●「保育・幼児教育をどう考えるか」
10月16日の「0歳から就学までの保育・教育」公開シンポジウム
をきっかけにし、幼保一元化について考えてみたいと思います。
≪参考≫⇒ シンポジウムレポート
このシンポジウムでの主な論点は
● 日本の保育・幼児教育は良い点を持っている
・乳児からの集団的保育
・知育より、遊びを通しての「学び」の重視
・自然保育の重視
● 日本は幼稚園と保育園の二元制。もともと目的と位置づけが異なる
・幼稚園: 幼児教育の教育施設 (対象は希望する3歳以上の幼児) [文科省管轄]
・保育園: 保護者の就労等で「保育に欠ける」0~5歳児対象の児童福祉施設 [厚労省管轄]
● ゆえに幼保一元化は難しい面を持っている
・上記のように、目的と歴史が異なる
・ 育成の内容が異なる
・ 職員の専門性や資格が異なる
・ 運営形態や管理も異なる
※ 幼保三元制となる可能性もある
● フランスの保育、幼児教育も質的な問題がある
・ 0~3歳までの保育、2・3~6歳の幼児学級、の年齢による二元制で繋がりが悪い
・ 幼児学級がプレスクールの要素が強過ぎ、自由度がない
・ 多民族国家ゆえの多文化共生のジレンマ
● 北欧は0~6歳までの一元制で良い
・ 子どもの成長全体を考えたシステムになっている
・ 自由度も尊重されていて良い
◎ 今後の方向性
・保育・幼児教育の多様性は重要である。
・現在の、保育園、幼稚園の良さも活かしたい。
・子どもを中心に置いて、大人たちが多様で柔軟に取り組むことが大切。
--------------------------------------------------------
さて、それでは、幼保一元化をどう考えていけばよいでしょうか?
ここからは、私見を交えた考察です。
まず、現在の幼保一元化に対する議論は
保育・幼児教育の提供者や教育関係者の視点が強いように感じます。
本来、もっとも大切なことは「子どもにとってどうあればよいか」
次に、「親にとって何が得られるか」
最後に、「保育・教育の提供者にとってどうか」だと思います。
こういった視点で考えてみると
1.子供にとってどうあればよいか?
・ 居場所があり、生きることへの不安がない
・ 大切にされていると感じる
・ 毎日が楽しい
・ 成長の喜びを実感できる
・ 環境の急変がない
・ 公平に扱われている
・ 差別、無視、いじめがない
などだと想像します (乳児に直接 聞くことはできませんが)
2.親にとって何が得られるか?
・ 育児が安心できる
・ 子どもがのびのびと育ち成長を実感できる
・ 乳児⇒幼児⇒ 初等教育の繋がりが良い
・ 仕事と子育てが両立できる (働きたい時に働ける)
・ ひとり親も安心して生活できる
・ 費用的な負担が少ない
・ 育児休業 ⇒保育・幼育⇒放課後対策への切れ目ないサービス
・ 同じ施設に兄弟姉妹を預けることができる
・ 誰でも平等に扱われる
・ 利用者が使いやすいサービスがある
3.保育・幼児教育の提供者にとってどうか?
