●10/16「フランスの乳幼児の発達支援と子育て支援」公開講座
10月16日(土)13:00~14:50
十文字女子大の公開講座
「フランスの乳幼児の発達支援と子育て支援」を聴講しました。
講師は、シルヴィ・レイナさん(パリ13大学教授、国立教育研究所主任研究員)
「フランスの子育て」は素晴らしいと言われていますが、
当事者から見ると課題もたくさんあることが分かり、”目から鱗”でした。
■ フランスの就学までの子ども制度
◇ 二分化された制度
⇒ 0~3歳は「受け入れ」(保育) ・・・健康社会問題省の管轄
⇒2・3~6歳は「教育」(幼児学級) ・・・国家教育省の管轄
◇ 良い点
・幼児学級と小学校との一貫性
・低学年から教育の素地ができる
・落ちこぼれ防止
◇悪い点
・保育と幼児学級との大きな隔たり。
保育所と幼児学級のつながりの減少。
・子どもがのびのびと遊ぶ機会が少なくなる
■ 2・3歳~6歳の教育制度
エコール・マテルネル=幼児学級
◇ 義務教育ではない
◇ 無料(昼食と学校外保育を除く)
◇ 政教分離の原則=宗教教育をしない (12%が私立・・・宗教教育もOK)
◇ 3歳以上の子どもを100%受け容れる長い歴史 (2歳児の35%が在籍)
◇ 小学校と同じ時間 8:30~11:30、 13:30~16:30 (午前、午後 30分の休み時間)
幼児学校と小学校はともに教諭 (共通の大学での養成と資格)
◇ 年少組(3歳)の子どもを定期的に評価
◇ 良い点
・ 教育職が再評価される
・ 教育が体系的、公式化される
◇ 悪い点
・ 就学前教育の特殊性の喪失
・遊びの大幅な減少 (午前、午後の休み時間だけ、授業が終わったら遊んで良い)
・親の受け入れ参加を制限
■ 0~3歳の受け入れ(保育)制度
◇ 多様な形態 施設型/家庭型、 民間/個人/企業、 職員の種類・養成
◇ 有料
◇ 保育要領・指針はなくて自由度あり
◇ 費用の1/3を「家族手当国家金庫」、1/3が地方自治体、1/3は個人
◆施設型受け入れ(保育) 12%
・集団保育所 (フルタイム)
・一時的保育所 (時間割)
・多元的受け入れ(混合)
・開設時間 都市部では 7:00~19:00 (ニーズに応じて、5:00~ や ~22:00)
◆ 保育ママ 20%
・フランスの古い伝統的職業 地方で発達
・120時間の養成でOK
・質の確保のため保育ママ拠点で、時々教育師?との触れ合いをさせる
◆ LAEP (子育て支援センター)
・子どもと親の受け入れの場
・親が一緒が義務
・子どもの社会科、母子分離、集団生活準備
・移民層もたくさんくる
■乳幼児が経験している現況
◇ 長時間、家庭外で世話をされている
・多様な方法で、いろんな大人に
(例) 保育所か幼児学校のあと、ベビーシッターや祖父母に
◇ 安全管理の言説 (リスクを減らす、非行防止)
・草木や砂場を制限、泥遊び禁止、
・クラスの間のドアを閉鎖など
※教育学の進歩や心理学研究の結果に逆行
◇ 0~3歳の受け入れ不足
・場の創設と規制緩和
・待機児童対策 ⇒「めざまし園」 ・・・費用が高い
◇保育ママの集合施設
・保育ママ 4人ほどで 一つのアパートを使うなど
■フランスの抱えている課題
◇ 受け入れ(保育)サービスの問題点
・サービスの多様化で乳幼児に関わる多種の職業の協同で、調整が困難に
・カリキュラムがなく、質が保障されない
・民間保育所が増加し教育の質が低下 (自治体も予算削減で民間を推奨)
・教員は親との協働の訓練を受けていない。
◇ 幼児学校の問題点
・教育課程が学校的過ぎて、遊びが無い
・「初日から学習を始める」為に親を締め出す。
・学校組織の質の評価はない
・校内暴力が起きるようになっている
(授業中は先生が抑えているが、休み時間になると暴力をふるう子がいる)
★ まとめ
◎ フランスの年齢による二元性は問題が多い
