「おまたせしました」
 皆の様子を見ているうちに目的のページを見つけたのか、小々興奮したした面持ちで兎
は叫んだ。
「えっと、名前はジャーマンに改名。名付けた者は…草切智鳥だそうです。知っています
か?」
「え?」
 兎の言葉に智鳥は惚けたような声を出した。無論、自分の名前が出てきた事が、何でなの
か理解できなかったからだ。
「ですからジャーマンもしくは草切智鳥と言う人を知りませんか?」
 何がなんだか分からなかったが、直感としてここでな名乗れば拍車を掛けた訳の分から
ないことに巻き込まれる。少なくともこれ以上は、『常識的』精神に非常に悪い事は今ま
での事で分かっている。ここは無視に限る。頭の中でそう思いつつ黙りこくる智鳥に代わ
り響が一言答えた。こちらに指を差しながら・・・

「あなたと同じ名前ですね」
 この一言は効いたらしい。現に兎がこちらの方に向かってくる。言い繕おうとしたが、
少し遅いような感じだった。
「あなたでしたか。で、どこに行ったんです。いや、どこに行こうと思っていました。さあ
早く言いなさい」

 剣幕は凄かった。兎に言い寄られながら智鳥は否定を諦めていた。彼では跳ね返す事が
出来ないのを、彼自身分かっていた。
 そのため、後戻りの出来ない決定打をもう一言漏らしてしまった。

 そう、一言『海』と言う単語を・・・。