だらだらと長いです。日記がわりの備忘録であることを最初にお断りしておきたい。Toshlさん関係のことは(ほとんど)書いてないよ。
聴く音楽や、読む本、観る芸術は、
自分が
好きか、嫌いか
惹かれるか、惹かれないか
興味を持てるか、持てないか
で決める。一聴、一読、一見してこれ、好きだ!というものでなくとも、惹かれたり、興味を引かれることはあるし、しばらくして好きになったり興味を失ったりということも当然ある。
2年ほど前にまったく守備範囲外のX Japanの音楽に惹かれていったという経験をしたので、音楽については以前よりは間口が広がった。
絵画の間口を広げてくれたのは、Picasso/Matisse展とAbstract Expressionism展。今調べたら、Matisse Picasso展は2002年。20年近く前なのか…。最近のことだと思っていたAbstract Expressionist展も2016年だった。
文学については話せるほど読んでもいない。ベストセラーの類は読んだことがない。読まないと決めているわけではなく、単に、売れているというだけではどうしても興味を惹かれないというだけのことで、ずっと後で読んで、面白い、ベストセラーになるだけのことあるな、と思うこともある。
装丁やタイトルで本を選ぶことはたまにある。
先日1日で読みおえた、辻仁成氏(「つじ」は点が二つバージョンが正しいのだが、出てこない)の「オキーフの恋人 オズワルドの追憶」(上巻)は風が吹けば桶屋が儲かる式というか、芋づる式で手に取った本だ。
Toshlさんとのコラボ曲が入っているというので買ったSugizoのOneness Mというアルバムに、辻さんも参加していて、名前は知っていた、というか、ずいぶんまえ誰かからまとめて何冊か日本語の本をもらったときに、彼の「海峡」という小説が含まれていて、そちらが名前を目にした先だったので、私は辻仁成という人をまず小説家として認識していた。
作品自体はその時に読んでいて、詳しいことは忘れてしまっていたけど、私には絶対こういう文章は書けない(浮かばない)、さすが小説家だなと思う文章があったことは覚えていたので、よけい「作家」のイメージが強かった。
Twitterをよく使うようになって、なにかで辻さんのツイが上がってきて、最初に読んだのがどういう内容だったかまったく覚えていないのだが、興味を引かれてツイが上がってくれば読み、リンクされたウェブ上の記事を読みに行くこともあった。
辻さんの音楽はOneness Mの一曲(「感情漂流」)しかまだ知らない。
いろんなことを企画していて、オンラインツアーや様々なジャンルの人とコラボしたり招いたりしてオンラインレクチャーのようなこともやっている。私もいくつか参加してみて、その後その時のゲストの人や参加した人の作品に興味を持ったり、その人がやっているYouTubeチャンネルを見るようになったりとじわりと新しいものに手を出すきっかけになっている。
それで、辻さんの他の書き物を読んでみようかなと思ってKindleで探したのだが、電子書籍ではまったく出ておらず、そのままになっていた。そこへ、初めて電子書籍で出しますというツイが先週上がってきたので購入したのが前述の「オキーフの恋人 オズワルドの追想」という本、というわけなのだ。
長編です、とあったので、本当に本を読まなくなっているのに大丈夫かなと思ったが、日本語だからどうにかなるだろうというので思い切った。
リハビリで最近3冊ほど英語の学術本を読んだところだったし、英語のオーディオブックを1冊聴き終わったところでもあった。オーディオブックはひさしぶりのエンタメ(中世ケンブリッジを舞台にした推理物)でもあり、日本語の小説もいいかな、と思ったし、題名に惹かれたというのもある。
オキーフの恋人。
ジョージア・オキーフの絵画展を数年前見にいったことがあり、意志の強そうな彼女の顔と、巨大な花や砂漠の空に浮かぶ白骨化した動物の骨などを描いた絵画が頭に浮かび、それらの求心力が重なって私に日本のアマゾンサイトで1200円もする上巻をポチらせた。
ちょうど三連休の初めの日に、3日あったら読めるかな、と思いながら朝から読み始め、午後2時には読み終わってしまったのであった。下巻はよ!(5月中旬予定らしい)
物語の中に小説がでてくるのだが、地のストーリーと、その小説が互い違いに出てくるところや、地のストーリーの中に、小説の中の話が絡んでくるところなどに既視感があった。
入れ子構造の小説そのものは珍しくはないけど、なんか…こんなの読んだことあったような?と思ったら、昔々読んだ、Paul AusterのOracle NightとA City of Glassらしい。ほとんど内容を覚えてないのに、小説中の小説が未完で終わってしまったフラストレーションと、小説の中の人物に、作家の名を関した探偵事務所あての間違い電話がかかってくる、というメタフィクション?的なエピソードだけをやたら覚えていたのだった。
