そろそろソロシリーズも3回目で一旦終了するつもりが、その後THE MODSの森山達也のソロマキシシングルがリリースされたとなると紹介しないわけにはいかないということで。
GET YOURSELF/T.Moriyammer
当初はこの春に予定していたバンドのアコースティックツアーに合わせてバンドでミニアルバムを録音する準備を進めていたそうなのだが、コロナの一件により一旦見合わせ。
で、バンド用に用意していた曲は使用せず、あくまでもソロ用として新たに創作したそうだ。
また、コロナ感染リスクを最小限に留めるため、盟友であるコルツ、マックショウの岩川浩二のプライベートスタジオで彼のプロデュースのもとに二人きりで制作したそうだが、この辺り(コロナ感染のリスクを最小限とするため2人という最少人数でレコーディングに臨むことにした)にも何事にも真摯に対応するモリヤンの姿勢が伺える。
では早速曲の紹介を。
1. GET YOURSELF
1曲目を飾るタイトルチューン。
エルヴィス・プレスリー辺りのRock’n roll、ロカビリーの50’sの雰囲気がたっぷり味わえる。
”BABY GET YOURSELF 取り戻そう笑顔”と、このコロナ禍で見失いそうになってしまいそうな自分自身を取り戻すんだ、とも受け取れる歌詞に涙。この辺の感じはモッズで演ると「コロナのクソッタレ」みたいになるところをあえてこの状況でも楽しもうぜとしているところがソロ作品ゆえなのか。
2. GOOD ROCKIN’ DAYS
岩川浩二との共作となっている2曲目にビートルズの匂いが感じられるのは自粛期間中にビートルズのDVDアンソロジーを改めてじっくり観た影響のよう。
歌詞にはビートルズナンバーのタイトルがあちこちに散りばめられてるのもロックファンにとってはニヤッとさせられるのでは?
多分アレンジなんかもそこを意識したものなのだろうがその辺りに気づけないのはまだまだロックを聞きこんでいない自分の拙さ。
3. LA-DA-DA
3曲目はC.C.Rを筆頭とした70年代カントリーロックを意識したナンバー。モリヤンにして当時はカントリーロックについてよくわからなかったらしいが、長年に渡るバンド活動の中でR&B、ロカビリー、ロックンロールと同じく自分たちのルーツミュージックの一つと捉えることができたのだろうか。
曲の出だしは「こんな時だから愚痴はなしだぜ」と、ここでも現在の状況を少しでも前向きに捉えようとする姿勢が伺える。
4. ライトを照らせ
ラストはもろコステロのパワーポップナンバーとのことだが、コステロを熱心に聞いてこなかった自分としては、モッズ初期・中期では絶対になかった感じで35周年を過ぎたあたりから聞くことができるようになった雰囲気の曲かなと。
モリヤン自身もインタビューで、「モッズにとっておけばよかったな」と思ったことを告白している。ただ、ここで聴くことができるモッズとはまた違ったカラッとしたアレンジに、これはやっぱソロならではと感じずにはいられない。
今回、このシングルに関してファンクラブの会報での解説、Webサイトのインタビュー記事をいくつか読んだのだが、書く・聞く側の人間によって微妙に捉え方が違うんだなと改めて感じたところ。
特にWebサイト「BARKS」でのインタビュアーは作品の内容、その背景をしっかり身に着けたうえでインタビューに臨んでいるのが伝わってきて、久しぶりに読み応えのある内容だった。
「このタイトル、ジャケットカッコいい、この曲の雰囲気最高」とかしか感じることができない自分ってなんだかなー、と感じずにはいられなかったな。
そんな自分が感じたところをあえて記すと、前回のソロは「シンガー森山達也」としての作品で、今回のソロは「ロッカー森山達也」としての作品に仕上げられているのでは、というところ。なんだか薄い捉え方ではあるのたが・・・。
このマキシシングルは一般ショップでの販売はなく通販限定となっているので興味をもたれた方はモッズのオフィシャルサイトで確認を。超絶お薦めの作品です。
最後に。
裏ジャケット右下端に小さくレーベルシンボ的な感じでモリヤンのシルエットが刻まれている。
実は昔からこのようなモノクロシルエットには滅法弱いのだ。(お気に入りという意味で)これって、幼少期に見たウルトラマン、ウルトラセブンの主題歌が流れるバックで映される切り絵のようなシルエット画の影響なのは明らか。