私は車を走らせた。



表現が難しいが、安全にかっ飛ばした。



Dに久しぶりに会えるとワクワクしていた。







今日はサヨナラパーティではないが、最後に会うのに何も持って行かないのは気が引けた。



しかし、そんな時間はなかった。

私は仕事をしている。



日中は動けない。



そして今はもう22時を過ぎているのだ。



プレゼント等買える場所は無い。



しかも家に間違えてAmazon等で買って、家族に箱を開けられたらヤバすぎる。



そんな悠長な時間もない。



仕方ないのだ。。。





私は店の近くに到着した。



DにLINEを入れる。



他のお客さんに付いてたら返事はないだろう。



しかしすぐに返事が帰ってきた。



超喜びスタンプ。



そして待ちきれないと。



私はその言葉に驚いた。



同時に不思議な気分になった。



そんな期待される訳ないじゃんと。



日本語や英語ではなく、タガログ語の訳だから細かなニュアンスは私には分からない。



それでも私の胸は踊った。



そしてお店の扉を開けたのだ。





今はショータイム中だ。



Dは他の子が踊っている間にLINEを見て返事をくれたのだろう。



Dから「Matete 🥹」



とLINEが来た。



席に案内され、たまーに付くヘルプのタレントが妙な事を言った。



Dが「あなたに会いたかったって」と言ってると。



ふーん。



なんで?



ええ!?



まじ!?



あまり他のタレントからDの話している事なんて聞いた事がなかったので、少し首を傾げたが……。



ショータイムが終わりしばらくするとDが来た。



疲れているはずだが、とてもニコニコしている。



D「ご飯食べた?」

私「まぁ……ちょっとだけ」

D「ちゃんと食べなさい」



笑笑笑



これを待っていた。



まぁフィリピン流の挨拶みたいな感じであろう。



しかしDに言われると心地よい。



今日はお店がとても静かだ。



かなり暇なのだろう。



逆にDは私が独占状態だ。



今日のDはとんでもなく私にスリスリしてくる。



私の肩にずっともたれ掛かる。



片時も手を離さない。



そしてDは今の心境を語り始める。



タレントとして1回目に日本に来た時は、早く母国に帰りたくて仕方がなかったと。



でも今は寂しいと。



まだ帰りたくない、日本に住みたいと。



話せる言葉も増え、馴染みの客も増え、居心地も前より良かったのだろう。



稼ぎも前よりは良くなったのだろうか。



私はDの話を聞いていた。



そしてこの前、来なかった時は本当に悲しかったと。



LINEしてもあまり返事してくれないから、あなたは冷たいとも。



さらにはLINEしてくれないのはOkuttemasu ka ?

だからだと。



そか、あれは怒ってますかなんだ。



なるほど。



私が怒る理由がない。



Dに伝えて、文章の間違えも教える笑



なんでLINEくれなかったのと詰め寄られた。

(ってかDも普段くれないクセに……)

と思いつつも、色々と頑張って説明した。







あなたを忘れる為なんて言えません笑





私はサヨナラパーティには行けないと伝えた。



Dは「わかった、今日来てくれてありがとう」

と言った。

D「あなたと明日同伴したかった」

私「まじ?(最終日に私と?)」





……。







最後に少しでも稼ぎたいんかな?





……。







私の頭は腐り始めているのではないか。







少しでも稼ぎたいなんて、そんなん当たり前だ。







彼女達は稼ぎに来ている。





だが、、、最後の日に私を選ぶとは……。





他の常連にも間違いなく言われているはずだ。

それは絶対だ。



この展開はよくわからん。。

これは私はとんちんかんな奴の可能性がある。









彼女の気持ちが分からない……。。。









しかし同伴は時間的に無理だと伝えた。

D「私は大丈夫、仕事は大切よ」

と。



今日は異常に密着してくる。

多分本当に寂しいのだろう。



Dの他の指名が居ないからか、

気が緩んでいるのかもしれない。



Dは私がLINEしてくれなかった事、お店に来てくれなかった事を何回も問いただして来た。



少し怒ったように……。



可愛いから怒らないでとDをからかう。



Dは笑ったりまた少し悲しい顔をしたり忙しい。



私は無自覚に駆け引きをしていたのかもしれない。



急に引いた事でDは何か私に対する何かが変わったとしか言いようがない。



明らかにDの私に対する仕草が発展している。



とんでもなく飛び級している。















……。













時は1996年。









世界は核の炎につつまれ……。











ヒャッハー昇天











否。







ここは北斗の世界ではない……。















そう。



それは私が17歳の頃。



ずっとアタックしていた娘がいた。



私は振られる一方。



遊びはすれど、それ以上には発展せず。



私はある時、諦めた。



これ以上この娘に何を伝えても、私に振り向いてくれる事なんて無いと。



私はその娘に告げた。



今までありがとう、私はもう君を諦める。だから……さよなら。元気でね。と。



私はその娘の元を去った。



5分後位だろうか?



私が駅まで歩いていると、その娘が私に抱きついて来た。



行かないでと。



私は何が起きたのかわからなかったが、その娘と付き合う事が出来た。



私が引く事により彼女は何かを失う感覚になったのだろう。



当たり前に居たはずの人間が、急に自分の前から居なくなる事で普段感じる事のない心の中の何かが動いたのだろうか……。



私は駆け引きをした訳ではないが、無自覚にそうなっていたのだ。



その彼女とは5年付き合った。



そう……別の回でも伝えたが、Dはその娘に少し似ている。



私は多分無意識に恋をすると同じ様な行動をするのかもしれない。



それがたまたまプラス方向に働いただけかもしれない。











話は戻る。

















今日で最後だ後悔しないようにしよう。

私はDに伝えた。



私「あなたに出会えて良かった」

私「とても感謝している、本当に短い間だったけど私はあなたに出会えて幸せでした」

私「そして……あなたにとっては私は単なるお客さんだが、私はあなたを少し……(やめ)」

D「え?何?」

D「あなたは単なるお客さんじゃないよ」

私「私はDにとってはお客さんだ、だからそれ以上もそれ以下も無いでしょと」

D「あなたは私に一切しつこくしなかった、あなたは他の人とは違う、凄く優しい、かっこいい」

私「でもお客さんには変わりない。私はお客さんとしてあなたを応援してる(これ以上言ったら好き好きオーラが爆発しそうだった)」

D「確かに最初はあなたはお客さんでした。でもそれはみんな同じ。今は私にとっては他の人とは違う特別な存在です」

私「ありがとう……」

D「そして今、私は自分の気持ちがよく分からなくなっています」




私(どういう意味❓)






……。









!?











混乱した。













今のは何かの聞き間違いだな。













何か少し私を意識してくれる様だ。









けどさ。













Dはもう帰っちゃうし。。









そして私は明日も明後日も仕事。









今日、今から帰っても最大2時間しか寝れない。



ラストまであと1時間。



Dとこのままもっといたい。



しかし……仕事……。



いや、帰ろう。



仕事は大切だ。



この道は踏み外してはならない。



そしてお会計。



外で何時ものお別れ会。



今日は長い笑



とにかく長い。



私を抱き寄せてキスをしまくる。



もはや全部は覚えていない。











そして。











どうか元気で。



お体には気をつけて。



幸せになってくれ……。



本当にありがとう……。













さよならD……。











































































続く……