パンク、ロックンロール、ポップス、オールディーズ、レゲエ、ハードロックetc、様々なジャンルの音楽を聴いてきたがブルースやソウルミュージックと呼ばれる類の音楽にはほとんど手を出してこなかった。ローリングストーンズよりビートルズを好んで聴くタイプなのだから推して知るべしだろう。


CD、レコードのコレクションをざっと眺めてもそれらしきアルバムは何一つない。ギリギリのところでストーンズとRCサクセションくらいなとこだ。


それが、ここのところソウルシンガーエタ・ジェイムスのTell Mamaというアルバムがヘビロテになっているのだ。

日本のロックバンドTHE MODSのインスタでベーシストのキーコが<エタ・ジェイムズの「テル・ママ」素晴らしいアルバム!歌が凄いのはもちろん、グルーブが最高。ベースとタイコのタイム感、好きだなぁ>と紹介していたのを目にしたのがきっかけだ。

エタ・ジェイムスは1938年アメリカL.Aに生まれ、14歳で!バンドリーダーとして有名だったジョニー・オーティスに見いだされ、1954年には初レコーディングを行ったという。

本作テル・ママはアメリカ南部の名門フェイムスタジオで同スタジオの出入りミュージシャンとともに制作し1968年にリリースされたものだから、50年以上の時を経ての出会いということなる。

軽快なドラミングで始まるアルバムタイトルにもなっている1曲目テル・ママはクラレンス・カーターの「テル・ダディ」を改作したもので、R&B10位、ポップス23位と彼女の最大ヒットとなった代表曲だが、当の本人は当時からこの曲が嫌いだったらしい。その理由はアルバムのライナーに詳しく書かれているのでそちらに譲ろう。
そんな本人の思いを裏切ることになるが、ベースとタイコのノリ、ホーンセクションが入いりこんだ時の高揚感、キーコの言葉どおり、まさに最高のグルーブであるこの1曲を聞くためにアルバムを買ったとしても全くもって損はしないといえるほどの名曲、名演だ。

いや、本編12曲に10曲もの未発表曲、アウトテイクが加えられた国内盤が定価1,000円なのだから損するなんてことはあるはずもないのだが。

普段ピックを使ってベースを弾いてばかりの自分が指弾きで耳コピしてみたが、単純なベースラインであるが故にかこのノリを出すのはちょっと難しい。単純に技術が追いついていないだけなのだが…。
まぁ、クラッシュやモッズを始めとするビートを前面に出したピック弾き中心の曲ばかりコピーしている自分に、ソウルミュージック、しかも指弾きでベースをコピーさせるくらいにこの曲には大きな魅力があるということだ。

指弾きコピーで中指にマメができたのも技術のなさなのだが、マメができたのがちょっとだけ嬉しいという楽器を始めた頃のワクワク感を60歳近くになって味わえてるのも、この曲、アルバムとの出会いのお陰か。

モッズ不動のベーシストキーコもダウンピッキングでのベースプレイのイメージが強いが、このようなルーツミュージックのベースをお手本にしっかり基礎を叩きこんできたからこそ、現在に至るまでの長い間バンドの土台を支える素晴らしいベースプレイを披露することができるのだろう。

そういえばキーコもデビュー当時は指弾きだったし、ピストルズのグレン・マトロックもパンクバンドでは珍しい指弾きのベーシストだ。

今夜はベースを抱えながらピストルズのDVDでグレン・マトロックの指弾きベースプレイを堪能しよう。



終わりに。

テル・ママがモッズのインスタで紹介されていたのはついこの前だったと思ってたら、なんと2019年7月31日にあげられたものだった。1年半以上もの長い間をほんのついこの前のように感じていたオイラの時間感覚って・・・ちょっとやばい。