ここのところインスタやブログのSNS界隈では”私を構成する42枚”なんてのが流行りまくっているようだ。自分が影響を受けたアルバム42枚のジャケットを並べて紹介するもので、作成専用のサイトも用意されている。
自分も今週のブログはこれで!と思い試しに作成しようとしたところ、自分が影響を受けた何枚かのアルバムのジャケットはそこのサイトからの検索では検索しきれなかったのだ。


そりゃ、そうだ。自分が影響を受けたものなんて、ロックの世界でもマイナー中のマイナーなものなんだから仕方ない。


それならもっとミニマムな話題でも、ってことを考えてたらミニマムなアルバム、所謂ミニアルバムに繋がった。 


そもそもミニアルバムの定義とは何か?いろいろ調べてもどうも曖昧。曲数によるのか、収録時間によるのか? レコードの時代においても45回転の12インチシングルなんてのがあったが、同じ45回転12インチでもミニアルバムと呼ばれているものがあってその境界線がよくわからなかった。


まぁ、そんなことを鬱々と考えたていたところで結論はでないだろうし、自分の中でミニアルバムとしてカテゴライズしたものは自分にとってはミニアルバムでいい。


ということで、ザ・モッズの作品からとっておきのミニアルバムを。


モッズの3rdアルバムLOOK OUTは、初めて外部からのサウンドプロデューサーとして一風堂の土屋正巳を迎えレコーディングされた。

これは、バンドにとってはその後の音作りに多大な影響を与えるエポック・メイキングな出来事だったらしい。35年以上経った今でもメンバーが口を揃えてそのようなことを何度も語っているのだから、土屋昌巳によってもたらされた衝撃の大きさは相当なものだったのだろう。

完成されたアルバムはファンの間でも賛否両論が巻き起こるほどで、当時、自分も鋭角さが影を潜めたような、少しポップなサウンドに戸惑ったことは確か。ただ、レッツ・ゴー・ガレージを始め、今でもライブで演奏されることが多い曲が並んだアルバムは、40年以上に及ぶ活動を経て、ファンに愛されるアルバムの一枚になったことは間違いはない。


そのアルバムの完成にかなり満足感を得たメンバーであったが、もっとラウドなものをという欲求もあったようで、その欲求を満たすかのように制作されたのがミニアルバムのGANG ROCKERだ。

A面に新曲3曲、B面にはロンドン・マーキー・クラブでのライブ音源2曲という計5曲で構成されている。

当初、このマーキー・クラブでのライブ盤としてリリースする予定が音源に問題がありフルでリリースが難しかったことに加え、時間の問題で新曲も3曲のレコーディングに終わったようだ。
ちなみにジャケットの写真は、、クラッシュのロンドン・コーリングのジャケット写真でも有名なペニー・スミスの手によるものだ。

A面に収められた彼らの代表曲GANG ROCKERとBLUE RESISTANCEはクラッシュのリハーサル・スタジオで完成させた曲ということもあり、彼らの作品の中でも最も尖った、あえて言うなら最もパンクな曲に仕上がっている。

B面のライブ音源はロンドンで行われたライブからということもあり、既発の曲が英語verで歌われており、当時、この英語verがやけにカッコよく聴こえた記憶がある。


さて、メンバーも実はこの時になぜ3曲だけのレコーディングで終わらせたのか?あの時の空気感や勢いでフルアルバムを制作していたらとんでもないアルバムが出来上がっていたのでは?との思いをずっと持ち続けていたらしい。
そんなたらればの話が現実のことになったのが、GANG ROCKERリリースから26年後の2009年。
GANG ROCKER…Ifというタイトル、全11曲のフルアルバムとしてリリースされた。

このアルバムの軸と言ってもいいであろう”シャレたクツの下に”は、GANG ROCKER制作と同時期に歌詞以外はほぼ出来上がっていた曲らしい。

こんなサプライズが長い間ファンを続けてきた者にとって嬉しくないはずはなく、想像以上に楽しめたアルバムであったが、ミニアルバムGANG ROCKERがあんなにヒリヒリ感じられたのは、やはりあの時代感と、凝縮されたスタジオ+ライブの5曲こそだったからだろうと思えたのもまた事実。


もしかしたらミニアルバムにはフルアルバムでは味わえない疾走感や緊張感があるのかもしれない。そんなのを味わえるならミニアルバムという形態でリリースされるのも案外悪くはないのかもと思えて仕方ない。


ホントならこの他にルースターズのINSANEとエコーズのNO KIDDING、2枚のミニアルバムも紹介しようと考えていたのだが、やはりモッズについてはついつい饒舌になるようで、思いの外長くなってしまったので、これらの2枚はまた次の機会に、ということで。



今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。