再販価格維持生活-1_放射線障害.gif

再販価格維持生活-2_放射線感受性.gif

再販価格維持生活-3_影響.gif

再販価格維持生活-4_リスク係数.gif

(その1、その2を先に読んでね)

H君(放射線などの測定器メーカー勤務。理学部出身)のお返事です。

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B君

こんばんは。
かなーり長いですが・・・

「定期降下物」の測定は、雨水を集める装置で測定するので、昨日急に増えたのは、一昨日までは晴れてたけど、昨日は雨が降ったから、雨水に溶けて落ちてきたんだと思います。

10年ほど前に、X線作業主任者の試験を受けたときに勉強したテキストを引っ張り出してきましたw

ちょっと専門的になりますが、添付ファイルを見ていただけると分かりやすいかと思います。

[放射線障害について]資料:1、2
被爆の形態は、以下の3パターンに分けることができ、それぞれ、障害の現れ方が異なります。
1)照射線量に依存する。
2)全身被爆か局部被爆か。放射線感受性の高い組織・器官が含まれているか。
3)急性被爆か慢性被爆か。

今回の原発事故で、原発から離れた一般市民に当てはまるのは、
1)照射線量→少ない
2)局部被爆。ヨウ素の場合は、ほとんど甲状腺に行く。
  また、甲状腺は、感受性は中程度。
3)慢性被爆
となります。

ちなみに、原子爆弾の被害に遭った人とか、JCO臨界事故とか、今回の原発の処理にあたっている自衛隊員とかは、直に放射性物質に触れるので、照射線量が多く、全身被爆で、急性被爆なので、障害の現れ方は、全然違います。
急性の症状が現れることが多いです。
被爆というと、こっちの方をすぐ想像する人が多いですが・・・

被爆の影響ですが、2種類あります。
非確率的影響:ある程度(しきい値)の線量にならないと、症状が出ない。
確率的影響:被爆したら、障害が起こる確率が高くなる。

非確率的影響は、ちょうど、お湯が手にかかって、火傷するのと似ていて、40度のお湯では、全く火傷しないけど、90度のお湯では火傷するのと同じ。ある程度の放射線量までは、影響が無い領域(しきい値)があります。

確率的影響の方は、癌と、遺伝(生殖器)に関係があります。
こちらは、線量に比例して、リスクが高くなります。
ただ、リスクが高くなったら、必ずしも、癌になったり、障害を持った子供が生まれたりするわけではなく、ちょうど、タバコを吸っている人が、絶対に癌になるかというと、必ずしもそうではないのと同じです。
放射線も、浴びたら必ず癌になるわけではありません。
それだったら、検診でX線写真撮れないですね。
非確率的影響が無く、確率的影響の低いようにしてX線写真を撮っています。

資料:4_リスク係数
には、表3.4(臓器のリスク係数)と、表3.5(しきい線量)が書かれています。
しきい線量の方は、*が付いているもの以外は、全身被爆かつ急性被爆の場合なので、消防隊員とか、自衛隊員の方に関係あります。
例えば、「白血球減少」のしきい線量が250mSvというのは、1時間あたり、250mSvのところに1時間以上いると、影響が現れるということです。

臓器のリスク係数というのは、慢性被爆で、今回の我々に関係することです。
一般的な仕事をしている人の年間死亡率は、10の(-4)乗ですが、リスク係数は、被爆によって、その影響が出るリスクのことです。
例えば、今回のヨウ素は、甲状腺に行くのですが、もし、甲状腺が、1シーベルトの線量を浴びたら、甲状腺癌になるリスクが、5×10の(-4)乗なので、一般的な仕事をしている人と比べて、5倍になるということです。
つまり、通常の死亡率は、10万人に平均100人のところ、10万人に平均1シーベルトの被爆があった場合は、甲状腺癌になる人が500人いるということです。

1シーベルト
 =1,000ミリシーベルト
 =1,000,000マイクロシーベルト

さて、今回のヨウ素の影響ですが・・・
Y君の計算からすると、もし、1年間ずっと経口摂取しても、144ミリシーベルト(0.144シーベルト)です。
ただ、1年間も飲み続けることは、まずあり得ないし、代謝で体から排出されるので、もっと少ない量になると思います。
例え、144ミリシーベルトとしても、その影響で、甲状腺癌になる人は、10万人に50人です。

実際のところ、今のまま終息してくれたら、長くても1~2か月ではないかと思うのと、内部被爆しないように気をつければ、もっと線量は少ないので、1か月あたりは、12ミリシーベルト。
体内に取り込んだ量が、多く見積もって半分あったとして6ミリシーベルト。
これだと、10万人に2人増えるだけです。
なので、安全だということは分かりますか?

放射線は、すごく感度良く検出されることと、すごく多めに見積もって基準値を決めているので、基準値の5倍とか10倍とか言っても、たいしたことないのです。
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このメールが来た翌日にY君・H君と話した(=飲んだw)んですが、テレビで「基準値の○倍とか言い過ぎ。不安を煽るだけ」と言ってました。
基準値には仮定をいっぱい含んでいてちょっとしたことで跳ね上がるんだから。
情報開示は必要ですが、冷静かつ適切に行ってほしいです。
受け止める側もね。