批判があるが、そうではない。
弱者切り捨てを懸念する意見もあるが、”すべての子どもたちに”という
「子ども・子育てビジョン」の理念は変わっておらず、障がい児を持つ親や
ひとり親も含めて社会で支えるという強い想いで進めている。
・チルドレン・ファースト、
すべての子どもに質の高い最良のものとしたい。
包括的・一元的なものとして考えている。
親の就労に拘らず、すべての子どもたちのための制度である。
施設型だけでなく、家庭での子育ても含めて考えていく
子どもの貧困解決も重要な問題と考えている
ひとり親、障がい、虐待など、弱者支援も明快にしていく
・なぜ急ぐかというと、政権が替わった時でないとできない。
(業界を代表する族議員が暗躍するようになると変えられない)
新システムはH23年国会で成立させて、H25年度から施行を予定
・ 質の低下を懸念する声もあるが、「必ず質を守る」ようにやっていく。
自治体の保育義務を法律で課すことも考える
(必要な子どもにサービス提供、支援、支払、基盤の整備、情報の提供、
家庭保育の利用など)
国の最低基準、保育士の処遇なども考えていく
・幼保一体化に関しては、5つの案を提示した
(案1)の「すべて子ども園」が理想だが、現実的には難しい
(案2)は現状の「認定こども園」と変わらない
(案5)の「幼稚園は今のまま」は趣旨と異なるのでこれはない。
ゆえに、以下のどちらかになりそうと思える
(案3)「子ども園」の新設・・・新たな法律が必要
(案4)「幼稚園及び保育所」の認可・・・両方の許可を取れば良い
幼保一体化に関しては、小学校の指導要領とも繋げていくようにしたい。
・全体としての考え方を「子ども指針」として纏めていく
・財源の問題に関しては
社会全体のこととして、国、地方、労使団体、など様々なステークホルダーで定めていく
税制改革を推進中であり、こちらも含めて必要なものを確保していく。
(家族関係予算がGDPの0.8%というのは先進国として恥ずかしい)
▼次にQ&A (Qのみ列挙)
Q.①すべての子どもとするなら、特別な支援、ひとり親、障がい児を
「給付のイメージ」の左側に入れるべきではないか?
② 保育所の規制緩和で、劣悪な保育所が増え死亡事故も起きている。
指定制度に問題がある。⇒3か月に一度ぐらい抜き打ちチェックすべき
③ 直接契約の他に自費契約、自由価格化は疑問。
介護制度でも問題がある。 混合診療もやってないのにおかしいのでは。
Q.学童保育をもっと強化すべき。
日本は制度して弱すぎる
親が申し込みをしない。
親が子に手を上げるのでシェルター替わりにする人もいる
ソーシャルワークをしっかりやるべき
コメント:
アメリカはアフタースクールが完備されている
韓国、放課後に学校を開放している。
Q.子どもの保育の空間的な質の確保が大切
数の確保が優先されて、質が低下する感がある
Q.財源確保に対して、政治の覚悟が足りないのではないか?
自民党時代の、企業優遇、高所得者優遇による減税をまだやっている。
民主党政権で変わることを期待したのに、期待外れ。
0.8%が低いと認識しているなら、どーんと確保すべき。
Q.保育資格がなくても、保育ママができるのは疑問。
専門性やモチベーションのない人も受講さえすれば認定される。
チェック機能はどうなっているのか?
Q.一時保育は母子の関係を崩すのでは?
