私は店に向かった。



お店に入ろうとするが、扉は閉まっている。


いつもは開いているのだが、これは多分時間帯が遅いからだ。


フィリピンパブ特有の事情もあるのだろうな。


鍵は開いているので扉を開けた。




するとカラオケをしている。


お客さん少しいるのかな?




あれ……。




女の子だけじゃんニコニコ




客は誰もいない。


私1人だけだ!


気まずっ……。。。





この店の造りと明るさがまた絶妙に気まずい。


引き続きカラオケしてて下さい……。


頼みます、お願いしますと思いながら


中の良くなった男性スタッフと挨拶をし、ママに傘を忘れたのを伝える。




すると見た事のないとても綺麗な女性が私に声をかける。


週に数回だけくるアルバイトの女の子だ。


私に指名はありますか?と尋ねる。


私が女の子の名前を告げようとすると、Hがニコニコしながら私の目の前に現れた。


ちょっとこのアピールには笑ってしまった。




とりあえず時間が遅いから1時間だけね。




席に着くと静まり返る店内。


がーん。


カラオケやめたんかい大泣き


お客さんがいる状態では流石にママは許可しないか。

 

因みに……


私の席の隣が女の子の待機場所。


そこに待機中の女の子が全員いる状態。


こんなん話し声筒抜けだよ……。


まぁでも仕方ない。。。






私は席に着いた。


毎度おなじみの場所である。


座ってから一瞬考えた。


(多分この状態だとH以外に必ず女の子が来る)

(他の子とも仲良くなるのは良い事だ)

(しかし、女の子となると私が気を遣ってしまう)

(さてどうするか)

(ならば……)


私は飲み物を準備しに来た男性スタッフに声を掛けた。


私「君も何か飲みなよ」


先手必勝である。


正直男性スタッフの方が気を遣わない。




彼はとてもフレンドリーだ。


彼もまたフィリピン人である。


男性スタッフは少し戸惑う仕草を見せたが快諾した。


K氏と来た時も彼は席に遊びに来てたし、実は私は彼とLINEで少しやり取りしているのだ。


Hey,bro的なあれだ(よくわからん)




私はHと話をする。


しばらくすると


私の唯一歌えるフィリピンの曲「Aking Pahinga」をHは歌ってと言うが……。


私はカラオケでは嫌だと伝える。


今日はカラオケはしない。


時間が勿体ない。


この曲は前半男性パート、後半女性パートだ。


男性パートは完璧に歌えるが、女性パートは難しくてまだ練習もしていない。


Hはこの曲は全部は知らないらしい。


この曲はラブソングである。




歌って教えてという。


不思議な話だ。

 

日本人の私がフィリピンの曲をフィリピン人にタガログ語の歌詞のまま歌って教えるのだ。


だが私はこの曲は数百回聴きながら、紙に発音を書きながら練習をしてきた。


何故か?


それは第一章に於いてDとの出会いで述べた通りだ。




私はHと一緒にアカペラで2人で歌う。


かなり小声で(笑)


私の発音とHの発音に差異はほぼない。


まさかこんな形でこの歌を歌うとは思いもしなかった。


そしてあの練習の時に思っていた、実際フィリピン人が歌うとどんな発音なのか?がやっと解明された。


私はきちんとした発音で歌えていたのだ。


非常に満足である。


そして2人で同じ事をするのは楽しい事なのだ。



たまに私がHをからかうと顔をぷくっと膨らませ怒る仕草を見せる。


とても無邪気な感じがする。


そして可愛いらしい。


これに私は惹かれたのだ。




2人で写真を撮ったり、お互いの言語の勉強をしながら時を過ごす。


すると男性スタッフが今度同伴とかしたらいいじゃん?


と言う。


ディズニーランドとかでとも。


ディズニーランドで同伴て一体いくら必要なんだ……。


しかも時間的に無理やん……。


男性スタッフは時間はケースバイケースと言うが、結局はママに聞かないとわからないらしい。


しかしHは楽しそうに話を聞いている。


ミッキーの耳を付けたりして遊びたい、ディズニーランド行きたいとはしゃぐ。


だが金銭的なものはおいといて(考えたくない)、初回ならばヘルプの女の子が付くはずだ。


そんな話もしていた。


これもママに聞かないと分からないがとりあえず流した。


初回は通常は食事だろう。


難易度はこちらの方が低い。


まぁこれについても話があったが考えとくとした。




私「仕事不規則だから、タイミングが合えばね!」


紛れも無い事実を述べるのである。




いずれにしてもFTと初回2人きりではなさそうだ。




もう少しで時間になりそうになると、男性スタッフはカーテンを閉める仕草をして、「ごゆっくりと」場を離れ

た。


気の利く男だ。


私はやっとHと2人になった。


するとHは私に寄り添い肩にもたれ掛かる。


こういうのに極端に弱い私である。


営業でも何でも良くなるのである。




私は結局2時間いた。




また3時間しか寝れないよー泣くうさぎ





続く……