映画「茶々 天涯の貴妃(おんな)」感想



2007年公開の映画なんですね。



宝塚歌劇団の大ファンなもので、主演が元タカラジェンヌの和央ようかさんと知り、興味が湧きました。





豊臣秀吉の側室、茶々を演じられた和央さん。勝ち気で女だてらに甲冑を身に付け、敵陣に乗り込む恐れ知らずの女を熱演されていました。



茶々は、織田信長の妹、お市の方と浅井長政との間に生まれた長女。信長に父を殺され、母は自害。小督(おごう)とはつという二人の妹と共に、豊臣秀吉の屋敷に匿われる。やがて、小督もはつも政略結婚に利用され屋敷には茶々1人取り残される。時は過ぎ、すっかり美しく成長した茶々を待っていたのは、秀吉からの求婚だった。なんということでしょう。秀吉は茶々の親より年上に見えます。しかも父を殺した敵も同然の男のもとに嫁ぎ世継を生まなくてはならないとは。秀吉は、かつて捕虜になった茶々が信長にたてつき、信長から「お主はいつか女帝になるやもしれん」という言葉をもらったことを覚えていて、是非自分の妻にと、唾をつけていた模様。



茶々は迎えに来た侍女、大蔵卿局(お美しい高島礼子様)に、「もし私が秀吉の妻となったらば、彼を殺してもよいのか」と食ってかかるも、「おなごは、人を殺すのではなく育む者にございます」と諭される(名言です)



初めて秀吉と夜を共にした茶々は、寒空の下に小袖姿のまま飛び出し、むせび泣きます。そのへんの苦悩を、和央さんよく演じられていたなと思い出します。



でも、ただ泣いて過ごすような弱い女じゃあない。茶々は自分の運命を受け入れ、「男のやや()を生むのじゃ」と世継作りに意気込みを見せる。和央さんのクールな容姿が功を奏したか、茶々の気持ちの切り替え方にきちんとリアリティーを感じました。



茶々は無事男の子を授かります。ところが、茶々が少し目を離した期間に、子どもはあっけなく病死。秀吉は茶々を責め、茶々は淀城に立て籠り失意の日々を送ります。それを救ったのが妹の小督。小督は姉に代わり秀吉に頭を下げます。小督の美しさに秀吉はスケベ心を出し、「わしの世継を生む覚悟はあるか」と問います。秀吉最低。あ、でも演じられてる渡部篤郎さんは好き()。小督役の寺島しのぶさんも、凛とした空気感が和央さんに似ていて、さすが姉妹と思わせる熱演ぶり。結局、小督の覚悟に心打たれた秀吉は、自ら茶々に頭を下げることに。茶々は再び世継を授かる機会に恵まれます。豊臣秀頼の誕生とともに、茶々は奥方の頂点に君臨します。そして秀吉の死から十年間ほど戦のない世が続きます。その間に秀吉の家臣だった徳川家康率いる軍隊が天下統一の機会を狙い戦力を温めていました。秀吉は小督を徳川家に無理やり嫁がせ、千姫という小督の娘を息子秀頼の妻にするために自邸に引き取って育てていました。ひでぇな、おい。徳川家と豊臣家との対立により千姫の立場が危うくなるのを恐れた小督は、砲弾の飛び交う中、茶々のもとに娘を返して欲しいとやってきます。徳川家から城を渡せば命は助けてやると言われた茶々たちだったが、茶々は頑なにそれを拒み、小督がどれほど頼んでも城から動きません。それは千姫も同じでした。愛する夫秀頼のそばにいたいと、母の手を拒みます。この時代の女性たちはほんとに可哀想です。男たちは皆鎧を血に染めながら命を散らしていきます。負け戦と知っていても、武士としての使命を全うするため、秀頼は戦火の中に飛び出していきます。



泣き叫びながら止めに走る茶々がただ哀れでなりませんでした。大切に育てた我が子が死へ向かって去るのをどうすることもできずに、茶々は慟哭します。我々は負けたのだ。そう確信した茶々は残った侍女らを集め、これ以上命を無駄にしてはならない、皆去りなさいと命じます。途端に大蔵卿局が錯乱し、千姫を殺すと叫びだします。あの憎き徳川の血を引いた娘を生かしておくわけにはいかない。短刀を手に向かうも、茶々の世話役のきくに阻止され、大蔵卿局はきくを殺そうとします。きくは怯むことなくたち向かい、奪った短刀で大蔵卿局を刺してしまいます。砲弾の火があちらこちらで燃え広がり、辺りは火の海。茶々はきくに母からもらった護身用の短刀と千姫の命を託します。そして、天守閣へと赴き、自ら屋敷に火を放ち命を終えたのでした。



天守閣を守り、茶々に命乞いをさせようと息巻いていた家康は、炎に巻かれて消えて行く天守閣を呆然と見つめ、「この戦、わしの負けじゃ」と力なく呟きます。



茶々は天国で最愛の母、お市の方と再会し抱きあい物語は幕を閉じます。



徳川家康役の中村獅童さん、貫禄がありました。実年齢よりも年のいった役を見事にこなしていました。



家康の家臣役(本多?)、松重豊さんも、びっくりするほど年老いた侍役を演じていました。



はつ役の富田靖子さんのナレーション、耳に心地よかったです。富田さんも年齢不詳ですよね。いつまでもお若い。



しかし、キャスティングの豪華さに負けてない和央さんの演技、ちょっと誇張気味な話し方がまた良かったりもして、終始目が離せませんでした。苦手だった時代の歴史についてもお勉強させて頂きました。



和央さんの美しいお姿を描いてみたのですが、あんまり似てないワ()