久しぶりに映画のブログを書きます。
こんな時ではありますが・・・


『リリーのすべて』

これは、原作の小説を先に読んでおります。
もともとは「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」という邦題だったそうですが、
映画に合わせて「リリーのすべて」として再販されたそうです。

実際に、世界で初めて性転換手術を受けたリリー・エルベの物語。


本当に切ない愛の物語でした。

冒頭は本当に仲の良い若い芸術家夫婦の風景。
お互い愛し合っていて、ちゃんとセックスもあって。

それが、ちょっとしたことで夫の隠れていた本当の姿が・・・

妻のゲルダは夫ではなくなってゆくアイナーに戸惑い
自分がいたずら心でしてしまった女装がいけなかったのかと問いますが
アイナーはゲルダに「子供の頃から思っていた」ということを告白します。

ゲルダは怒りをぶつけたり、自分の前だけではアイナーでいてほしいと懇願しますが、
それでも女性になってゆく夫を認め「生きてほしい」という一心で応援します。

手術に行く夫を涙をこらえて笑顔で送り出し、
術後の痛みに苦しむ夫のもとに駆けつけるゲルダ。

二度目の手術の前、リリーが泣いたのは
覚悟をしていたのか、ゲルダへの懺悔なのか、すごく考えました。
一緒に泣いてしまいましたが・・・

小説とは少し異なる終わり方だったのですが、
観ている間、すごくつらかったです。


私は女性で、幸いにも自分のジェンダーに不安を抱いたことはありませんが、
トランス・ジェンダーの方々は少しづつ認められてはいるかもしれませんが、
それでも現代でも生きにくいと思います。

この映画の時代(1920~30年代)では
病院でも精神病と診断されてしまい、つらい思いをします。

アイナー本人も、アイナーを愛していた妻のゲルダも
お互いを大切に思っているのがとてもよくわかっているのに、
それでももう止められない。

映画が終わって明るくなっても、映画館がシーンとしていました。
結構人がいたのに。


映像がきれいで、
衣装がとても素敵でした。