「オキーフの恋人」は、編集者が主人公で、その話と、彼が担当している小説家の探偵小説が交互にでてくるのだが、この探偵小説がシンプルに面白かったのだ。登場人物は若干カリカチュアぽくもあるが(意図的なのかもしれない)キャラが立っていて、文章も読みやすく、スイスイ読める。
オキーフの恋人というのは、主人公の夢である。僕はオキーフの恋人になりたかった、というその夢(願い)とも幻想ともつかない物語が、セラピーの影響下で彼によって語られる。
地の物語はざっくりいえば、担当している小説家の失踪の謎。つまり、いくつもの物語が絡み合い、時々、それらがそれぞれの物語に浸透していったり、交錯するようなところもあり、私はどういう話を読んでいたのだったかと混乱することもある。
とにかく、ひさしぶりにグングンとひっぱられて読める小説だった。やっぱ日本語、楽やな!とも、つくづく思った。
下巻が待ち遠しい。
絵画。
先に挙げた2つの絵画展、特にAbstract Expressionismがターニング・ポイントとなって、抽象画というものに抵抗がなくなり、どんどんと興味を引かれていったここ数年。
なので、Toshlさんのマスカレード展は大変興味深かったし、パソコンでの動画や印刷物でみたのみという制限付きながら、これは好きだなという作品もいくつもあった。
「白の世界へ」は作品の傾向としては「好み」ではない。ここまでガラリと作風を変えてきたことに驚きはあるし、特にマーブリングのような不思議なテクスチャーの小品は、偶発的に見えながら構図的にバランスが取れているのが面白く、アップでみたときの色使いが複雑で、いったいどうやって描いているのかという興味は非常にある。
ただ、今回の作品群は前回ほど、こういう絵を描く人の心の内、という興味はあまり持たなかった。もともとそういう観点から絵を観ることはあまりなく、前回はToshlさんの絵だったから珍しくそういう興味も持ったのだと思う。
新たな始まりとなったという「戦龍」は好きだ。あと、水墨画のような「白の世界へ」は、一番、本物を見てみたいと思った絵だ。
東京を描いた絵は、単純に楽しいなと思った。東京の地下道とか、空港のホワイエとかにあったらいいんじゃないかい。
ちなみに描いた人の気持ちは別として、「幸せの木」は絵としては私は惹かれない。本物を見たらまた違うのかも知れないが。
「真偽」は柔らかい色調とタイトルの乖離に惑わされる絵だなと思った。タイトルがなければ、私は通り過ぎてしまうタイプの絵かもしれない。タイトルのせいでいろいろ考えさせられる、というのが嫌いなので、この絵は保留。
全体的に割と「頭で考えて描いてるんだな」というのはちょっと意外だった。そして、これからもっともっと変わってくるのだろうな、と思う。
絵に関して言えば、現物主義の私としては本物を目にしないことには話にならない、という気持ちがあるので、ニコ生で全部みせてくれてことは本当にありがたかったのだが、テクスチャーフェチとしてはものすごくフラストレーションも溜まったのだった。
音楽。
「オキーフの恋人」(の中の探偵小説)に、ある曲がでてくる。ある場面で探偵がピアノで弾き語る、A Song For Youという、レオン・ラッセル(名前に聞き覚えはある)の曲なのだが、彼は、これはなんといってもDonny Hathawayの歌っているのがいいのだ、という。
どんな歌なのか気になって、本を置いて(Kindle版なので実際にはスマホだが)Spotifyで調べたらあったので、聴いてみた。
その声に、耳がそばだった。男性のソウル・シンガーなのだけど、女性のようにもきこえる。深く、のびやかで。Toshlさんの声と声自体が似ているわけじゃないけど、なんというかこう、時々、ぞくっとするような艶を感じるところとか、女声なのか男声なのか分からなくようなところとか、印象深いというか、「声」そのものの独特さと求心力といったものを私が感じた、というところが似ていた。
他の曲でも常にそうか、というとそうでもなくて、同じ曲でもライブバージョンはやはりそうでもない。この曲の、レコーディングバージョンだけなのかもしれない。
アメリカのJazz、R&B、ソウルのシンガーには素晴らしい人が山といる。私も、何人か好きな人がいる。ソウルだとオーティス・レディングとかマービン・ゲイが頭に浮かぶけど、この人は知らなかった。まぁ、ソウル全然聴き込んでないけど。辻さん、ありがとうってなもんである。
それでいえば、辻さんを知ったのはOneness Mなので、杉様ありあがとう。このアルバムを買おうと思ったのはToshlさんのおかげなので、Toshlさんありがとう。Toshlさんを知ったのは羽生さんのおかげなので、羽生さんありがとう。羽生さんを知ったのはクラブメイトのおかげ。So, thank you, L.
私が読むもの、聴くもの、観るものはだいたいこんなふうに、偶然が紡いでいく糸によって私の元に届く。
おお、風が吹けば桶屋が儲かる、とか芋づる式、というよりは美しい表現がでてきたぞ。
かっこいいので、ここで終ろう。
今日はそもそも「としもち」のことを書こうと思ったのだが。これ自体は2行くらいで終わるくだらない話なので、それはまたそのうち。




