わりと多くの女子に聞かれるので、ベルギーの出産事情をちょっと説明します。

ベルギーでは70%以上の妊婦がが無痛分娩を選択する。
自然分娩を希望しておいて、途中で我慢できずに麻酔に切り替える人も含めて。

出産にはドクター、助産師、理学療法士、それとパートナーが立ち会います。
理学療法士とは医学的に効果的な運動やマッサージ、電気療法などをする人。
ベルギーではマタニティクラス(エクササイズ、呼吸の練習など)や産後のエクササイズも
KINEと呼ばれる理学療法士の先生がこなす。
医学的な効果ありとされてるので、保険がききます。

で、出産にもマタニティクラスを教えてくれているのと同じ先生が来てくれる。
陣痛の進みに応じてバランスボールやらお風呂やら分娩台で効果的な体勢に整えてくれて
いきむタイミングやらを指導してくれる。
日本ではおそらく助産師さんがこの役割もはたしてくれるんだと思う。
(経験してないから知らないけど)

私は自然分娩を希望。
友達にも病院の人にも「なんでわざわざ痛いことするの?」って聞かれたけど。
日本の友達がみんな自然分娩だから、痛さの話題に自分だけついていけないのはなー
という浅はかな理由と、母の痛みはどんなんだったのかなーという好奇心。
でも目の前に麻酔という選択肢が常にぶら下がってるので
きっと途中で「麻酔お願いします!!」って言うんだろうと思ってた。

さて、陣痛が始まった12月29日午前4時
Benママ指導のもと、できるだけ自然に過ごすようにした。
痛みが来たら部屋の中を歩いて、痛みが過ぎたら体力温存のために横になってみたり。
横になって眠ったら陣痛こなくなったり。

16時、陣痛10分おき。そろそろ病院に行く準備しよう。
とりあえず腹ごしらえ。
Benママがリンゴ入りの揚げパンを作ってたので、できたてをいただく。
拳よりちょっと大きめの揚げパンを4個がっついた。
とにかくお腹がすくもんで。

病院の説明会で「陣痛5分おきになったら来てください。それ以上前に来たら帰宅してもらいます」
ってしつこく言われてたので、とにかくぎりぎりまで待った。
“限界を超える痛み”を想像してたので、この時点では
「あ~こーゆー感じか。イケそうだな」と余裕かましてた。

19時、陣痛5分おき。痛いーーーー。これか、これか。痛いぞ。
耐えられなくはないが、けっこう痛い。これでピーク時の何%くらいなんだろう。
そんなことを考えながら病院へ。

着いたら助産師さんが子宮口の開き具合をチェック。
「あら~~えらいわね。6cmも開いてるわよ。そのわりに世間話する余裕まであるのね」
といきなりほめられた。この時点で泣きながら来る人が多いらしい。
「もう半分以上進んでるからがんばってね」というこの助産師さんのおだてに乗り
麻酔なしで行けるんじゃないかという希望が膨らんでしまった。(後でたっぷり後悔する)

すぐに理学療法の先生(KINE)が到着して、まずはバランスボールで。
習ったとおりゆっくり呼吸して、陣痛が来たら骨盤を先生とBenが両側から押す。
こうすることで骨盤が開き過ぎず、痛みも和らぐらしい。たしかに痛みは軽減された。

それからお風呂やらベッドやら場所を移動して、分娩台に寝かされたら子宮口8cm。
さすがにこの時点では陣痛の合間に世間話してる余裕はなくなった。
痛みに耐えながら呼吸するのに精いっぱい。

で、ここで問題が。8cmからいくらやっても開かない。
陣痛はがっつり痛いのにお産は進行してない。
KINEの先生に何度も「トイレに行きたく(大便したく)ならない??」と聞かれる。
いきみ感のことをベルギー人は「トイレ行きたい気持ち」と表現するらしい。
子宮口が全然開かないのでドクターと助産師さんはやることなくなっちゃってどこかへ消えた。
たぶん休憩してるんだな。

