岩手の医学部で囁かれた逮捕の真相と青年の選択|中道優人の小説

講義が終わった直後、教室の後方で誰かが落としたペンが乾いた音を立てた。その小さな音に続くように、ざわめきが広がった。岩手県の医学部で教授が逮捕されたという噂が、学生たちの間を駆け巡っていたのだ。中道優人はその話を半信半疑で聞いていたが、研究棟へ向かう途中、警備員が慌ただしく動いているのを見て胸がざわついた。

 

教授は研究熱心で知られ、学生にも丁寧に接する人物だった。そんな人間が逮捕される理由が思い当たらず、優人は疑問を抱えたまま資料室へ向かった。そこで偶然見つけた古いファイルには、教授が担当した研究の一部に不自然な空白があり、資金の流れが曖昧になっていた。優人はその空白が単なる記録漏れではないと感じ、慎重に情報を集め始める。やがて、教授が研究費の不正使用を疑われていたこと、しかし本人は強く否定していたことを知る。

 

さらに、教授の研究内容が学内の一部で反発を受けていたという噂も耳にした。優人は真実を追うべきか迷いながらも、学問の世界が純粋な探求心だけでは成り立たないことを痛感する。そんな中、教授の元助手と出会い、驚くべき事実を聞かされる。教授は不正をしていなかった。むしろ、研究費の管理を担当していた職員が横領を隠すために教授を巻き込んだのだという。優人はその言葉に深い衝撃を受け、静かなキャンパスを歩きながら、自分が進む医学の道に対する覚悟を新たにした。著作:本田先生