中途半端な保育は害になる
コメント. ワークライフバランスをきちんとやらないとダメ。
このための予算を確保すべき。
▼討論
◎田中泰行園長 (練馬区向南幼稚園)
・拙速な制度改定は止めてほしい
財源がないとやれない。手当がつくまでダメ。
下手な制度ならやらないほうが良い。(幼稚園は乗れない)
・質の向上が課題
もっと良い空間にすべき
保育者の質の低下も問題 (子ども時代の遊び経験不足など)
・働きたいけど働けないお母さんをなんとかすべき
望んで専業主婦をやってるわけではない
日本の男たちはものすごく働いているので、主婦に頼るところも大きい
・この際、幼保、小学校の連携のところが大切
・地方は幼保一体でもよいと思う
・東京の幼稚園の82%以上が預かり保育を実施してる
⇒これを拡大すれば良いが、お金が必要
・保育所は、0,1,2歳を充実
・乳児保育の充実。
・病児をちゃんと見れるように。
⇒親がついていることが大切。
父親も仕事を休めるように (国の政策の問題)
◎井桁容子先生 (東京家政大学ナースリールーム)
・保育所をやみくもに増やすのは疑問(面積基準緩和など) ・・・質の確保が大切
そうは言いながらも、働いてる実績がないと保育所に入れないのも問題
・フィンランドでは「社会に大事にされた子どもは社会を大切にする」
⇔日本はそうなっていない
・大人の言うことを聞く子供だけ育てている
~大人に対する無力感を子どもは感じている
・子どもは大人の本気を見抜く
~子どもをほんとに温かく見れることが大切
・子どもの利益を守れないという感じる保育者が辞めていくのが現状。
とても残念。なんとかしたい。
・0~3歳の人間に金をかけるべき
・0~3歳は、自分で意見を言えない。
意見表明権⇒ 専門性の高い人が接することが必要
◎溝口義朗園長 (東京都認証保育園ウッディキッズ)
・保育園に入れなくて困っている人はほんとにたくさんいる
・フィンランド :保育所長は「自分の地域の子ども全体」を対象として捉えている
(日本では、自分の保育所の園児しか考えていない)
・保育所も幼稚園も、一つの法のもとに纏められるべき
・保育所は教育基本法の外。 教育はできない。
・幼稚園、保育園の文化を作り変えていけばよい
・やっていることは教育で同じこと
・学校教育法26条の、3歳から就学前を変えて、0~就学前にすればよい
・私たち保育者のインセンティブは金ではない
子どもと保護者の喜び、幸せだ!
・せっかくのチャンスなんだから、拙速でも変えていけばよい
このまま行ったら、100年後の日本はない。
・前向きに捉えて、やればよい。
⇒ できないなら、2011年クーデターを起こそうではないか!
▼纏めの意見
◎ 小宮山副大臣
・ 理想はあっても、まずできることをやるべき
今やらないでいつやるのか!
・ビジョンは持ちながら、とにかく進めていきたい
◎ 汐見さん
・日本の将来は危ういと思っている
・質を下げてまで数を増やそうとは思わない。
・その意味で、金と施策が大切
・子どもたちにどういう力を期待しているのか?が最も大切
そのためにどういうことをやるのか?がある
(戦後は「平和を求める子」とかがあった)
・「子ども指針」は”どういう子を育てるか”
本来これを議論すべきだが、順序が逆転している。
・『義務保育制度』を設けるべき
~親と社会が、子どもをいかせる。
・ 乳児保育ほど、子どもに対する専門性が必要とされる。
※ 石川県の『マイ保育園制度』は良い
妊娠中からしっかりケアさえる
母親は希望する保育園に登録してサポートしてもらえる
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/wg/kihon/k_2/pdf/ref5-9.pdf
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1313500.html
ということで、いろいろと考えさせる、とても価値のあるシンポでした。
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▼最後にレポーターの感想
◎ 小宮山副大臣のおっしゃることをもっともだが、
現実にどこまでできるのだろうか?
