日比谷野外音楽堂、通称野音と呼ばれるこの場所が好きだ。
いよいよモッズの野音ライブ「約束の夜」までのカウントダウンが始まった、と一人ほくそ笑んでいたこの火曜日。仕事を終え家に帰ると、発売日を1日前にしてモッズのニューシングル「READY TO ROCK」が届いていた。
ジャケットに配されたタイトル文字はモッズファン、いやロックファンなら誰もが知っているあのバンドのアルバムジャケットに刻まれたタイトル文字と同じ2色が使われているところが、こちらの心をくすぐる。
CDを赤いレトロなラジカセにセットするといきなりのギターリフ。そこにもう1本のギターが重なり、続いてドラムとベースが絡み、森山のREADY TO RO~CK!!という叫びで曲の幕が開ける横道の流れ。
だが、これに続く”Wo oh oh oh oh oh”のコーラスがあまりにもメロディアスで、今までのアッパーナンバーとは一味も二味も違うぞと、こちらを一気にゾクゾクさせる。
少し力が抜けた感じの前作BRICK DISTORTIONももちろんよかったが、そこから2年も待ったのだから、完膚なきまでのこれぞモッズスタイル!な今作に胸を躍らせたって誰も文句は言わないだろう。
アエグ世界
沈黙のキラーを止めろ
病んだ世界
答えもなくゴールも見えず
歌詞のあちこちにコロナの影が見えるのはこの2年間を思えば当然と言えば当然か。
シングル発売告知でこの2曲目のタイトルを目にしたときに、タイトルナンバーよりこっちの方がきっと自分の心に突き刺さるだろうと感じた予感は的中した。
冒頭のギターから泣ける。
初めてなのに懐かしい、そしてそれ以上に優しすぎる。
涙のワンウェイを行け
曲がりくねった道だけど
涙のワンウェイを行け
飛ばし続ける 走り続ける
それが それが 俺だから
この歌詞にどれだけのファンが己が辿ってきた道を重ねるだろうか。傍から見たら平凡に見えるだろう自分の道も行くところまで行くしかない片道切符の旅。
だから今までもこれからもただ走り続けるだけ。その途中でこうやってロックに救われるから後戻りせずに進めるのだ。
3曲目はライブバージョンのTWO PUNKS
今さらなぜTWO PUNKSを。疑問を抱かずにはいられなかった。
確かにこの曲はモッズデビューから、あの雨の野音から続くモッズとファンの間の絆となる曲ではある。だからと言ってここにきてシングルのラストにもってくることはないだろう、と。
それでも収められているのだから聞かないわけにはいかない。曲が進み間奏のところで森山が観客向って語り出す。
まぁ、なんとかねこうやってまた戻ってこれることができました。
色んな、まぁ大変な事っていうか、そりゃ長くやってりゃ誰にもある事だと思います。
俺だけじゃなく、ここにいるみんなにも、あったやつもいればこれからある連中も一杯いると思います。
どんな悲しいことがあってもきついことがあっても今日の日を覚えていてください。
戻れるんだ。
ずっとロックが好きなら大したことない。
ずっとロックが好きでいれば。
この感じを味わいたい。
みんなずっとロックを好きでいてください。
この言葉を伝えたいがために、あえてTWO PUNKSを収録したのか。2016年のライブからということだから、森山の体調不良で多くのライブがキャンセルされた後の復活ライブなのだろう。
ずっとロックを好きでいれば大したことない。
次の土曜の夜、多くのファンが、そしてその中の自分も日比谷の空の下でそう思うのだろう。
新曲と一緒にTシャツとマスクも届いた。
昨日は散髪に行き髪をバッサリ切り落としてきたから日比谷には思いっきり髪を上げて行ける。
Let’s Get Ready To Rumble!
Let’s Get Ready To Rock!
野音への準備は整ったのさ。