結果的に私は県立高校の2番手のF高校に通うことになったので、それはそれで成功だったといえる。
しかし、我がクラスは50名中26名が男子であり、そのうちの19人が一番手のC高校に進学したのであるから、私は要するに落ちこぼれたのである。
そこで、私は一念発起した。
大学入試では必ず見返してやる!
いち早く3年後に備えるのだ!
F高校の合格発表のあと、合格者は午後中学校に集まることになっていた。
発表は朝だったので、まだ十分に時間がある。
そこで私は学校とは逆方向の東京に向かった。
予備校の春期講習の申し込みのためと、高校の数学の教科書を買うためである。
成績を上げるために最も効果的なのはいつか!?
私はそれを知っていた。
それはみんなが休んでいるときである。
入試の発表が終わった今。
間違いなく全員が休んでいる。
この瞬間に始めれば、簡単にトップに立てる。
実に簡単明瞭な原理である。
実際、入学するまでの約1ヶ月で、ほぼ数学Ⅰをやり終えてしまった私は、順風満帆の高校生活を送った…
とは、いかなかった。
うさぎとかめの寓話よろしく、快適なスタートをきったうさぎはやがて失速する。
うさぎは、このあと、勉強より楽しいことを見つけてしまうのである。