「みゃおう」
 とても悲しんでるとは思えない一声を発すると、やおら炭化した人型の物体へ鼻先をつ
ける。
「食うなよ、セリカ」
 絶対、腹壊すから。その言葉は飲み込まれた。
 鼻を衝けた瞬間、炭化した表面にペキッとヒビが入る。ヒビは胸から全身へとペキペキ
と拡がっていき、頭と四肢が砕けた。当然、真下にいたセリカは灰だらけになる。黒猫で
よかったな。
 智鳥がセリカを灰の中から、摘み出そうと引っ張ると、黒い尻尾に掴まる、なまっちろ
い手が現れた。
「失敗してしまいました」なまっちろい手の持ち主は、そういって頭を軽く掻くのだった
が、部屋の惨状、智鳥の表情、高く積もっている灰、灰まみれのセリカへと視線(目が有
るのかは聞かないでくれ)を移していくと、消え入りそうな声で「すみません」と謝り、
掃除道具を取りに行った。