基本的に通勤中に音楽を聴くということはしていない。
それでも一年に一回くらいの周期でどうしても出勤の道すがらに音楽を、パンクロックを聴かずにはいられない時が訪れる。
朝からパンクロックを聴かずにはいられない状況、繰り返し聴きたくなるアルバムとの出会い、その2つが偶然にも重なった時、今がまさにそんな時だ。

パンクな生き方と正反対の位置にいると見られることが多いサラリーマン。サラリーマン=平凡、同じ繰り返しの毎日、やりたいことを我慢、そんなイメージのとおりな部分もあるのだろうが、意外にもサラリーマンの日常は起伏に富んだものだ。
その起伏が一気に激しくなったところに、トラブル、どうでもいいしがらみ、主体性のない輩、正しいと思えることがどうにも押し通せず理不尽なことがまかり通ることだらけ、それらが一気に訪れるバイオリズム。
3月に入ってそんなバイオリズムに、なんだかやる気が起きないスイッチまでが重なり、なんとか自分を保たせるために、自分を奮い立たせるために、会社までの道のりでパンクロックが必要になる。

そんな時にたまたま出会ったTHE KNOCKERSのアルバムKNOCKIN' BLUES。


ここ2週間ほどはこのアルバムを片道1時間ほど歩く朝の通勤の時に繰り返し繰り返し聴いている。

疾走感たっぷりのパンクナンバーMinor Seventhから始まるこのアルバムは、どの曲もギターが、ベースが、ドラムが歌っている。

上手い下手はよくわからないが、ドラムが歌ってるなんて感じたアルバムは横道坊主の「悲しみ、月、そして希望」以来かも。



そしてどの曲も言葉が胸のど真ん中に届いてくる。

ポケットん中につっこんだままの 

昨日のウソが 小銭より重くなる

(by Minor Seventh)



忘れられない唄が一つあればいい

(by Yes,I Do)

さんざんやられたパンクも 

オレのすべてにはなりはしない

(by Yes,I Do)



忘れちゃいけないことはすぐに忘れるのに

忘れてしまいたいことは

いっつもいつまでも忘れられねえ

(by One Way Song)



安酒 安タバコはやるが 

安い人生はイヤなんだ

(by 人生はジャーニー)

ムダにかっこつけた日は 

テメェのしょうもなさ あざ笑う

(by Knockin' Blues)


見えねえぜ 明日につづく道が 

酒のせいか アホのせいか ホワイトアウトのせいか
探すぜ お前に会える道を 

いつだって探している ホワイトアウトの中で

(by White Out)

White Outで歌われる明日に続く道が見えない日々の景色に自分を重ね、ちゃんとしなくていいんだと歌いながらも「ちゃんと生きてるよ、この人たち」と思わせる曲たちにちょっと救われ、少しだけ前に進もうと思わせてくれる。

これこそがパンク。

明日どころか、今日ここですべきことすら見いだせずWhite Outが続くこの道から抜け出せるのは一体いつなのか。

一見ごくごく普通のサラリーマンにしか見えないおっさんも、意外に日々見えない何かにもがきながら、パンクロックに救われちゃったりしてるのだ。


パンクロックがすべてじゃないけど、パンクロックがあればなんとかなるだろう。


そうやって生きていくしかないんだよ。