今回は外来語の表記についてお話したい。

 

例えば雑誌や新聞などで「メインステージ」という言葉を見たとき、「メーンステージ」と表記されるのを見ることが度々ある。
元の言語である英語での表記は"main stage"となるため、本来の発音から考えるならば「メインステイジ」と表記されるべきである。
しかしながらこの「ステイジ」という表記には強い違和感があり、やはり「メインステージ」がもっとも受け入れやすいだろう。

同じように、元の言語から日本語表記にされる際にもともとの発音から大きく乖離するケースは、様々なメディアで数多く見受けられる。
なぜこのように、一般的には不自然だと受け取られる表記が公共のメディアで見られるという事態が起きているのだろうか?
 

表記が不自然なのはなぜ?文科省の規定も一因

 

外来語の表記案が発表されたのは1991年であり、当時から改変はされているようだが大きくは変化していない。
1991年当時と現在では大きく世情が異なるのは誰の目にも明らかである。
にも関わらず、従来の方法を踏襲する理由は何だろうか?
おそらく文科省の労力の使われる方向性が問題だと考えている。
つまりは面倒だからと後回しにしているのだ。

国の規定を変更するということは多くの手続きを経る必要があり、かなりの労力を必要とする。
「議論が不足しているのではないか?」という世論の攻撃に遭う可能性まで考えれば、及び腰になるのも仕方ないともいえる。

「他に先にやることがあるから、後に回す。」
おそらくそれも真実なのだろう。
しかしながら教育という面から見て、日本語での外来語表記は重要な課題である。

 

新聞は、数あるメディアでの中でも「正しい情報」を得られる役割を期待され、学校の入学試験の題材などにも数多く採用されている
その新聞での外来語の表記が、「誤った発音」を表しているというのは大きな問題である。
なぜなら、正しい情報としての新聞からその単語の発音を覚える者が多くなり、その言語を母国語とする者との会話で、正確に意図が伝わらない事態になりかねないからだ。

昨今はAIの発達で通訳ソフトも発展し、外国語習得の重要度は下がってきている。
しかしながら音声通訳の技術はまだまだ発展途上である。今後も一定レベル以上の外来語習得は必須になるだろう。
また逆に、訪日者の日本語習得の面でもこの問題は壁になり得る。

 

結局現状ではどちらも正しいという答えになる

結局どちらの表記が正しいのか?

今のところはどちらとも言えない、というのが答えである。
ただ、この問題を積極的に議論している団体もおり、『外来語(カタカナ)表記ガイドライン 』を作成している。

これを参考にするならば、上で挙げた例の中でもっとも正しい表記は「メインステージ」となる。

 

しかしまだまだ諸説があり、新聞業界などに浸透するのは時間がかかると思われる。
筆者個人としては、現状で浸透してしまっている単語を除き、英語などは発音記号を参考に表記を改めていくことを提案したい。
この方法ならば実際の音と日本語表記の乖離は小さくて済む。

 

他の言語でも同様に発音を表しているケースでは、そちらに則った表記を行うことで、これまでのように不自然な表記が増えることは防げる可能性がある。

文部科学省には、せめて教育現場で不自由がないよう、外来語の表記方法の検討について優先度を上げて取り組んでいただきたいものである。