厚労省の子育て関係のH23年度概算要求をみても、
前年に対して、わずかな変化がほとんど。
政策コンテストの施策は目玉のはずだが・・・
やはり、政権の覚悟、本気度が問われます。
◎ 汐見先生、溝口園長、井桁先生のお話に共感するところが多かった。
(特に太字の部分)
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参加してきました。
なかなか良いイベントでしたので、簡単にレポートします。
▼はじめに、
◎ 汐見稔幸さん 白梅女子大学長
・エデュカーレの対談で小宮山さんと話をしたら、
考えておられることが共感するものだったので、今回のイベントを
急きょ企画した。
会場の皆さんとの良い意見交換の場となることを願っている。
▼講演
◎小宮山洋子:厚生労働副大臣
・「子ども・子育て 新システム」は保育の量を増やすことによる
女性の就労が目的だという批判があるが、そうではない。
弱者切り捨てを懸念する意見もあるが、”すべての子どもたちに”という
「子ども・子育てビジョン」の理念は変わっておらず、障がい児を持つ親や
ひとり親も含めて社会で支えるという強い想いで進めている。
・チルドレン・ファースト、
すべての子どもに質の高い最良のものとしたい。
包括的・一元的なものとして考えている。
親の就労に拘らず、すべての子どもたちのための制度である。
施設型だけでなく、家庭での子育ても含めて考えていく
子どもの貧困解決も重要な問題と考えている
ひとり親、障がい、虐待など、弱者支援も明快にしていく
・なぜ急ぐかというと、政権が替わった時でないとできない。
(業界を代表する族議員が暗躍するようになると変えられない)
新システムはH23年国会で成立させて、H25年度から施行を予定
・ 質の低下を懸念する声もあるが、「必ず質を守る」ようにやっていく。
自治体の保育義務を法律で課すことも考える
(必要な子どもにサービス提供、支援、支払、基盤の整備、情報の提供、
家庭保育の利用など)
国の最低基準、保育士の処遇なども考えていく
・幼保一体化に関しては、5つの案を提示した
(案1)の「すべて子ども園」が理想だが、現実的には難しい
(案2)は現状の「認定こども園」と変わらない
(案5)の「幼稚園は今のまま」は趣旨と異なるのでこれはない。
ゆえに、以下のどちらかになりそうと思える
(案3)「子ども園」の新設・・・新たな法律が必要
(案4)「幼稚園及び保育所」の認可・・・両方の許可を取れば良い
幼保一体化に関しては、小学校の指導要領とも繋げていくようにしたい。
・全体としての考え方を「子ども指針」として纏めていく
・財源の問題に関しては
社会全体のこととして、国、地方、労使団体、など様々なステークホルダーで定めていく
税制改革を推進中であり、こちらも含めて必要なものを確保していく。
(家族関係予算がGDPの0.8%というのは先進国として恥ずかしい)
▼次にQ&A (Qのみ列挙)
Q.①すべての子どもとするなら、特別な支援、ひとり親、障がい児を
「給付のイメージ」の左側に入れるべきではないか?
② 保育所の規制緩和で、劣悪な保育所が増え死亡事故も起きている。
指定制度に問題がある。⇒3か月に一度ぐらい抜き打ちチェックすべき
③ 直接契約の他に自費契約、自由価格化は疑問。
介護制度でも問題がある。 混合診療もやってないのにおかしいのでは。
Q.学童保育をもっと強化すべき。
日本は制度して弱すぎる
親が申し込みをしない。
親が子に手を上げるのでシェルター替わりにする人もいる
ソーシャルワークをしっかりやるべき
コメント:
アメリカはアフタースクールが完備されている
韓国、放課後に学校を開放している。
Q.子どもの保育の空間的な質の確保が大切
数の確保が優先されて、質が低下する感がある
Q.財源確保に対して、政治の覚悟が足りないのではないか?
自民党時代の、企業優遇、高所得者優遇による減税をまだやっている。
民主党政権で変わることを期待したのに、期待外れ。
0.8%が低いと認識しているなら、どーんと確保すべき。
Q.保育資格がなくても、保育ママができるのは疑問。
専門性やモチベーションのない人も受講さえすれば認定される。
チェック機能はどうなっているのか?
Q.一時保育は母子の関係を崩すのでは?
