カラン……
幾杯めかの褐色の蜂蜜色の液体をあおる。
とたんに揺らぐ視界。ツンとした酒の匂いが現実と幻想と理想の堺をなくしてゆく。
それは、まるで階段を上るか、下っているかのような曖昧さ。
なのに、俺にはわかる。
埃の降り積もった書庫にある大判の文献。
そして、幾つかの愛らしい表紙の花の本をセットにして読む事が、彼女の癖。
喜びに咲き誇る庭園。
見事に手入れをされた花々が踊る。彼女のために。
白く、優雅に美しく、甘く、たおやかに花を傾けて花弁を広げる姿にため息を。。。
改めて考える程の事でもない。
俺の目に映るものの中には彼女が居た。
それは、彼女のテリトリーに俺の場所を作ろうとしていたから
逢いたい
ただ、それだけ。なのに、何故だろう。
こんな簡単な思いを伝えずに、今までよくやってこられた。
離れれば、離れているほどに高らかな喜びに募っていく胸が、今度は苦しい。
届く事の無い思いは、いくつものブックエンドとなっていく。
喜びから絶望へ。
それでも、春がやってくる。
君の花が咲き誇る。