「虎に翼」 | 日常記録

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willkomen(・∀・)

令和6年。2024年。

4月から、凄いドラマを毎日見ている。

「虎に翼」。まだまだ男女平等にはほど遠い時代に女性が法曹になっていくストーリー。実在の三淵嘉子さんをモデルにしているが、4月から伊藤沙莉さん演じる〝トラちゃん〟こと猪爪寅子と彼女を取り巻く人物達の世界に目が離せない日々。


「虎に翼」の第1話の冒頭シーンは川辺で1人新聞にて日本国憲法を読む寅子の場面から始まる。先週のストーリーを観るまでは、不平等だらけの世の中で女性が法律を学び、誰よりも不平等や理不尽を知っている主人公が日本国憲法第14条〝法の下の平等〟の条文を読み、新しい時代を噛みしめていると解釈していた。

しかし、違った。

戦争と終戦後の困窮の中で次々と家族との死別を余儀なくされ、感情すら失いつつある寅子が、母から渡された心が壊れる前に贅沢をして、夫の死と向き合うようにと渡された貴重なお金(亡き父の形見のカメラを売って得たお金)で買った焼き鳥の包み紙の新聞を目にした、という設定だったのだ。

焼き鳥だって屋台では食べる気力もなく、代金を支払って去ろうとした。それを焼き鳥屋の店主の女性が新聞の包み紙に包んでもたせてくれたのだ。見知らぬ寅子の表情から何かを察して、あたたかい言葉と共に。


川辺で夫のと共に〝美味しいものは2人で〟と一緒に頬張った記憶を抱きしめて泣きながら焼き鳥を食べる寅子。その焼き鳥の包み紙である新聞には日本国憲法の公布の記事。第14条の条文を目にする寅子。

そして、川辺には亡き夫の優しい笑顔と寅子の幸せを願っていた彼の言葉が蘇る。


弁護士であった寅子は日本国憲法の公布すら知らずに目にすることもないくらい、戦後の日々は毎日が生きる闘いだったのだ。兄の戦死。父の病死。その父により隠されていた夫の戦病死の事実。優秀な弟は帝大進学を断念し家族のために働いている。

戦前は裕福で恵まれた一家は日々食べることにも事欠く生活。


日本国憲法の条文は新しい時代の幕開けでもあるが、夫の願った世界、そして亡くなった家族達、今は消息不明なかつての友人、知人達の願った未来でもある。

三淵嘉子さんも日本国憲法の公布がご自身の人生の転換だったと思われていたようである。


法の下の平等。寅子は戦前には認められなかった女性裁判官への道を見出そうと視線を再び上げる。


主題歌の米津玄師さんの「さよーならまたいつか」も素晴らしい。日本語の美しさと力強さを込めた歌詞。その歌詞の中にある地獄の先に春を見る生き方を寅子が今後歩むのかを観ていきたい。

そして観ている側の人間一人一人も、各々の地獄の先に春を見たいのである。