中途半端な保育は害になる
コメント. ワークライフバランスをきちんとやらないとダメ。
このための予算を確保すべき。
▼討論
◎田中泰行園長 (練馬区向南幼稚園)
・拙速な制度改定は止めてほしい
財源がないとやれない。手当がつくまでダメ。
下手な制度ならやらないほうが良い。(幼稚園は乗れない)
・質の向上が課題
もっと良い空間にすべき
保育者の質の低下も問題 (子ども時代の遊び経験不足など)
・働きたいけど働けないお母さんをなんとかすべき
望んで専業主婦をやってるわけではない
日本の男たちはものすごく働いているので、主婦に頼るところも大きい
・この際、幼保、小学校の連携のところが大切
・地方は幼保一体でもよいと思う
・東京の幼稚園の82%以上が預かり保育を実施してる
⇒これを拡大すれば良いが、お金が必要
・保育所は、0,1,2歳を充実
・乳児保育の充実。
・病児をちゃんと見れるように。
⇒親がついていることが大切。
父親も仕事を休めるように (国の政策の問題)
◎井桁容子先生 (東京家政大学ナースリールーム)
・保育所をやみくもに増やすのは疑問(面積基準緩和など) ・・・質の確保が大切
そうは言いながらも、働いてる実績がないと保育所に入れないのも問題
・フィンランドでは「社会に大事にされた子どもは社会を大切にする」
⇔日本はそうなっていない
・大人の言うことを聞く子供だけ育てている
~大人に対する無力感を子どもは感じている
・子どもは大人の本気を見抜く
~子どもをほんとに温かく見れることが大切
・子どもの利益を守れないという感じる保育者が辞めていくのが現状。
とても残念。なんとかしたい。
・0~3歳の人間に金をかけるべき
・0~3歳は、自分で意見を言えない。
意見表明権⇒ 専門性の高い人が接することが必要
◎溝口義朗園長 (東京都認証保育園ウッディキッズ)
・保育園に入れなくて困っている人はほんとにたくさんいる
・フィンランド :保育所長は「自分の地域の子ども全体」を対象として捉えている
(日本では、自分の保育所の園児しか考えていない)
・保育所も幼稚園も、一つの法のもとに纏められるべき
・保育所は教育基本法の外。 教育はできない。
・幼稚園、保育園の文化を作り変えていけばよい
・やっていることは教育で同じこと
・学校教育法26条の、3歳から就学前を変えて、0~就学前にすればよい
・私たち保育者のインセンティブは金ではない
子どもと保護者の喜び、幸せだ!
・せっかくのチャンスなんだから、拙速でも変えていけばよい
このまま行ったら、100年後の日本はない。
・前向きに捉えて、やればよい。
⇒ できないなら、2011年クーデターを起こそうではないか!
▼纏めの意見
◎ 小宮山副大臣
・ 理想はあっても、まずできることをやるべき
今やらないでいつやるのか!
・ビジョンは持ちながら、とにかく進めていきたい
◎ 汐見さん
・日本の将来は危ういと思っている
・質を下げてまで数を増やそうとは思わない。
・その意味で、金と施策が大切
・子どもたちにどういう力を期待しているのか?が最も大切
そのためにどういうことをやるのか?がある
(戦後は「平和を求める子」とかがあった)
・「子ども指針」は”どういう子を育てるか”
本来これを議論すべきだが、順序が逆転している。
・『義務保育制度』を設けるべき
~親と社会が、子どもをいかせる。
・ 乳児保育ほど、子どもに対する専門性が必要とされる。
※ 石川県の『マイ保育園制度』は良い
妊娠中からしっかりケアさえる
母親は希望する保育園に登録してサポートしてもらえる
http://www8.cao.go.jp/shoushi/10motto/08kosodate/wg/kihon/k_2/pdf/ref5-9.pdf
http://www8.cao.go.jp/shoushi/whitepaper/w-2006/18webhonpen/html/i1313500.html
ということで、いろいろと考えさせる、とても価値のあるシンポでした。
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▼最後にレポーターの感想
◎ 小宮山副大臣のおっしゃることをもっともだが、
現実にどこまでできるのだろうか?
厚労省の子育て関係のH23年度概算要求をみても、
前年に対して、わずかな変化がほとんど。
政策コンテストの施策は目玉のはずだが・・・
やはり、政権の覚悟、本気度が問われます。
◎ 汐見先生、溝口園長、井桁先生のお話に共感するところが多かった。
(特に太字の部分)
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