小田ちゃんがバスツアーのライブ終盤で、卒業後の活動について言及してくれました。 まずは人前に出るお仕事を続けてくれるとのことで、一ファンとして大きな安堵感を抱きました。 ただ、それがいつまで続くかはわからない。言葉の端々から、どこかでいつか芸能界を去る未来を感じさせる内容でもあったように思います。
当時をリアルタイムで追ってきたわけではないため、情報の解像度としては十分でないかもしれません。しかし、彼女の活動の原動力は決して「自分自身」だけに向いていたのではないと感じます。モーニング娘。というグループへの愛、メンバーへの愛、そしてファンへの愛——そうした「外側」にこそ、彼女を突き動かすエンジンがあったのではないでしょうか。 そう考えたとき、グループ卒業によっていくつかの車輪を失うことになります。そして、それを補うほどの衝動や野心が、彼女の内側から沸き上がってきているのかというと、少し疑問が残ります。
また、ファンによる後押しも決して万全の環境とは言えません。モーニング娘。という看板が外れたあと、事務所が用意できる活動の規模感は、すでに卒業したメンバーたちの歩みを見れば自ずと予想がついてしまいます。「元モーニング娘。」という肩書を背負いつつ、小田さくらという一人の人間をメインウェポンに、どこまで領域を広げられるか。
ファンは提示された活動が少なくても喜んでついていくかもしれません。しかし、それを長期的に継続させるとなると話は別です。どれだけファンが望もうと、モーニング娘。時代のような密度の高い活動に戻ることはないでしょう。定期的なツアーやイベント、CDリリースといった頻度を維持することが難しいのは容易に想像できます。卒業直後の「特需」である程度は動いたとしても、どこまでファンの期待に応え、それを受け止めきれるでしょうか。
そして何より、ファンに満足してもらえる活動を提示し続けられるのか——それもまた、小田ちゃんを悩ませる一面なのではないでしょうか。
純粋に小田ちゃんだけを追いかけたいファンもいるはずですが、現役のモーニング娘。や他グループへ軸足を移すファンも出てくるでしょう。定期的に現場がある推しと、不定期な推し。どちらがファンとして熱量を維持しやすいかは一目瞭然です。 地方公演は減り、都市部でも規模は縮小され、会場の設備や見え方もこれまで通りとはいかないかもしれない。当面はチケットの当選確率すら読めません。グループ活動であれば出番の多さは保証されていましたが、卒業後はソロライブでもない限り、他出演者との「按分」になります。高価なチケットを買っても、満足感が得られる保証がない状態が増えていくのです。
そうなれば、『さくらのしらべ』のような貴重なイベントに申し込みが殺到するのは明白です。幸運にも当選できれば良いですが、落選した際、次の機会が1年後…といった状況が続けば、ファンの気持ちを維持することは容易ではありません。
ここで試されるのが、彼女の座右の銘でもある「続ける」ということ。ある意味で、ファン側もまた「応援し続ける覚悟」を問われることになるのだと思います。
お互いにとってそれが本当に幸せな選択なのか——。彼女自身、その葛藤を天秤にかけ、悩んだ末に出した答えが「まだ完全に去る時ではない」という、ファンの気持ちに寄り添った優しさだったのではないか。私はそう受け止めています。
ネガティブ思考に陥りがちな私と、どこまでもポジティブエースである小田ちゃん。同じ思考回路をたどっているとは到底思えません。しかし、卒業に関してこのバスツアーまで何も発してこなかったという事実だけで、彼女が抱えていた悩みの深さを察するには十分でした。
今回の決断は、一見すると引退へ向けた「ソフトランディング」として一クッション置いたようにも見えます。活動が徐々に減り、ファンの熱量も落ち着いていき、いつかお互いに「あの時代を、素敵な思い出をありがとう」と笑顔で言い合えるその日に向けた準備期間——。
そんな未来すら想定の範囲内に収めながら、私は今、ただこれからも板の上に立ち続ける小田ちゃんを静かに支えられるファンでありたいと思っています。