ここのところお店に行ってCDやDVDを買うことがめっきり減ってしまった。
オンラインショップで手軽に安く手に入れられるようになったことも理由の一つだけどそれだけじゃない。お店に行って買い物をしようと思ってもなぜだかワクワクしないのだ。

あの頃はよかったなんてそこらのくたびれたサラリーマンみたいなことを言うのは好きではないのだが、それでもあの頃(一体いつのことだ!!)はレコードショップに行くだけでワクワクできたんだ。

中学生の時、家の近所の商店街から少し外れた場所に突然できた小さなレコード店。
定年退職したので試しにレコード店開いてみました的などう見ても音楽好きとは思えない店主。レコード棚はスカスカ。何のこだわりもないのがこだわりなのか。

そんな店でもジャパンのデビューシングル「奇しい絆」がしっかり置いてあったのが不思議だったけど、高校に入学する頃には閉店してたのは不思議じゃなかった。
店主にじっと睨まれながらレコードを探すあの感じは今となっては味わえないレコード探しのスパイスだった気がする。

就職して初めての勤務地となった小さな町では、町内に2つしかないスーパーのひとつに小さなレコードコーナーがあった。

同じ年頃の背の高い女の娘と30代後半と思われるお姉さんの2人がレジ係としていつも並んでた。毎週末通ってた割にこの女の娘と恋に落ちるなんてことはなかったわけで、レコードを探すというよりはお姉さんたちとの会話を楽しむためにちょっと寄らせてもらうという感じだったのは田舎特有のレコード店の愉しみ方。

その後転勤で移り住んだ人口17万人ほどの小都市でもレコード店(この時はもうCDに変わってたか・・・)は数えるほどしかなく、中心街のビル1階にあったウエストという店によく通った。

洋楽の品揃えも多く、ソーシャルディストーションのCDもここで購入できたのだから案外パンク好きの店員がいたのかも。


その小都市での暮らしにも慣れた頃、クラッシュ好きの30代(多分)の方がパンクロック中心の小さなCD・レコードショップをオープンした。

この手の店には珍しく白を基調にした店内に数は多くないものの新品・中古がきれいにディスプレイされていて居心地のよいお店だった。

ここでは見たことがないジャケットのハバナ3AMのアルバムを見つけ購入。すでに発売されていたデビューアルバムが日本盤と輸入盤でジャケットが違うことを店主に教えてもらった。輸入盤の方が断然カッコよく実は収録されている曲のアレンジも数曲で微妙に違う発見もあった。

このお店、営業終了後にクラッシュ好きを集めてビデオ鑑賞会みたいなこともやっていてお誘いを受けたこともあったが、子育て期間と重なってい
て残念ながら参加することができなかった。

オープンした当時、「こんな小都市にパンク中心の店が?」と驚いたとおりほどなく閉店となったようだが、今、あんな感じのお店があったら足げく通ってるだろうな・・・。


初めてインディーズモノを扱っているレコード店を訪れたのは、札幌の今はなきエイトデパートにあったディスクアップという店。

エスカレーターを降りたらそこがすぐお店で、見たこともないレコードだったりカセットテープが数多く置かれていて、やっぱり都会は違うわとびっくりした記憶。

ここではイギリスという聞いたことがないバンド名の手製カセットテープが妙にひっかかり買ったのだけど、ダークな感じのパンクロックが気に入って繰り返し聞いていた。後になってそのバンドがケントリの八田ケンジがケントリ結成前に札幌で組んでいたバンドだと知りかなり驚いた。
しかも後にケントリでリリースされた”BALLADに捧ぐ”が”BALLAD2”という曲名で収録されていたりと、当時のレコード店にはそういう偶然の出会いもあったんだ。

初めての輸入レコード専門店も札幌。狸小路4丁目を抜け北側に数歩行ったところのビル地階にあったシスコレコード。

輸入盤は安くても独特の匂いが苦手だったのと歌
詞カードや帯がないことから敬遠していたのだが、輸入レコード専門店というのが珍しくて思い切って入ってみた。日本盤が発売されていないレアものや見たことがないレコードが数多くラインナップされていて、こちらも初めて入った時は驚き。

映画ダウンバイロウのサントラとジョニーサンダースのコピーキャッツを見つけどちらもモノクロのジャケット写真がカッコよくて大興奮。

地階に降りていくときの雰囲気もよかったんだよなぁ。 


ここのところ会社帰りにふらっと寄れるCDショップはどこに行っても同じような面構え、品揃えのコンビニエンスストアのようでピンとこない。そう、コンビニ同様必要なモノだけ買ってサッサと帰るという感じ。

札幌市内にある数店の中古レコードショップ(CDよりレコード中心)や都内のディスクユニオン各店なんかは今でも何に出会えるかとワクワクするのだが、気軽に通える場所にないのが難点。

きっと自分の求めるレコードショップは、お店の主張や個性、雰囲気にグッとくるものや、お店の方とちょっとしたやり取りなんかがあったり、何に出会えるかわからない期待感が味わえるなんてところなんだろうか。
今さら気になる店員の女の娘がいるからなんていうのはさすがにないだろうが、そんな感じに似たちょっとしたドキドキ・ワクワクが味わえるレコードショップに出会うためにこれからもあちこちブラブラすることにしよう。