※ OECDは 「スターティング・ストロング」で 0~6歳を統一的に保育・教育していて良い
◎ 少子化対策で量的な政策は進んだが、質的には低下しつつある
◎ 移民の増加により、多文化共生の難しい問題が増えている
◎ 親と教員との協働が不足している
以上
--------------------------------------------------
私からの質疑は以下です。
【質問】.「幼児学校は小学校へのスムーズな移行を促す点で効果があると考えていますが、
フランスでは「小1プロブレム」は少ないのでしょうか?」
【答】.同じ問題がフランスにもある。
・落ち着かない子どもがいると学校が乱れる
・移民層に落ち着かない子どもが多い
⇒このような子は将来、犯罪に繋がりやすい
⇒幼稚園の時から問題児を早期に発見するという法律を制定しようとした議員がいたが、
通らなかった。
・医学団体から「薬を飲ませておとなしくさせる」という提案もある。
~もちろん、製薬会社が後ろにいる。
【感想】.「フランスは素晴らしいと思っていたがそうでないことを知って驚いた」
【答】. 政治が変わると育児・教育も変わる。
・以前より、子ども政策が劣化傾向にある
・教育改革で、教師側の意見が通り難くなった。
~いろいろと規制が厳しくなり、禁止事項が増えた
【その他】
・児童心理士が、心理学の人よりも精神分析の人が増えて問題だ
・親はダメだというのが前提になっている。
~学校に、「あれしちゃいけない、これしちゃいけない」という禁止事項がいっぱい書いてある
◎ 参加型のコミュニケーションに重きを置いた保育所をつくっていきたい。
◎ 日本のお弁当は良い。
子どもたちの学校が自分たちの学校であるという意識を持つことが必要である。
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ということで、”隣の芝生は青く見える”ではないですが、
勉強になりました!! (中山)
十文字女子大の公開講座
「フランスの乳幼児の発達支援と子育て支援」を聴講しました。
講師は、シルヴィ・レイナさん(パリ13大学教授、国立教育研究所主任研究員)
「フランスの子育て」は素晴らしいと言われていますが、
当事者から見ると課題もたくさんあることが分かり、”目から鱗”でした。
■ フランスの就学までの子ども制度
◇ 二分化された制度
⇒ 0~3歳は「受け入れ」(保育) ・・・健康社会問題省の管轄
⇒2・3~6歳は「教育」(幼児学級) ・・・国家教育省の管轄
◇ 良い点
・幼児学級と小学校との一貫性
・低学年から教育の素地ができる
・落ちこぼれ防止
◇悪い点
・保育と幼児学級との大きな隔たり。
保育所と幼児学級のつながりの減少。
・子どもがのびのびと遊ぶ機会が少なくなる
■ 2・3歳~6歳の教育制度
エコール・マテルネル=幼児学級
◇ 義務教育ではない
◇ 無料(昼食と学校外保育を除く)
◇ 政教分離の原則=宗教教育をしない (12%が私立・・・宗教教育もOK)
◇ 3歳以上の子どもを100%受け容れる長い歴史 (2歳児の35%が在籍)
◇ 小学校と同じ時間 8:30~11:30、 13:30~16:30 (午前、午後 30分の休み時間)
幼児学校と小学校はともに教諭 (共通の大学での養成と資格)
◇ 年少組(3歳)の子どもを定期的に評価
◇ 良い点
・ 教育職が再評価される
・ 教育が体系的、公式化される
◇ 悪い点
・ 就学前教育の特殊性の喪失
・遊びの大幅な減少 (午前、午後の休み時間だけ、授業が終わったら遊んで良い)
・親の受け入れ参加を制限
■ 0~3歳の受け入れ(保育)制度
◇ 多様な形態 施設型/家庭型、 民間/個人/企業、 職員の種類・養成
◇ 有料
◇ 保育要領・指針はなくて自由度あり
◇ 費用の1/3を「家族手当国家金庫」、1/3が地方自治体、1/3は個人
