愛読しているブロガーさんが軒並み忙しい日々を送ていらっしゃるようで、やはり師走が近づくと皆さん大変なんだなぁなんて呑気に構えていたら、自分もこの土日は出勤になるし、週明け月曜は朝から23時までの勤務予定になるしと、1月から続けていた週1のブログ更新も1年間達成を目の前にしてついに途切れてしまうのか・・・と少し焦ってしまったところだが、ここは一発気合を入れて。

いつもとちょっと違ったシチュエーションでのブログ更新ということもあり、今回はロック雑誌の増刊号についてを。

そもそも増刊号とは何かを調べてみたら「雑誌などの定期刊行物で定まった時以外に刊行されるもの」、「本誌意外に臨時で発行する号」と。ちなみに別冊は「本誌とは別に編集し、本誌に付随して刊行する雑誌のこと」とのことだが、高校時代読んでいた別冊マーガレット(!!)は本誌とは別に毎月発行されていたけどな・・・というのはここではおいておこう。

自分のイメージするロック雑誌の増刊号は、本誌で扱っている人気のアーティストが来日したときなんかにその特集版として発行したり、何やらブーム的な動きがあるものをいち早く捉えて特別に編集して発行するものというところで、自分の中ではこれが「ザ・増刊号」。で、これに近いのが次に紹介する2つ。


まずは毎度ながらのベイ・シティ・ローラーズ。来日のたびに各誌がこぞって増刊号を発行していた記憶だが、その中でもやはり「ロック・ショウ」がやたら増刊号を連発していたイメージ。

パット・マグリン衝撃の脱退劇直後に4人で来日した時に発行されたスーパーデラックス号は1977年の12/15臨時増刊号となっている。

「決定版!この本はあなたが一生の思い出に保存してください」とあるとおり、200ページ以上のボリュームで来日時の様子、106項目の極秘情報等読み応え抜群で、当時はしばらくの間毎晩布団の中で頁をめくっていましたよ。

ベイ・シティ・ローラーズはこの他にもこんのとかも↓


同じく「ザ・増刊号」的なものでいくとロッキンfが1982年6月号の臨時増刊として発行した「日本のロック」特集号。

モッズ、ARB、ルースターズなんかで洋楽より日本のロックに傾倒していた自分には待ってましたの増刊号だった。

表紙の写真にもある通り、RCサクセション、ピンク・クラウド、子供ばんど、YMO、高中正義と本誌ロクfのごった煮感そのままがこの増刊号にも。
このくらいの時期が自分の中でのロクf愛読の頂点で、内容が徐々にメジャーなバンド、ヴィジュアル、ヘヴィメタル、ハードロック系へと移行していき本誌自体も購読することがなくなっていた。
この増刊号もかなり前に手放してしまい、改めて中古モノを狙っているのだが殊のほか高額で流通されていて未だに手に入れられていないのが残念と言えば残念か。

続いて、これも増刊号なの?というのが、パンクロック雑誌「DOLL」が1987年7月号の増刊として発行したリザードのボーカリストモモヨこと菅原庸介作の自伝的小説「蜥蜴の迷宮」。

増刊号といえば雑誌スタイルのものという先入観があったところに単行本スタイルで、しかも小説が増刊号の扱いとなっているのは自分の中では大きな謎。

登場するバンドや人物の名前こそ変えてはいる(と言っても大体の想像はつく)が、紅蜥蜴からメジャー期のリザード崩壊までに至る彼らのヒストリーがモモヨの目を通して赤裸々に明かされる内容で、モモヨ逮捕からバンド崩壊に至るところは当然ながら、個人的には当時すでに伝説的となっていた昼のワイドショー出演時のエピソードが興味深かった。この出演時の世間に与えた衝撃はかなり大きかったようで、小説界の大御所五木寛之の「夜のドン・キホーテ」という作品にもこの時の様子をモチーフにしたシーンが描かれている。


この増刊号は当然ながら書店でも購入できたが、DOLL出版社へ直接通販の申し込みをすると自分の名前を添えたモモヨのサイン付きで送られるという特典があった。就職用履歴書の尊敬する人の欄に「菅原庸介」とまで書いた自分、手元に届いたときは狂喜。

リザードを始めとする東京ロッカーズや頭脳警察あたりが好きな方は必読。

DOLLは他にも「パンク天国」というレコードレビュー(というより紹介に近いか)に特化した増刊号をシリーズ化して発行していた。

邦楽好きの僕が満を持して購入したのは2004年5月号増刊の「パンク天国4 PUNK/NEW WAVE JAPAN 77-8611」という日本のパンク、ニューウェイブの自主製作/インディーズのレコードに特化したもの。

どんな良盤でもメジャーのものは一切掲載されていないというのが自主レーベルのシティ・ロッカーも運営していたDOLLらしいといえばらしいかも。

リザードも「Ⅲ」と「彼岸の王国」の2枚のみ。
レビューの他に東京ロッカーズの年代記やバンドやレーベルの紹介記事もあり読み応え十分だが、これも雑誌スタイルではなく単行本スタイルでの増刊号、しかも増刊号なのにシリーズ化というのがある意味パンク。

ミュージックマガジンも1986年7月15日に「ストリート・キングダム」という単行本スタイルの増刊を発行。

東京ロッカーズムーブメントの生き証人で、後に自らもテレグラフレコードを立ち上げることになる写真家地引雄一の文・写真による東京パンク・インディーズシーンを記録した貴重な一冊で、激しいカッティングによって噴き出す血が飛び散ったレスポールjrをかき鳴らすツネマツマサトシの姿の表紙があまりにも秀逸。

東京ロッカーズ前夜からムーブメントに深くかかわってきた氏だからこその視点で書かれる内容はどれも興味深かったが、同じ出来事でも前出の蜥蜴の迷宮でのモモヨの視線での捉え方と微妙に違うのもちょっとした読みどころだし、地引雄一の手による数々の貴重な写真も必見。

当時購読したことがなかったミュージックマガジンがこのムーブメントの本を刊行したことに驚いたが、そういえばリザードが紅蜥蜴として活動していたアマチュアの頃から、その活動を小さな記事でよく紹介してくれていたのがミュージックマガジンだったというようなことが蜥蜴の迷宮にも載っていたような。


ここのところ増刊号というものを書店で目にすることがすっかりなくなったが、それは自分がアンテナを張っていないだけで、案外書店の本棚には多くの増刊号が並んでいるのかも。

明日の会社帰りにでも近くの書店に寄ってみようか。あっ、23時までの勤務だから書店はとっくに閉まってるか・・・。