今日は午後2時から,父の湯灌と納棺である。

タイムズカープラスで借りた車に乗って,一路葬儀社を目指す。

6年前に母がお世話になった葬儀社である。
そのときには,私が着くと母の湯灌は終わっており,
お顔をどのように直しますかという問いに応じるだけであった。

しかし,今度は少々違っていた。

父の体は,白いタオルで覆われており, 
たらいのような浴槽の上に浮いた状態で固定されている。

そのタオルの間からシャワーのお湯をかけてもらい, 
きちんと洗剤で洗ってくれている。

頭髪は高齢の男性が担当のようで, しっかり二度洗いをしてくれている。
驚いたことに,父の全身を洗ってくれているのは,うら若き女性である。
丁寧に丁寧に,つま先から足首,ももから胸に至るまで,
シャワーできれいにしてくれる。

映画「おくりびと」のような,よどみのない動きで,湯灌は進んでいく。
父にとっては,実に極楽気分であったであろう。

すると,最後にお顔を拭いてあげてください。
とタオルを渡される。

ちょっと違う。父はそんなことを私に求めてはいないだろう。
タオルをそっと当てながら,

せっかく女性に洗ってもらっていたのに,
締めくくりがお前ってのはどういうことだ?後味がわるい。
という父の声が聞こえたような気がした。

その後,納棺が終わり,帰宅の途につく。

いよいよ明日は父との別れである。