※ネタバレ注意



物語はいきなり恋の破綻から始まる。主人公エリザベスは、めちゃくちゃ美人さんなのに、恋人にフラれた。そんな彼女を慰めるのはカフェオーナーのジェレミー。彼は理由もないのにいつも売れ残るブルーベリーパイの話をする。別れに理由なんてないとでも言うように。エリザベスはブルーベリーパイを欲しがった。ジェレミーはパイを切りバニラアイスをのっけた皿を差し出した。ブルーベリーパイを美味しそうに食べるエリザベス。クリームがついた唇がなんだかぽってりして色っぽい。



ジェレミーの優しさにエリザベスの心も段々落ち着きを取り戻すが、やはり元恋人が忘れられず、エリザベスは自分を見つめ直すため、ニューヨークの街を出ていく。



遠く離れた土地で昼間はカフェ、夜はバーのウェイトレスとして働くエリザベス。彼女は、ジェレミーに毎日のように手紙を書いた。ある日バーで酔いつぶれる男アーニーと出会ったエリザベスは、彼が別れた妻を忘れきれずにいることを知る。まるで自分を見ているかのような気持ちになるエリザベス。店に元妻スー・リンの男がやって来たのを知ると、アーニーは嫉妬から彼を殴りバーは大混乱に。「私を自由にしてちょうだい」と泣き叫ぶスー・リンをどうしても手放せないアーニーは彼女に銃を向ける。結局、撃つことは出来なかったが、アーニーは多額のチップをエリザベスに手渡すとその翌朝事故で亡くなった。あれほど嫌いだった元夫だったのに、いざ失うと、果てしない喪失感にうちひしがれるスー・リン。エリザベスは言葉なく、彼女の肩を抱きしめて慰める他ない。



エリザベスは次なる仕事先にカジノバーを選んだ。そこで賭けに負けたレスリーという派手な女性から、分け前をあげるから賭ける金を貸して欲しいとせがまれる。賭に負けたら自分の愛車(高級車)をあげるからと、怪しい約束までしてきて、エリザベスはつい全財産を彼女に譲り渡してしまう。結局、レスリーは「賭けに負けた」と告げ、愛車をやるからラスベガスまで乗せて欲しいと言う。



エリザベスとレスリー、二人の小さな旅が始まる。



しかし、このレスリー。誰の言うことも信じない。そのせいで、大切な父親の死に目に合う機会を逃してしまう。



「ねえ、悪いけど車はあげられないわ。父の肩身なのよ。」



えっ‼️今さら‼️自分をラスベガスの病院まで送り届け、大金まで譲った人間を知らない土地に放置!?



レスリーどんな神経してんの、と思いきや実は彼女、あのとき賭けに勝っていたようで、大金はしっかり持っていたのだ。レスリーは、車を買うようにとエリザベスにお金を手渡した。



そして、二人は旅路を別ち、舞台は再びニューヨークへ。



エリザベスからの手紙を何通も受け取っていたジェレミーは必死に彼女を探していた。



エリザベスは再びジェレミーの店を訪れ、バニラアイスの乗ったブルーベリーパイを食べる。



「ブルーベリーパイをこんなに美味しそうに、食べる娘は君以外に知らない」(みたいなことを言っていた気がする)。ジェレミーの言葉に満足そうに微笑むエリザベス。元恋人への思いは、ブルーベリーパイの味と旅の思い出のおかげで綺麗に無くなった。あの夜のように唇にクリームがついたままカウンターで眠りこけるエリザベスの顔にそっとジェレミーの顔が近づいて、あの映画ジャケットそのままのキスシーンの流れとなり、物語は幕を閉じる。



随所におしゃれな色合いを感じる映画だった。エリザベスとジェレミーが友達から恋人同士へと変わるには、エリザベスの心の成長(というか、切り替え?)が必要だったんだろうな。いろんな人間模様を見つめて最終的に大切なものに気づいたのかもね。バニラアイスの乗ったブルーベリーパイを今すぐ食べたくなる、そんな映画でした()