御茶ノ水へ、購入を考えている楽器を試奏させてもらおうと、中央線に乗って行ってきた。世界一の楽器街と言われている御茶ノ水だ。

 お茶の水橋口改札を出ると広い交差点があって、その両隣に楽器屋がずらりと並んでいる。御目当ての楽器を探すため、まず専門店に入って尋ねてみたところ、そっけなく「置いてない」との答えが返ってきた。2店目、3店目も同じ返答。4店目にしてやっと目的の機種はあったもののボディの色が希望とは違っていた。青っぽい色のやつが欲しかったのだけど黒色しかないとのこと。試奏が目的だから今日のところは色はどうでもいいわけだけれど、実機の色を確認したかったので少し残念ではあった。

 BB〇〇を触らせて欲しい旨を伝えると、高い場所にぶら下げてあったBB〇〇をおろして、アンプに接続して、チューニング等々店員さんがセットして「どうぞ」と渡してくれた。さすが大手タイヤメーカーと同じ名前の大手楽器店だ。3店目までの対応とは大違いだ。

 試しにワングレード上の機種も弾かせてもらえるか尋ねたところ、気持ちよくさっくりと準備して渡してくれた。

 ネット上のレビューやメーカーのHPに並んだ言葉から、このどちらかに決めようと御茶ノ水くんだりまでやってきたのだけれど、残念ながら思い描いていた音よりもかなり固いものだった。店員さんに希望の音筋だとかを辿々しく伝えたところ、「中古になりますけど」と狭い階段横に立て掛けてある1本のF社ジャズベースを取り出して弾かせてくれた。実にいい音だった。でも予算を少しオーバーしていたし、中古品というところに少し抵抗があり保留にして店をでた。本当にいい楽器だった。

 せっかくお茶の水まできたのだからと神保町のボンディでポークカレーを食べた。前回食べたのは6年前になる。6年前は『なんて美味しいんだ』と心から感動したものだけれど、今日はなぜか感動しなかった。ほんのりこれはレトルトか?と疑ってしまった。お腹は空いていたのに、ルーが足りず、ポーク肉ブロックを受け付けなくなって、一片の肉とご飯を1/3ほど残してしまった。駅からボンディまで炎天下を歩いたことによって体調が崩れたのかもしれない。あるいはこの6年の時間経過によって、心を震わせる味覚が劣化したのかもしれない。だとしたら悲しいかぎりだけれど、老化によるものだろうから仕方がない。