◆施設型受け入れ(保育) 12%
・集団保育所 (フルタイム)
・一時的保育所 (時間割)
・多元的受け入れ(混合)
・開設時間 都市部では 7:00~19:00 (ニーズに応じて、5:00~ や ~22:00)
◆ 保育ママ 20%
・フランスの古い伝統的職業 地方で発達
・120時間の養成でOK
・質の確保のため保育ママ拠点で、時々教育師?との触れ合いをさせる
◆ LAEP (子育て支援センター)
・子どもと親の受け入れの場
・親が一緒が義務
・子どもの社会科、母子分離、集団生活準備
・移民層もたくさんくる
■乳幼児が経験している現況
◇ 長時間、家庭外で世話をされている
・多様な方法で、いろんな大人に
(例) 保育所か幼児学校のあと、ベビーシッターや祖父母に
◇ 安全管理の言説 (リスクを減らす、非行防止)
・草木や砂場を制限、泥遊び禁止、
・クラスの間のドアを閉鎖など
※教育学の進歩や心理学研究の結果に逆行
◇ 0~3歳の受け入れ不足
・場の創設と規制緩和
・待機児童対策 ⇒「めざまし園」 ・・・費用が高い
◇保育ママの集合施設
・保育ママ 4人ほどで 一つのアパートを使うなど
■フランスの抱えている課題
◇ 受け入れ(保育)サービスの問題点
・サービスの多様化で乳幼児に関わる多種の職業の協同で、調整が困難に
・カリキュラムがなく、質が保障されない
・民間保育所が増加し教育の質が低下 (自治体も予算削減で民間を推奨)
・教員は親との協働の訓練を受けていない。
◇ 幼児学校の問題点
・教育課程が学校的過ぎて、遊びが無い
・「初日から学習を始める」為に親を締め出す。
・学校組織の質の評価はない
・校内暴力が起きるようになっている
(授業中は先生が抑えているが、休み時間になると暴力をふるう子がいる)
★ まとめ
◎ フランスの年齢による二元性は問題が多い
※ OECDは 「スターティング・ストロング」で 0~6歳を統一的に保育・教育していて良い
◎ 少子化対策で量的な政策は進んだが、質的には低下しつつある
◎ 移民の増加により、多文化共生の難しい問題が増えている
◎ 親と教員との協働が不足している
以上
--------------------------------------------------
私からの質疑は以下です。
【質問】.「幼児学校は小学校へのスムーズな移行を促す点で効果があると考えていますが、
フランスでは「小1プロブレム」は少ないのでしょうか?」
【答】.同じ問題がフランスにもある。
・落ち着かない子どもがいると学校が乱れる
・移民層に落ち着かない子どもが多い
⇒このような子は将来、犯罪に繋がりやすい
⇒幼稚園の時から問題児を早期に発見するという法律を制定しようとした議員がいたが、
通らなかった。
・医学団体から「薬を飲ませておとなしくさせる」という提案もある。
~もちろん、製薬会社が後ろにいる。
【感想】.「フランスは素晴らしいと思っていたがそうでないことを知って驚いた」
【答】. 政治が変わると育児・教育も変わる。
・以前より、子ども政策が劣化傾向にある
・教育改革で、教師側の意見が通り難くなった。
~いろいろと規制が厳しくなり、禁止事項が増えた
【その他】
・児童心理士が、心理学の人よりも精神分析の人が増えて問題だ
・親はダメだというのが前提になっている。
~学校に、「あれしちゃいけない、これしちゃいけない」という禁止事項がいっぱい書いてある
◎ 参加型のコミュニケーションに重きを置いた保育所をつくっていきたい。
◎ 日本のお弁当は良い。
子どもたちの学校が自分たちの学校であるという意識を持つことが必要である。
-------------------------------------
ということで、”隣の芝生は青く見える”ではないですが、
勉強になりました!! (中山)