ここのところ地域、コミュニティ、ローカルなんかの言葉が思い浮かぶモノたちとの出会いが多い。

まずは、S-KEN。
リザードのモモヨがサウンドコーディネートで参加したファーストの「魔都」は80年代初頭のリリース時に購入して聴いていた。

1983年に発売されたセカンドの「ギャングバスターズ」は発売時から気にはなっていたが、モモヨも参加していないしというこで後回しにしているうちに30年以上も経ってしまったていたものを、ここにきてようやく。

で、S-KENと地域、コミュニティ、ローカルがどう繋がるかということだが、S-KEN、リザード等からなる東京ロッカーズは、東京六本木のビル地下にあった小さなS-KENスタジオで産声を上げた東京発の一大パンクムーブメントだった。

僕はこの東京ロッカーズは日本の首都で大都会の東京、というより、東京という一地方で巻き起こったムーブメントが全国に拡がったものと受け止めている。そう、東京だって日本の一地方にすぎないのだと。
久しぶりに再会したS-KEN、あの頃に生まれたアルバムを手にしながら、そんなことを考えていた若き日の自分を懐かしく思い出していたのだ。


そして先週末手に入れたTHE KNOCKERSの「KNOCKIN’ BLUES」。

THE KNOCKERSはここ札幌を拠点に日本全国に渡りライブ活動を展開するパンクバンド。

2016年にリリースされたときにこのアルバムを紹介するHMVの店頭ポップで初めて彼らのことを知った。ちょっと、いやかなり気になって買おうかどうか迷ったのだがS-KENのギャングバスターズ同様後回しにしているうちに約5年が過ぎていたが、先週末に立ち寄った中古ショップで見かけ、今回は迷わず購入。

メロディーが、歌が、心を揺さぶる。


クソッタレな言い逃ればかり見せつけるどこかの国の政治家たちよりずっと誠実な生き方をしているであろう愛すべきクソッタレ野郎の思いを感じることができる、新品で買わなくてゴメンなさいな一枚。



思い返せば一昨年、元ZETTのウルフが出演するライブを観るために、自宅から10分ほどのライブハウスに初めて行ったとき、店の入り口で迷ってる自分に声をかけてくれたのもこのバンドのボーカルの方だった。

ここ札幌にも素晴らしいバンドがいるんだということを改めて実感。

そういえばケントリのケンジも今は札幌を拠点に全国展開の活動を続けているし、ワールドワイドではないローカルワイド?なものたちに目を向けていくのも悪くはないかも、なんて気分に。


最後はミュージシャン白浜久氏のブログで紹介されていたのを読んで即購入(電子書籍だけど)した、ブレイディみかこさん著「ワイルドサイドをほっつき歩け」


英国ブライトンの公営住宅地に住む著者。そしてその連れ合い(夫)と連れ合いの友人たち。60代を迎えた労働者階級(その昔はスキンヘッドなんかだったキッズたち)であるそのダメダメオヤジどもの日々の暮らしを通しての英国社会の現在、英国社会が抱えるEU離脱を始めとしたさまざまな問題が語られるのだが、登場するオヤジたちのダメダメでありながらも、自分に、社会に誠実に向き合う姿が、先のTHE KNOCKERSで歌われるものと重なる。

そう、愛すべきはいつだってその辺にいる普通のオヤジたちで、市井のごくごく普通の庶民こそが地に足を付けて誠実な生き方をしているのだ。


ガキの頃から一緒だった仲間と近所のパブでラガーを飲みながらくだを巻く英国のおっさんたちのコミュニティは、社会に出るまで過ごした街に帰っても会うことができる仲間が一人もいない自分にはなんか羨ましい。
いや、東京に行けばなんでも語れる仲間がいるし、ここ札幌にだって60歳を前に早々に退職しちゃった酔っては下手くそなキャロルの歌を聴かせる愛すべきダメオヤジ(会社の先輩)がいる。

英国のようなパブはないけど、近所に馴染みの居酒屋もあれば、ライブハウスだって歩いて行けるとこにあるのだから、愛すべきクソッタレオヤジたちとくだを巻きながら酒を浴び、たまにはライブハウスにふらっと出かけて地元のバンドを観て愉しむ。

そんな最高な週末が早く来ることを願う、コロナ禍が続く今の週末なのである。