前々回紹介した森山達也の最新ソロがマキシシングルだったこともあり、そういえばシングルについてはあまり触れてこなかったなぁ…とふと思い、今回はアルバムではなくシングルについて少し。
その昔、まだ媒体がレコードで歌謡曲がお茶の間の花形だった頃は、まずはシングルレコードでデビューして、何曲かヒットしたらアルバムを出してもらえるってパターンが多かったように感じる。
また、そうやってアルバムを出すと、今度は逆にそのアルバムの中からシングルとしてリリースする、なんてことも多かったのではないかな?
中にはアルバムの中の曲を次々シングルでリリースして、ベストアルバムでもないのに気が付いたらアルバムに収録されているほとんどの曲がシングルに・・・なんてバンドもいたような。
このアルバムの中から次々にシングルをリリースしていた代表格がベイ・シティ・ローラーズ。しかも、ジャケットを変えて同じ曲を何度もリリースしたり、別々のシングルだった曲を組み合わせてリリースしたりということが何度もあった。これはファンやバンド側の思いからというよりは、レコード会社の売れるなら何でもあり的な商売ありきのことだろう。
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これなんか、「サタデー・ナイト」と「バイ・バイ・ベイビー」の待望のゴールデン・カップリング!!とか謳ってて、それぞれ何度目のリリースなんだよと・・・。
さて、一方買う方はというと、アルバム1枚買うとお小遣い1か月分がほぼ無くなってしまう学生の頃は、まずはシングルを買って気に入ったらお金を貯めてアルバムを買うなんてパターンと、その頃ヒットしていた曲だけをどうしても聞きたくてシングルを買ってしまうなんてこともよくあった。
そんなヒットシングルの代表的なのが↓
このパターンで買った他のシングルはもうどれも手元にないが、もんた&ブラザースの「ダンシング・オールナイト」だったり、チェッカーズの「ギザギザハートの子守歌」だったり、サリーの「バージンブルー」だったりと大ヒットしたものばかりだった。
今なら、サブスクリプションなんてのがあって定額を払っちゃえば、なんならYouTubeで無料で1曲だけサクッと聞きたいときに聞きたいだけ聞けてしまうので、なんてことなくヒット曲も聞けてしまうのだが、まぁ、少ないお金をやり繰りしてなんとか手に入れた一枚をレコートが擦り切れるくらい繰り返し聞いていたあの頃もまんざら悪くはなかったよなとも思うのだ。
と言いつつ、それらの曲のYouTubeをここに貼り付けてしまうという・・・。
やっぱ便利だわ(笑)
また、アルバムの中から一押しの曲をシングルとするもののB面をアルバムには収録されていない曲にしてアルバムを買った者にも損にならないような気配り?がなされたものもあったり。
僕がよく聴いていた日本のロックバンドはこのパターンが多かったかも。
モッズのセカンドシングル「ゴキゲンRADIO」もそのパターンで、B面にはライブのオープニングナンバーとしてよく使われていた未発表曲のカウンター・アクションとチャイニーズロック(byハートブレイカーズ)のカバー2曲がライブバージョンで収録されていた。
スマッシュヒットした「バラッドをお前に」もB面はベースのキーコが歌うアルバム未収録の「ポゴダンシング」で、しかも「バラッドをお前に」もアルバムと別バージョンとファン泣かせのスタイルでリリースされていた。
当時、日本のロックバンドもこぞってこの12インチシングルをリリースしていたが、それまでとは少し違ったサウンドを実験的にチャレンジしていた(特にダンサンブル的にしていた)ものが多かった記憶。
もう手元にないがルースターズの「ニュールンベルグで囁いて」、モッズの「レディ・ステディ・ゴー」なんかもそうだった。
リザードのモモヨも元P-MODELの秋山勝彦とリエコなるボーカリストを迎えたTHE UNLIMITED DREAM COMPANY Featuring NUTS(夢幻会社)というユニット名で「モスラ」(そう、ザ・ピーナッツが映画の中で歌っていたあのモスラ!!)という12インチシングルをリリースしてました。
そういえばルースターズもモモヨも12インチは「Shan-Shan」という12インチに特化したレーベールでリリースしていたな。
他にもこの12インチシングルでレコードデビューなんてバンドも多かった。
ルースターズを脱退したベーシスト井上富雄がギターに持ち替えて新たに組んだブルートニックのデビュー盤「BLUE TONIC」はジャムを解散したポール・ウェラーが新たに組んだスタイル・カウンシルのような洗練されたサウンドで結構好きだった。
同じくルースターズを脱退し九州に戻ったドラムの池端潤二がその九州で新たに組んだゼロスペクターのインディーズでのデビュー盤「VERNAL EQINOX」も12インチ盤でシンセ、キーボードが前面に出たかなりダンサンブルな内容で驚かされた思い出が。
奇しくもルースターズを脱退した2人が12インチシングルでデビュー、しかもお互いが洗練されたサウンドに大変身というのも・・・。
その後は2人ともそのバンドを解散し、新たなバンド結成の他にさまざまなメジャーどころの方々のバックを務めて大活躍というのも一緒。
井上富雄なんて、布袋はまだわかるとして、桑田佳祐に佐野元春だもんなぁ。
恐るべしルースターズ陣。
さてさて、今回のシングルレコードについてもまだまだ紹介しきれていないということで、次回にまた。