前職時代の話。

当時、コンピューターを使って毎月月末日にある集計作業を行っていた。

集計項目は10種類近くに及び

集計が終るたびに条件を設定し直し、コンピューターが集計を終えるのを

ただひたすら待つ業務だった。全て終了するまで4,5時間かかった。

この間、集計業務に携わるものは帰宅できなかった。

私がこの業務の責任者をしているとき

後輩(この仕事を行う社員は私とこの後輩のみ)が

ある項目を同時に集計できないか、

と提案してきた。

10種類近くある項目を同時に集計する試みはすでに検討しており

この頃はすでに5回か6回で済むようになっていたと記憶している。

コンピューターの仕様を作った業者からは

これが限界だという説明を受けていた。

これ以上の負荷をかけた場合、集計作業が中断され

場合によってはデータの消失も考えられるという結論を出していた。

私や私の前任者はこの言葉を忠実に守った。

データが消失した場合の修復は困難が予想され

とても我々レベルでは解決できる問題ではなかったので

これを避けていたのだ。

当初、この後輩は絶対に大丈夫です、と根拠のない自信を見せ

同時に作業を行い、残業時間を短くしようと主張した。

しかし、私が上記のような理由を説明しこれを却下すると

この後輩はデータが消失した場合の修復処理、

これによるトラブル発生時の対応策を検討し始めた。

この作業は月に一度しかできず、実験のようなものを行うのも困難だった。

そのためこの後輩は毎月の作業で、

どれだけコンピューターに負荷がかかっているかを調べた。

さらに再度業者に依頼して、本当に同時に作業を行った場合に

コンピューターが負荷に耐えられないのかどうか、確認させた。

業者としては安全策を取りたがっていたのだが

この後輩の勢いに押されたのか、多少の改善策を提案してきた。

集計作業の組み合わせの変更や、順番を変えることによって

業者と後輩はある方法を生み出した。

ようやく根拠のある自信を示した後輩は

失敗した場合の責任

(データが消失した場合、データを絶対に修復する)を取るからと言って、

彼の考えた集計の順番と組み合わせで行うことを提案してきた。

失敗した場合のバックアップ方法が完璧に思えた私は

彼の提案を受け入れた。

そしてそれは成功し、集計作業は3分の2ほどの時間に短縮された。


この場合の成功した要因は、徹底した分析と検討にあったと思う。

この後輩は他の仕事でも、全く根拠のない自信で業務を進めていたが

結局油断したのか、失敗してしまうことがしばしばあった。

そのため、なかなか彼の提案を受け入れたくなかったのだが

今回、彼はようやくきちんと根拠のある自信を表に出して

成果を上げることができたのだった。


最近まで私が持っていた自信も、根拠のないものだった。

全く検討せずに、ただ根拠のない自信を持ち続けていた。

その根拠のない自信が打ち砕かれた今、前職時代を思い出し反省している。