木曜の夜、家人の35年来の友人の訃報が届いた。

大動脈解離。部屋で見つかった時にはすでに息はしていなかったらしい。当日、見つかる前までは変わりなく普通に過ごしていたというのにだ。


家人より1つ下というから56歳。

あまりにも早すぎる突然の死。

いや、人間なんていつどうなるかわからない。自分も明日、今と同じように生きているかどうかだってわかりはしない。ましてやもうすぐ60歳、いつ迎えがきたっておかしくないのかもしれない。


これはやりたいことは一つでも多くやっておいた方がいい、ということで観に行こうかどうか迷っていた2本の映画、週末はこの2本の映画を観に行くことを即断した。

年に一度行くかどうかの映画館なのに、一気に2本の映画をはしごするなんてのは人生初の体験である。


金曜午後の仕事を早めに切り上げさせてもらい、普段のランチでよく利用する駅ビル地下の喫茶店(決してカフェではなく喫茶店というやつ)で朝食兼昼食兼夕食を済ませてから映画館に向かうことに。
ここでも後悔しないようにと、普段のランチでは手を出さないオムライス+グラタン+エビフライ+コーヒーのBセットを。

喫茶店の洋食ものは抜群においしいというわけではないけど、なぜかいつもワクワクしてしまう。ましてや大人様ランチと言ってもいいセットものならなおさら。


食事を済ませ、徒歩で15分ほどの場所、開拓使麦酒醸造所跡地で全天候型アトリウムを中心にしたショッピングモール内にある映画館に向かうことに。


まず1本目は、言わずと知れたギタリスト布袋寅泰の活動40周年アニバーサリーを記念して制作されたドキュメンタリー『Still Dreamin’ –布袋寅泰 情熱と栄光のギタリズム』を。

BOOWY解散後の彼のソロ活動を熱心に追ってきたわけではない自分にとってその軌跡のほとんどは知る由もないストーリー。しかし、第一線で40年も活動を続けてきた一人の男の軌跡に引き寄せられないわけがない。

決して上手いとは言えない布袋自身のナレーションも一興。


ロンドンにある自宅での自撮り映像、コロナ禍を軸に据えたストーリー展開、ライブヒストリー等々見所満載と言っていいだろう。


まだ公開中なので詳細は控えるが、先日リリースされたニューアルバムのタイトルチューンで映画のタイトルにもなっているStill Dreamin’の歌詞にもなっている「君は今も夢を追いかけているか?」という布袋の問いかけが映画を観終わった後もずっと胸の奥に残ったままだ。

それにしても広い映画館に観客は自分を入れてたったの3人だけ。開演時間が平日の17時30分ということもかなり影響はしているだろうが予想をはるかに下回る状態で驚きだったが、コロナ感染が広まる一方の時期なので個人的には安心して映画を観ることができたのはラッキー。

2,500円のチケット代金はちょっと高すぎとも思ったが、このくらいゆったりした気持ちで鑑賞できたのだから良しとしよう。


1本目終了から1時間後には2本目の『ザ・ビートルズ GET BACK ルーフトップ・コンサート』を同じ映画館の違うスクリーンで。
ザ・ビートルズの伝説のラストライブパフォーマンス、ルーフトップコンサートを余すところなく、しかもIMAXシアターで観ることができるもの。

最近、ディズニープラスで6時間にも及ぶ映像が配信になって大きな話題になっているが、ディズニープラスを契約していない自分としては、こちらの映画を観る選択しかなかったのだが。


ビートルズフリークにはライブ以外のところも既知の内容なのだろうが、GET BACKが収録されているLET IT BEを始めとする彼らのアルバムはどれもコレクションしているにはいるがそこまで熱心なファンではない自分にとっては、こんなこともあったのかーなどと思いながら最後まで楽しめたのはラッキー。


どちらかというとポール寄りになりがちな自分にとって(映画もポールに寄せてるように感じたのは気のせい?)、ジョンのギターを弾く姿の多くの場面に心惹かれたのは自分でも意外であった。

それにしてもIMAXシアターがどんな感じなのか知りもせずにコロナ禍を意識して一番前の端の一人席を予約していたら、あまりにも広い劇場と大きなスクリーンに驚き。

一番前の席と言っても階段をかなり上がった所にあったのだが、音の迫力は充分楽しめてもスクリーンが大きすぎて映像全体を堪能できなかったのが残念といえば残念。今度IMAXシアターを利用する時は後方席を確保することにしよう。


たかだか映画2本ではあるが、映画を観に行くハードル、しかも仕事を早く切り上げて1日に2本も、って自分にとっては殊の外大きなチャレンジ。
それなりにお金は使ってしまったが、観に行かない後悔より観に行って失敗する後悔の方がよいと思ってのこと。実際のところどちらも大いに楽しめて後悔することはなかったが。

後悔のない人生なんてありはしない。
でも、一つでも後悔することを減らすことはできるはず。
まずは観たいもの観て、聴きたいものを聴き、食べたいものを食べ、飲みたい酒を飲む。
お前の後悔する、しないの源はそんなところにしかないのか!という声が聞こえてきそうだが、まずはそんなとこでしょ。

TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIE


60歳近くなってもそう思える人生って案外いいのかもよ。



TOO FAST TO LIVE,TOO YOUNG TO DIEを歌った二人も若くして旅立ってしまった…。


今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。