日曜日の朝は不思議といつも早く目が覚める。今朝も4時に目覚めてしまって、しばらく布団に潜っていたのだけれど、どうにも寝られそうにないので思いきって起きることになった。
 5時からNHK Eテレの「こころの時代」を観た。
 画家の堀文子さんをインタビューしている様子が映し出されていた。堀さんが番組の終盤に次のような言葉を発した。久しぶりに頭を力一杯ガツンと叩かれたような気がした。

どんなに軽蔑されてもいいから人の命で戦っちゃいけませんね。

 堀さんは憲法9条改変反対の方だ。軽蔑されるというのがどういうことなのか僕にはわからない。人の命で戦おうなんて輩は、厚顔無恥も甚だしいサイコパスのようなものだろうから、きっと軽蔑なんてどうぞご自由に。痛くも痒くもありませんってものだろう。ということは他所においといて、「人の命で戦っちゃいけませんね」というのは絶対真理だなと思った次第だ。
 現在国益を担いながらも憲法9条を変えたい方々は、この言葉を前にして、どのような理屈を並べ立てるのか聞いてみたい気がする。「人の命で戦うことこそ戦争です」「愛国心を持たないといけない」「ロシアや中国や北朝鮮がミサイルを打ち込んできてもされるがままでいいんですか」と橋の下さんのような方にまくしたてられたら、ぼくは多分黙り込むだけだろうと思う。そして加川良さんの教訓1をひたすら頭の中で歌うだけだ。
 堀文子さんは2019年に100才で亡くなられているので、今朝の放送は再放送だった。226事件も、関東大震災も、戦争に向かう日常も、実地体験してきた方の言葉は重い。戦後に生まれて歴史を修正しようとしている人の言葉は、どんなに頭が良くても、知識を横断的に整理されていても、ITに強くても、なぜかどこか軽い。僕はその軽い言葉を聞きながら「なるほどなるほど。たいしたもんだ」とよく頷いている。
 人の命で戦っちゃいけませんね