コロナ禍以降モッズ4度目の配信企画はデビュー40周年を記念してライブハウス鹿鳴館で撮り下ろしたというオンラインギグ。


1983年10月31日のテレビ番組「トップテン」の中継を思い出さずにはいられないあの目黒鹿鳴館でのライブ!! しかもセットリストは初期のナンバーに限定、となればモッズファンは誰しもが興奮を抑えきれないだろう。

前回の配信はライブというよりセッション的なものだったことを考えれば、今回はモッズ史上初(?)と思われる無観客でのライブということにも注目。

昨日、一週間の配信期間も終わったということで、少しだけ曲順にライブの模様をお届けすることにしよう。


1. GANG ROCKER<from GANG ROCKER>
一発目にこの曲を持ってこられると、やはりテンションがあがってしまうが、微妙にテンポが遅く感じるのは無観客とはいえ久しぶりのライブ、加えて観客がいないことも影響してのことだろうか。しかし、そんなことはどうでもいいほどに久しぶりのモッズの演奏に涙が溢れそうだ。


2. が・ま・ん・す・る・ん・だ<from FIGHT OR FLIGHT>
一曲目を終えエンジンも温まってきた様子。

この曲を聴くといつも、あの日の野音でこの曲の途中にライブが中断する場面にフラッシュバックしてしまうのは致し方のないところか。


「ここで諦めちゃ奴らの思うつぼ」が、今、この時に響く。


3. WATCH YOUR STEP<from FIGHT OR FLIGHT>
「ずっと、ずっと、ここでやってきたぜ」との歌詞が歌われた時、「俺たちはずっとこのステージでやってきたんだから、何があろうとこれからもこのステージに立ち続けるぜ」という決意に聞こえたのは自分だけだろうか?

3曲目が終わったところでいつもどおり「こんばんわ、ザ・モッズです」の挨拶。画面の向こうにいるファンに向かって「拍手を」と苦笑いのモリヤン。いつもとは違ったステージはかなりやりずらいのだろう。


4. 夜が呼んでる<from NEWS BEAT>
ライブで一度聞いてみたかった曲がついに。アレンジは少しブルージーな感じで、当時からお気に入りのロンドンコーリングに似たマイナーコードのカッティングギターのイントロではなかったのが少し残念ではあるが、呼んでいる♪に続く、フーウー♪のコーラースはそのままだったのでよしとしよう。


5. U.K.Flight 583<from JAIL GUNS>
モリヤンがTVイエローのシングルカッタウェイレスポールジュニアに持ち替えたところで、苣木教授の出番。ここでもいつもどおりの「ハロー」の挨拶に涙。

初期の曲から教授が歌う曲と言ったらこの曲以外は考えられないという選曲、


6. One Boy<from LOOK OUT>
この20年以上はライブでほぼ聞いた覚えがない垂涎の選曲。モリヤンがここで語っているとおり、雨の野音はこの曲が始まったところから、という曰くつきのナンバーだ。
当時は、TWO PUNKSに続く名曲が生まれた!!なんてことが雑誌に書かれていたような。


7. 夜のハイウェイ<from BLUE>
当時、デビュー前からの名曲だとの噂で持ちきりだったこの曲が聴けるまでに5枚目のアルバムまで待つことになるとは。

この曲を聴くとやはり映画「夜のハイウェイ」を思い出さずにはいられない。DVD化してくれると嬉しいのだが。


8. BOY MEETS A GIRL<from CORNER>
6枚目のアルバムCORNERから唯一のセレクト。


9. DO THE MONKEY<from NEWS BEAT>
ライブでは定番のミニアルバムGANG ROCKERに収められたライブバージョンの英詩アレンジで。いつかNEWS BEATの方の日本語バージョンで聴いてみたい。

曲が終わったところで、モリヤンが音楽業界が置かれている苦しい状況を語る。「俺たちにとってロックを奪い取られると何のために生きてるのか・・・」と吐露してからの次曲BACK STAGEは心に響くなんてものじゃない。


10. BACK STAGE<from BLUE>


11. POGO DANCING<from C/W バラッドをお前に>
キーコが「四の五の言わずにポゴダンシング」と珍しく険しい表情での曲紹介から。
ファンもそうだが、メンバー自身があの熱いライブを一番望んでいるのだろう。



12. Guns In The Jail<from JAIL GUNS>
ライブテイクのアルバムにカップリングされた3曲入り12インチシングルから2曲目のセレクト。モノクロのアルバムジャケットのカッコよさに引けを取らない曲のカッコよさは今もそのまま変わらず。


13. ご・め・ん・だ・ぜ<from NEWS BEAT>
CD化の際に「ピー音」対応された部分はDVDでも毎回「ピー音」となっているが、今回は全員での「ウーワー」のコーラスに変わり、きらりと光る。


14. ONE MORE TRY<from FIGHT OR FLIGHT>
本編ラストは今一番自分に響いてくる曲。

さぁ目を開いて 自分の一番好きなところまで
さぁもう一度 思い切りやれよ
わかったふりして 死ぬよりは
何でもいいから やってみるんだ

40年経ってもこの曲に込められたメッセージは不変。


ACL1
15. ゴキゲンRADIO<from NEWS BEAT>
いつものジョーカータイムのような衣装で登場のモリヤン。と思ったら、まさかのゴキゲンRADIO。途中、「カモン!!カモン!!」と煽りつつ、曲のラストでジョーカータイム的なポーズでキメられ完全にやられました。



16. 記憶喪失<from NEWS BEAT>
アルバムに合わせたかのようなゴキゲンRADIOから記憶喪失への流れは、あまりにも圧巻としか言いようがない。


17. 不良少年の詩<from FIGHT OR FLIGHT>
個人的には今回のオープニングナンバーとして期待していた曲が1度目のアンコールラストに。


ACL2
18. 激しい雨が<from HANDS UP>
あの日のトップテンを意識したのか、2度目のアンコールで楽屋からステージ向うメンバーが映し出される。
あの時は司会の堺正章に「今までどのような活動を・・・」と聞かれ、すぐさま「音楽活動です」と応えた場面が頭を過ぎる。

画面の方もこの曲だけ古いフィルムで映したような演出がされているところも心憎い。



19. NO REACTION<from FIGHT OR FLIGHT>
ラスト前はまるで今回のステージのようなタイトルの「NO REACTION」。
教授とモリヤンのツインリードは短いながらもラスト終盤の聞きどころ。


20. TOMORROW NEVER COMES<from FIGHT OR FLIGHT>
今日すら見えないのに TOMORROW NEVER COMES
身体はまだ無傷さ TOMORROW NEVER COMES

ラストナンバーにセレクトされたのは40年を経てなお現在を切り取ったかのような1曲となったのは当然意識してのことだろう。


無観客の中、圧巻のステージングを見せたのはさすがではあるが、やはり改めてモッズのライブはファンとのコール&レスポンスで成り立っているのだとも痛感させられたライブでもあった。
いつもより狭いステージであるからこそ、それはなおさらだろう。

しかし、そこを埋め合わせるかのような高度なパフォーマンスは、彼らが長い間培ってきた(演奏だけではなく観せるということにおいての)技術に裏打ちされてのものなのは間違いない。
また、様々なアングルから彼らを追うカメラワークも今回の作品の大きな魅力。

前回の配信が7月7日にDVDとしてリリースされるが、今回の配信も是非DVD化を望むところだ。

最後に、今回の配信では、キーコのベースプレイが今までのどの作品よりもしっかりと聞けるところが一番のツボでした。