人を咬む犬と暮らすこと。その4 | PUPSのブログ ~子犬の社会化・育て方~

人を咬む犬と暮らすこと。その4

犬の立場から考える。

犬の言い分を聞く。



今までの訓練方法では、それは「必要がないこと」でした。犬の言い分を聞いていたら、こちらの言う事を聞かせられないじゃないか、と、今までの私は考えていました。どんなことよりも人の言う事を最優先に聞くように教え込むのが、犬をコントロールすることだ、と。




そして、チカの壁にぶつかったのです。

「言う事を聞きなさい」と頭ごなしに、一方的に要求してくる私の行動を、チカは受け入れませんでした。私の行動は、チカには「ケンカを仕掛けられている」としか見えなかったのかもしれません。私が何を言っているのかを考える余裕もなく、「怖いのは嫌だ」と、自己防衛の牙をむいているようでした


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犬の犬らしさを全て抑え込んで、有無を言わせず従わせる。

そんな方法しかないのだろうか?

そうしていかないと犬とは暮らせないのだろうか?

お客さんの犬をトレーニングしながら、漠然と感じた疑問は、チカを迎えたことで自分の問題となって、目の前に現れました。今度は、疑問の核がしっかり見えました。



チカは、私が何を言っているのか分からない。

私は、チカがなぜ咬むのか分からない。

私たちはお互いを理解していないのです。交わってないのです。

一方的にこちらの要求だけを押し付けて、チカがどう考えているのかを知ろうとしませんでした。つまり、コミュニケーションを拒んでいたのです。一緒に暮らすと決意しながら、一緒に暮らす意味を理解していなかったのは、私だったのです。


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それから、私はトレーニングをいったん中止しました。トレーニングの前にまず、チカという犬を知ろうと思いました。咬まないように教える前に、なんで咬むのかをまず知りたいと思いました。「咬む=悪いことだから止めさせる」というのは私の一方的な考え方です。「咬む理由」をチカに聞こうと思ったのです。



腕を咬まれたとき、チカの態度から、そこに「不安」や「恐怖」があるように感じました。チカを観察していると、表情が硬くなったり、唸り声を出したり、咬みにつながる行動が出るときは、チカが不安を感じている時だと思いました。


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チカの「不安」を取り除こう。

家の中で安心して眠れる巣穴(ケンネル)をまずチカに与えました。その中にいる時には、覗き込んだり、外から声をかけることをしないようにしました。ここは自分だけの場所、そうチカが認識して落ち着けるために。

部屋に出す時にはリードをつけて、初めのうちは私のそばに常に居させるようにしました。そして、チカが不安になった時(チャイムが鳴った、外で何か音がするなど)は、リードで誘導してハウスへ入れました。ここなら安全だから、ここにいなさい、というように。


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