(施設経営、政治、行政など)
・ 基本的な生活習慣や態度を身に着ける
・ 自制心や耐性、規範意識を育てる
・ 学びに対する意欲や関心を高める
・ 多様なサービスメニューを用意する
・ 幼児に社会との関わり方を教える
・ 遊び⇒学ぶへの自然な移行を促す
・ 義務教育への円滑な接続 (小1プロブレムの解消)
・ 家庭と地域社会の教育力を高める
・ 待機児童の解消
・ 保育園と幼稚園とのキャパシティのアンバランスを是正する
・ 幼保を同時に扱うことで経営的な安定性を増す
・ 女性のM字カーブを解消し労働力を増やす
・・・・・というようなことだと思います。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
ここで、幼保一体化ワーキングチームの最新の資料を見てみましょう。
『幼保一体化の検討経緯について』
平成22年10月14日
この資料の(30/62)ページ
「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について」
2.意義・理念
○ 総合施設の在り方については、子どもと親を取り巻く社会環境が変化する中で、
子どもの視点に立ち、生涯学習の始まりとして人間形成の基礎を培う幼児教育の観点、
そして社会全体で次代を担う子どもの育ちを支える次世代育成支援の観点から検討を
進めることが必要である。
すなわち、子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第一に考え、
次代を担う子どもが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付け、
また、子どもを育成する父母や祖父母その他の保護者や地域の子育て力が高まるよう、
地域に開かれたものとして地域の様々な人々の参加も得つつ、各種の支援を行うことにより、
子育てをする人が子育てに喜びを実感できるような社会を形成していく
との基本的認識に立って検討することが重要である。
ということですが、この理念に共感します。
そして、(62/62)基本制度案要領抜粋では以下のように述べています。
『子ども・子育て新システム基本制度案要綱』 抜粋
Ⅴ.幼保一体化
○ 幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い(保育に欠ける要件の撤廃等)、
新たな指針に基づき、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化する。
○ すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するとともに、家庭における
子育て・教育にも資するため、幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合し、
小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した新たな指針(こども指針(仮称))
を創設する。
○ こども指針(仮称)に基づき提供される幼児教育・保育について、資格の共通化を
始めとしたこども園(仮称)としての機能の一体化を推進する。
○ こども園(仮称)については、現在の幼稚園、保育所、認定こども園からの円滑な移行に
配慮しつつ、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPO等、多様な事業主体の参入を可能とする。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
個人的印象としては、
● ”意義・理念”は素晴らしいと感じます。
● しかし実施要領になると、制度、仕組み、カタチが先行していて感があります。
⇒このことは資料全体の構成にも言えると感じます。
「子どもの最善の利益」を考えた時に、どうあればよいのか?
皆さんはどう思われますか?
をきっかけにし、幼保一元化について考えてみたいと思います。
≪参考≫⇒ シンポジウムレポート
このシンポジウムでの主な論点は
● 日本の保育・幼児教育は良い点を持っている
・乳児からの集団的保育
・知育より、遊びを通しての「学び」の重視
・自然保育の重視
● 日本は幼稚園と保育園の二元制。もともと目的と位置づけが異なる
・幼稚園: 幼児教育の教育施設 (対象は希望する3歳以上の幼児) [文科省管轄]
・保育園: 保護者の就労等で「保育に欠ける」0~5歳児対象の児童福祉施設 [厚労省管轄]
● ゆえに幼保一元化は難しい面を持っている
・上記のように、目的と歴史が異なる
・ 育成の内容が異なる
・ 職員の専門性や資格が異なる
・ 運営形態や管理も異なる
※ 幼保三元制となる可能性もある
● フランスの保育、幼児教育も質的な問題がある
・ 0~3歳までの保育、2・3~6歳の幼児学級、の年齢による二元制で繋がりが悪い
・ 幼児学級がプレスクールの要素が強過ぎ、自由度がない
・ 多民族国家ゆえの多文化共生のジレンマ
● 北欧は0~6歳までの一元制で良い
・ 子どもの成長全体を考えたシステムになっている
・ 自由度も尊重されていて良い
◎ 今後の方向性
・保育・幼児教育の多様性は重要である。
・現在の、保育園、幼稚園の良さも活かしたい。
・子どもを中心に置いて、大人たちが多様で柔軟に取り組むことが大切。
--------------------------------------------------------
さて、それでは、幼保一元化をどう考えていけばよいでしょうか?
ここからは、私見を交えた考察です。
まず、現在の幼保一元化に対する議論は
保育・幼児教育の提供者や教育関係者の視点が強いように感じます。
本来、もっとも大切なことは「子どもにとってどうあればよいか」
次に、「親にとって何が得られるか」
最後に、「保育・教育の提供者にとってどうか」だと思います。
こういった視点で考えてみると
1.子供にとってどうあればよいか?
