(実況⑪よりつづき)
2月5日昼
椿と楓は受験から解放されて、「早く学校に行って友達に会いたい!」「遊びたくて仕方がない!」とウズウズしている様子。
猫魔とパパは、合格に浮かれて入学手続きを忘れてしまってはパーになると思い、B中学の入学手続きを入念に確認。
そして、B中学への進学を決めた我が家は、早速、日能研への合格御礼挨拶に行くことにした。
校舎の専属の先生方の中には数日後に異動する先生もいたし、続投する先生方も、2月6日以降は交代で休みをとると聞いていたので、5日の今日であれば、全員そろっているところへ挨拶に行けると思ったからだ。
5日目の今日も戦っている子もいるだろう。
夕方以降になると、また、今日受験されたお宅からの電話がかかってくるだろうから、邪魔にならないよう、午後の早めの時間に、猫魔、パパ、椿、楓の4人で、日能研の校舎を訪れた。
先生方へのお礼の品は、合格酒が通例と言われるが、日本酒の一升瓶は重たいし、分けにくいし、苦手な人もいるかもしれないし、他の方が持ってくるだろうからと思い、ビール券と菓子折りを持参した。
「こんにちは~!!」
ガラッと扉を開けると、幸い、お世話になった先生方は、皆そろっていた。
猫魔:猫魔です~!!合格御礼挨拶に伺いました!
:こんにちは~。
先生方:椿ちゃん、楓ちゃん、合格おめでとう!!
:ありがとうございます。(←恥ずかしがりやのため、声小さい。。。)
椿と楓が、B中学の「合格証」を見せると、S先生がコピーをとっていた。
S先生:二人ともよく頑張ったね!! B中学はね、僕が、20年前に、最初に受け持った生徒が合格した学校なんだよ。
:そうなんだ~。
N室長:入試本番は、想像以上に厳しかったでしょ?
楓:うん、大変だった。。。 難しかったし、本当に疲れた。。。
猫魔:S先生には、いろいろと相談にのっていただき、有難うございました。毎日連戦で二人とも疲れ切っていて、私としても、B中学に入るのもこれが最後かとも思ったんですが、合格をいただけてよかったです。
N室長:本当によく頑張りました。椿ちゃん、楓ちゃん、また、ぜひ、Nフレンズ(新中1生が日能研生に学校紹介をするイベント)に参加しに来てね! B中学はね、しっかり勉強させる学校だから、宿題も多いらしくて、進学した子に「来てよ」って伝えても、忙しいって言ってなかなか来てくれないんだよね~。椿ちゃんと楓ちゃんも勉強しっかりがんばってね!
:はい。がんばります。
N室長:そこのメッセージボードに、受験を終えた今の気持ちを書いてね!
N室長から言われてメッセージボードを見ると、まだ少ないながらも、既に、先に合格御礼挨拶に来た子たちのメッセージが書かれていた。
「受験とは、自分との闘い」とか、いろいろな感想が書かれている。
その後、猫魔たちは、校舎の入口の壁にズラッと貼られた合格短冊を見上げた。
日能研〇〇校 総勢〇〇名
~みんながあけたドアの数~
いま、未来に向けて。
日能研生があけた未来へのドアの数です。
合格おめでとう。
とてもたくさんの学校名と名前が並んでいて、猫魔は上からざっと目で追っていった。
椿と楓が戦っていた間、校舎の仲間のみんなもそれぞれ戦いに挑んで、こうして合格を勝ち取っていったんだなと思うと、目頭が熱くなった
椿と楓の名前も仲良く並んで書かれていた。
椿と楓が戦い、合格をとってきた学校だ。
椿:B中学、E中学、F中学、X中学(埼玉)合格
楓:B中学、E中学、F中学、Y中学(埼玉)、Z中学(地方)合格
校舎の先生方のためにも、(我が家は貢献できないけど)、我が学年からも、ぜひ御三家や難関校の合格者も出ていてほしい、と目で探していくと、御三家を発見! そのほかも、KO中等部とか、多数の難関校の名前があったので、猫魔はホッとした
猫魔が勝手に、Mクラスの3羽ガラスとか5羽ガラスとか呼んでいた、席順がいつも1列目の偏差値65~70の岩盤層の皆さんが、多くの難関校の合格をゲットしてくれたんだろう
みんな、本当にすごい。そんな難しい学校でも、本番でしっかり力を発揮して合格をとったんだね!
授業中にいつも寝ていてた男子の「ネテルギウス君」(←オリオン座ベテルギウスのモジり)や、同じくいつも寝ていて先生から「眠り姫」と呼ばれていた女子も合格しただろうか。
ずっと、一緒に勉強してきた仲間。
社会の先生から、「今年のこの校舎の6年生はヤバイ。全然緊張感がない。」と言われたり、算数の先生からも、「近隣の他の校舎よりも成績が悪い。」と言われたりしてしまった、椿と楓の学年。
でも、みんな、よく頑張ったんだ
猫魔は、壁一面の合格短冊を見て思った。
・・・・・・
3年前、小3の2月。
まだ、背も小さく、幼かった椿と楓を連れて飛び込んだ日能研〇〇校。
本当に、二人はまだお子ちゃまで、小さかった。
コロナ禍の始まりで、対面授業が制限されるなど、塾のサイクルに慣れにくい船出だった。
大きな文字のテキスト。大きな字での漢字の練習。初歩的な計算問題。
記述問題の答えはほとんど白紙だった。
知らないことだらけだった。
こんなところからスタートした椿と楓
受験は、まだまだ遠い先のことだった小4。
小5になると、勉強量は増大。毎回、新しく学ぶことばかりで、なんとかついていった。
まだ、受験は1年先輩のモノであり、やや他人事だった。
小6になり、日めくりカレンダーを見ながら、こんなことで間に合うのかと焦り出した春先
夏の勉強まみれの天王山を越え、どんどん受験モードが高まっていった秋
先生方からの声掛けも日に日に大きくなり、仲間の頑張っている姿にも刺激を受け、勉強に励んだ日々。
そして冬 最後は、あんなに幼かった椿と楓でも、受験生として仕上がった。
小6は、本当に濃い1年間だった。
一つの大きな目標に向かって、椿と楓と過ごした濃密な時間。
追い込み時期には、朝から晩までフォローがしんどすぎて、こんな毎日がいつまで続くのか、早く終わってくれ、と何度思ったかしれない。
でも、、、あんなに終わってほしいと思っていたのに、それが終わりを迎えると、なんだかちょっと寂しくなった。
親としては、これで、子供を中学に送り出すという一つの役目が終わったのだ
日能研の校舎を後にして、いろいろ思い出すうちに、猫魔の目はカピカピになっていた。
一方、目の前には、二人で楽しそうしゃべりながら、元気よく歩く椿と楓の背中があった。
二人は中学へのドアを開けて、今度は自分自身で前に進んでいくだろう。
こうして、我が家の中学受験は終わった。
そして、これが、椿と楓の新しい挑戦の始まりだ。
閉ざされたドアの向こうに~♪
新しい何かが待っていて~♪
きっと~ きっと~って 君を動かしてる♪
いいことばかりでは無いさ♪
でも次の扉をノックしよう~♪
もっと~ 素晴らしいはずの自分を探して~♪
終わりなき旅~♪
by Mr. Children
(2023年中学入試 実況 完)
※ 次回からは、また、日能研での受験勉強のことや、中学入学後のことなど、思いつくままに書いていきたいと思います。