愛しい人よ


と言っても色恋の話ではない。

先日いつものようにヤフオクの検索条件べース,FENDER,OPBで物色していたところに引っかかったのがSquierのCrassic Vive 50sシリーズのOPB。

以前、自分も使っていた機種。色(レーシックブルー)も一緒。
もう10何年も前の40代後半の頃、久しぶりにベースを弾きたくなり、どうせならあまり出回ってないけど自分の好みのタイプ(OPB)のベースも欲しいなぁなんて思って探し当てた機種だ。

本当はFenderのがよかったのだが価格的に手が出ず、Fender系列のSquierのモノがちょいキズ新品ということで6割引きくらいで手に入れたはず。レーシックブルーってカラーもオールド感があってかなり気に入ってた。


これを手に入れてからは、ベースのフレーズが印象的な曲をコピーするのが楽しくて仕方なかった。


楽器に向き合う日々も10代の頃以来だった。

色んな曲をコピーしているうちにベースも色々欲しくなり、ジャズベも手に入れ

ついにはFenderのOPBも手に入れた。FenderはFender でもJAPANの方だが…。

ここでやめればいいもののバイオリンベースが欲しくなり、手頃な値段の中古品を見つけたときにSquierのOPBを下取りに出すことに決めたのだった。

ベースを再び弾き始めるきっかけになったモノだし、後からブリッジカバーなんかも装着して見た目もオールド感満載で気に入ってたが、FenderのOPBもあるし、狭い部屋にベースを4本も置けないし、何よりこいつを下取りに出したら出費も抑えられると自分に言い聞かせ。


当たり前であるが、ほどなく下取りに出した楽器店の店頭にそのOPBは飾られた。
それからは店の前を通るたびに「あぁ、今日も無事に飾ってある」と思いながら元の愛器の前を通り過ぎる日々。(この楽器店、自宅マンションの3軒ほど隣にあるので毎日いやでも目にしてしまうという・・・)


なかなか売れない元の愛器はいつしか店の奥の方に移され、ついには目にすることがなくなった。
もう半年以上前のことである。


多分売れてしまったのであろう。


ちょっと寂しくもあり、「新しい主人には長く大切してもらってくれよ」なんて気持ちもありの最後の別れ・・・のはずだった。

で、冒頭のヤフオクで目にしたやつである。

検索で引っかかったOPBには、元愛器と同じブリッジカバーとピックアップフェンスが装着されている。

おやおや自分と同じくわざわざこんなのを取り付けてる人がいるんだなと思いながらも、頭の片隅では「まさかアイツではないよな」なんてことも考えている自分。

先のページに進みいくつかの写真を確認すると、ボディに見慣れた傷とへこみ。


間違いない。


自分が1年以上前に売り払ったやつだ。
懐かしくて涙が出そうになった。やっぱりコイツが好きだったんだ。 


ここで落札でもすれば感動の再会ストーリーとなるところだが、中古品ではあるが自分が手に入れたときの倍近い値段。バイオリンベースを手に入れたときに軍資金はなくなっている。

残念ながらそいつが落札されるのを見守るしかなかった。

それにしても出品元が岡山県となっているってことは、ここ札幌の楽器店にあったものがこの短い期間で一体何人の手を渡ってそんな遠くにまで行ってしまったのだろう?

長い旅路でくたびれていやしないか?

などと余計な心配をしつつ、どこかの遠い地で誰かに大切にされている愛しい人(愛器)を想像する。


そして、次に見つけた時には必ず取り戻してあげるからその時は元の主人を慮って少しは安い値段になっていろよ、などと随分自分勝手な願いを投げかけるバカ者であったのだ。


今週もお付き合いありがとうございました♬