・ 居場所があり、生きることへの不安がない
・ 大切にされていると感じる
・ 毎日が楽しい
・ 成長の喜びを実感できる
・ 環境の急変がない
・ 公平に扱われている
・ 差別、無視、いじめがない
などだと想像します (乳児に直接 聞くことはできませんが)
2.親にとって何が得られるか?
・ 育児が安心できる
・ 子どもがのびのびと育ち成長を実感できる
・ 乳児⇒幼児⇒ 初等教育の繋がりが良い
・ 仕事と子育てが両立できる (働きたい時に働ける)
・ ひとり親も安心して生活できる
・ 費用的な負担が少ない
・ 育児休業 ⇒保育・幼育⇒放課後対策への切れ目ないサービス
・ 同じ施設に兄弟姉妹を預けることができる
・ 誰でも平等に扱われる
・ 利用者が使いやすいサービスがある
3.保育・幼児教育の提供者にとってどうか?
(施設経営、政治、行政など)
・ 基本的な生活習慣や態度を身に着ける
・ 自制心や耐性、規範意識を育てる
・ 学びに対する意欲や関心を高める
・ 多様なサービスメニューを用意する
・ 幼児に社会との関わり方を教える
・ 遊び⇒学ぶへの自然な移行を促す
・ 義務教育への円滑な接続 (小1プロブレムの解消)
・ 家庭と地域社会の教育力を高める
・ 待機児童の解消
・ 保育園と幼稚園とのキャパシティのアンバランスを是正する
・ 幼保を同時に扱うことで経営的な安定性を増す
・ 女性のM字カーブを解消し労働力を増やす
・・・・・というようなことだと思います。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
ここで、幼保一体化ワーキングチームの最新の資料を見てみましょう。
『幼保一体化の検討経緯について』
平成22年10月14日
この資料の(30/62)ページ
「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設について」
2.意義・理念
○ 総合施設の在り方については、子どもと親を取り巻く社会環境が変化する中で、
子どもの視点に立ち、生涯学習の始まりとして人間形成の基礎を培う幼児教育の観点、
そして社会全体で次代を担う子どもの育ちを支える次世代育成支援の観点から検討を
進めることが必要である。
すなわち、子どもの視点に立ち、「子どもの最善の利益」を第一に考え、
次代を担う子どもが人間として心豊かにたくましく生きる力を身に付け、
また、子どもを育成する父母や祖父母その他の保護者や地域の子育て力が高まるよう、
地域に開かれたものとして地域の様々な人々の参加も得つつ、各種の支援を行うことにより、
子育てをする人が子育てに喜びを実感できるような社会を形成していく
との基本的認識に立って検討することが重要である。
ということですが、この理念に共感します。
そして、(62/62)基本制度案要領抜粋では以下のように述べています。
『子ども・子育て新システム基本制度案要綱』 抜粋
Ⅴ.幼保一体化
○ 幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い(保育に欠ける要件の撤廃等)、
新たな指針に基づき、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化する。
○ すべての子どもに質の高い幼児教育・保育を保障するとともに、家庭における
子育て・教育にも資するため、幼稚園教育要領と保育所保育指針を統合し、
小学校学習指導要領との整合性・一貫性を確保した新たな指針(こども指針(仮称))
を創設する。
○ こども指針(仮称)に基づき提供される幼児教育・保育について、資格の共通化を
始めとしたこども園(仮称)としての機能の一体化を推進する。
○ こども園(仮称)については、現在の幼稚園、保育所、認定こども園からの円滑な移行に
配慮しつつ、学校法人、社会福祉法人、株式会社、NPO等、多様な事業主体の参入を可能とする。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
個人的印象としては、
● ”意義・理念”は素晴らしいと感じます。
● しかし実施要領になると、制度、仕組み、カタチが先行していて感があります。
⇒このことは資料全体の構成にも言えると感じます。
「子どもの最善の利益」を考えた時に、どうあればよいのか?
皆さんはどう思われますか?