小学校時代はサッカーであったが、なぜか生来ジャンプ力があったので、
中学ではバレーボールとバスケットボールで活躍した。
しかし、正式な部活動は「地学部」である。
地震や気象を調べて発表するという、実に地味な部活である。
私は中2の後半から、その部長になったのだが、
文化祭の時期を除くと、ほとんど部室でしゃべっているだけという怠惰な活動であった。
そんな平和に浸りきった我々に、ある日突然災厄が訪れた。
それは相撲部への強制入部であった。
相撲部の顧問であるあのY先生が、バットを肩に担いで我が部室を訪ねられたのである。
「中3男子の部員は全員整列!」
私を含め4人の中3の男子部員は、抗うことなく横一列になった。
「今日から一週間おまえらは相撲部員である!」
え〜〜〜〜〜っ!
話はこうであった。
一週間後に千葉市内の中学校の相撲大会がある。
ところが我が校の相撲部員は1人である。
これでは個人戦だけで団体戦に出られない。
そこで相撲部員を急造して、団体戦に出るというわけである。
そこでちょうど暇そうにたむろしている我々に白羽の矢が立ったのである。
「相撲なんて冗談じゃない!他の部活を当たってください」などと逆らえば、
先生自慢の棍棒(バット)で全員薙ぎ倒されるのがオチである。
我々は泣く泣くその日のうちから相撲の練習に打ち込むはめになった。
学校には土俵こそなかったが、練習は力士と同じ
「四股」「てっぽう」「すり足」
の基本セットである。
慣れないマワシをつけて、体育館の床をへっぴり腰で進む我々を見て、
クラスの女子がくすくす笑う。
当時付き合っていた彼女も目のやり場に困っているようだった。
……地獄である
とうとう大会の日がやってきた。
たった一人の正式部員は大健闘し,個人戦で準優勝を飾った。
そして,我々4人は…全員1回戦負け。
しかし,なぜか団体戦では3位に入ったのである。
トロフィーと賞状をもらって,全校生徒の前で壇上に上り,
万雷の拍手を受けながら,我々は誓っていた。
絶対に誰にも言うなよ!
団体戦に出られたのは,
たったの3校だったってことをな!