4泊5日の国内旅行を終えてカトマンズに戻ってきた。


Lが働くGHに戻ると

1人の日本人女性がLと話していた。

4,50代のこの女性、某出版社で編集者をしていたが

このたび退職し、フリーで働く予定とのこと。

その合間を縫って旅行しているという。

一緒にどこかに行くことはなかったが

GH内で会うと、色々と旅行の話をして過ごしていた。


帰国を2日前に控えたある日、

この女性に食事を誘われた。


「学生さんでしょ?

今日はご馳走するから付き合いなさい!」


というありがたい言葉を受け、

タメル地区にある中華料理の店に向かった。


何を食べたか覚えていない……

ただ、旅行も終わりに近づき

異国の料理にも慣れてきた頃だったと思う。

例によってかなり食べた……


横になってしばらくしてから体調不良が始まった。


下痢である……


下痢だけではなく、体が重い。

トイレに行くのも一苦労……

7時頃、フロントにいるLに相談に行った。


「8時になったら仕事が終るから、病院に行こう」


Lに頼りっぱなしである。

Lはなにも言わず、

外国人向けの大学病院に連れて行った。

勝手に緊急患者の受付に向かっている。


そこまでする必要ないのに……ううっ...


と思ったが、Lはかまわず受付と話をしている。

そのせいか、すぐに医者が来て診断を開始。

点滴を打つこととなった。

生まれて初めての点滴である……


数時間かけて、点滴を2本打ち、この日はGHに戻った。

Lはずっと付き添ってくれた。


この日の移動費と

診察代、点滴代、私は一切払っていない。

全てLが支払ってくれた。

(10数年経った今でも、このときの費用は教えてもらっていない)


この日から3日ほど、外出はせず

食事もGHのレストランで軽く済ませるだけにしていた。

翌日、日本人女性が見舞いに来てくれた。

彼女はなんともなかったそうで

申し訳なさそうに謝ってくれたが

一体なにが悪かったのだろう……


結局、帰国を1週間延ばすこととなった。

3日ほど休んだあと、ビザの延長、両替などを済ませ

また動き始めた。

2日後に帰国という日、Lが


「体調がよくなったのなら、

明日、フランス人とナガルコットに日帰りで行くから一緒に行く?」


と誘ってきた。


翌日、フランス人カップルと一緒にナガルコットに向かった。

ここはカトマンズ近郊にあるヒマラヤの展望台ともいうべき場所。

カトマンズに戻ると、フランス人カップルは

Lにいくばくかのガイド料(車チャーター代?)を支払っていた。

でも、私は払っていない……

Lはフランス人に


「彼には先にもらっているから」


と答えていた。


フランス人がいなくなってからこのことを問い詰めても


「君からもらうわけにはいかないよ」


と言うだけだった。


感謝の言葉以外、言うべき言葉が見つからない。


Lとの出会いがなければ、

この旅行のあと、海外に出ることはなかったかも知れない。