KINEとBenで陣痛をやりくりしてくれる。
そうそう、お産における旦那の立ち会いについて、「邪魔なだけ」ってよく聞くけど
ベルギーでの自然分娩においては男性の力はかなり役に立つ。
効果的に力を入れられるように、KINEがBenに体勢を指導し
私はBenの肩をがっしりつかんでいきむ。
自分でも想像を超える力が入ってるので、掴まれてる彼はそーとー痛かったと思う。
(出産翌日にはBenの肩が内出血してた…)

ドクターと助産師さんが戻ってきた。子宮口9cm。
もうパニック状態。いきみ感は「トイレに行きたい」というよりは
吐き気に近い。自分じゃどうにもできない激しい勢い。
KINEに「どの体制が一番よかった?どういうポジションでお産したい?」って聞かれるが
どの体制だって痛いわい。私に選択をゆだねないでくれ。考える余裕なんてない。
何を聞かれても「わかんない!!」しか言えない。

で、こっちのお産はとても静かなので
KINEの先生もヨガのインストラクター並みの落ち着いた話し方をする。
なのでこっちがパニックになってると、自分の息遣いの荒さで先生の声が聞こえない 笑

「あご引いて」とか「いきんでー」とか「ここで一旦止めて」とか
指示の数が増えるとパニックになってよくわかんない。
「聞こえないってば!!」と思わず叫んでしまった。

そして家で食べたリンゴの揚げパンがここにきて悪さをしだす。
いきんだら、陣痛の合間はゆっくり呼吸するって習ったのに
揚げパンがこみ上げて来てそれどころじゃない。
いきんだら、合間は揚げパンを吐き、水分を吐き、それからまたいきむという繰り返し。
揚げパンというメニュー選択がいけなかったか、4個も食ったのが間違いだったか、
吐きながらそんなことを考えてた。

助産師さんに褒められ、調子に乗ってお産を甘く見たことをめっちゃ後悔。
「もう半分終わってるから」ってあんた… 後半の痛みの激しさ半端じゃないじゃん。
それを子宮口の開き具合だけで「半分終わってる」なんて、物は言いようだな…

思えば陣痛の感覚が短すぎて「そろそろ麻酔用意してください」なんて言えるタイミングはなかった。
次の陣痛に備えて呼吸を整えるので精いっぱい。
次はどんな痛みが来るんだろうという好奇心もあったし。

日付変わって30日の2時半、ベビーが出た。これで一件落着。
KINEも助産師さんも感動で涙ぐんでる。(この人達、もしや毎回泣いてんの??)
で、当人たちは涙のかけらもなし。

出てきて早々、一言目には「Heeey, finally! you lazy ass!」と口の悪さを取り戻し
Benは「毛深いな~。背中も耳の裏も毛が生えてる。髪の毛ふさふさ。これ俺の子じゃないだろ」とか
「くさ!髪の毛についてる血の臭い?それともYukoの羊水の臭い?」とか暴言を。
「嫌なら養子にだせば?」って助産師さんにあきれ顔で言われる。

私たち夫婦がちゃんと「親」のメンタリティを習得するには
もうちょっと時間がかかるようです。

ところで、ずっと気にしてたおまたの切開ですが、やっぱり実行されました。
「お産でそれどころじゃないから痛み感じないよ」って言われたけど
実際には部分麻酔しとるやんけ、ドクター!!

そして縫合については「赤ちゃんと対面できたアドレナリンで、何も感じないよ」
と言われてたけど、実際には一針一針、全部感じます。
部分麻酔のおかげでそれほど痛くはなかったけど、「縫われてる!」ってのはよくわかる。

そしてこれのせいで入院生活楽しくなかった。
子宮の収縮とか授乳時の乳首の痛みとかいろいろあるけど、
とにかくおまたの縫い目が一番痛い!!
座れないから、立ってるか寝てるかしかできなくて授乳が大変。


そんなこんなで色々脱線しましたが、これが我が家の出産記録です。

年越しは家族3人病院で過ごし、今は産休生活。
母性ってまだよくわからないけど、ともあれベビーとの時間はほのぼのする。