Jはラチャダピセークのマッサージパーラー(以下MP)で働く17歳の娘だ。チェンライ県のとある農村で生まれた。Jは父親を知らない。なぜなら妊娠を知ると、すぐに逃げ出してしまったからだ。Jが生まれると母親は両親のもとでJを育て始めた。身内が多く住むその農村で食べていくことは難しくない。
だが、Jが小学校に上がるころに祖父母は立て続けに亡くなり、小学校に通う頃からJは母親の仕事を手伝うようになった。それでも農村地域で食べていくことは難しくない。ここには相互扶助の考えが残っていた。しかし時代ともに農村地域にも貨幣経済の流れが押し寄せてきた。Jが小学校を終える頃、村には電気が通るようになった。家族の中に都会で現金収入を得る仕事に就いているものがいる家は、次々と電化製品を揃え始めた。バイクや車を買う家も出てきた。しかし、Jの家にはそんなゆとりはない。食べていくのが精一杯だった。近所の家にテレビを見に行くのも気が引けた。Jは貧乏が恥ずかしかった。
中学の卒業が近づいてくると、村に一人の男がやってきた。男は年頃の娘をバンコクなどの風俗産業に送り出す、いわゆる女衒だった。Jの母親はJを手放したくなかった。しかし現実問題、Jをこれ以上進学させられるほど金銭的に余裕はなかった。日中の農作業、夜は家で内職をこなしても、借金をしてもJを学校に通わせることは難しかった。Jもまたこれ以上母親に苦労をかけたくないし、早く貧乏から脱出したかった。だから自ら進んでバンコクで働くことを希望した。中学を卒業後、数万Bと引き換えにJは男に引き渡された。
(この話はフィクションです)