やしの木のものがたり | puppet-namiのブログ

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今年の「いいだ人形劇フェスタ」には、「やしの木のものがたり」と「あんころもち」を持って行きました。

じつはこの2本、1993年、人形劇団なみが初めて上演した思い出の作品なのです。
そしてその記念すべき初ステージは飯田市知久町の歩行者天国。フェスタの前身である人形劇カーニバル飯田でのことでした。

「やしの木のものがたり」は、相方の発案によるオリジナル作品です。
主題がはっきりしていて、言いたいことはストレートに描かれていましたが、当時は2人とも未熟でしたから、主題をずばっと台詞で言ってしまうような、ストレートすぎるもので、ひとつの作品としては盛り上がりや変化に欠ける作品であったと思います。

それで、1996年に一度、私が全面的に手を入れてリメークをしました。

ところがその方法が大間違い。

ストーリーを膨らませ、視覚効果と音響でスケールを大きくしようとしたのです。
人形や大道具、舞台装置まで、これでもかと作り物を増やし、買ったばかりのパソコンで凝ったサウンドトラックを作ったり。
結局、稽古の時間が足りなくなり、道具の取り回しが二人の手に余るほどになりました。

そんなありさまですから、お客さんの評価も芳しくなく、自分たちにも不満が残り、それで、以来ずっとお蔵入りになっていました。


さて、私たちの飯田への上演参加が、去年で10回になりました。
それで、節目、というか新しい10年の始まりになる今年、ぜひ「やしの木…」を復活させたいと思いました。

もう一度、初心に帰って、今の自分たちにできる最高のリメークをしよう、と。

8年前に不必要に継ぎ足した部分はすべてそぎ落とし、主題を見つめ直して、むしろどんどんシンプルにしてゆきました。
その中で、登場する人形の役割を整理して、シナリオはまったく新しく書き直しました。
出遣いなのでケコミは使わないこととし、シンプルで機能的な舞台装置を設計しました。

出来上がったものは、飯田市内の高羽町南自治会館と飯沼南自治会館で上演させていただきました。
すべてが満足、とは言いませんが、1993年当時に抱いていた理想に、より近いものになったと思っています。
これからも上演を続けて、もっと育ててゆくつもりです。

じつは、人形たちのほとんどは、1996年に作ったものをそのまま使っています。
お蔵入りになっていた人形たちを何年かぶりで取り出してみると、どれもものすごく丁寧に作ってあって、とても大切に保存されていたからです。よく見ればあちこちに技術の拙さが見えるのですが、それを補って余りがあるほどの情熱を注いでいたのだなあと、昔の自分たちに教えられた気がします。