子供の頃、父の背中に乗ったり、母の手に引かれて、世の中を知っていった。
私の父だから、私の母だから見せてくれた世界なのだろう。
今は、その父の背中や母の手は、なくなってしまったけれど、その時の経験が今の私を作ってくれた。
そして、大人になるにつれ、自分の足で歩いていくようになっていった。
最近は、生きるのに精一杯だったので、自分の心から両親は、だんだんと、居なくなっていった。
でも、今やっと、自分の人生を肯定して、振り返れるようになってきた。
そして、穏やかな時間も出来てきた。
そうしているうちに、ふっと、父や母の
私を呼ぶ声が聞こえてくるような気がしてきた。
『おかえりなさい、彩。』
これからは、愛されていた想いを心に温めながら、生きていきたい。