フランス語学校の先生、マニュエル。32歳。
見た目はそこそこイケメンだが 話して3分でこいつはゲイだと確信した。
感情の波が激しく、嬉しさもイライラも大げさに表現してくれる。

休み時間、 「あの先生たぶんゲイだよね」と私。
クラスメイトが信じないので授業の会話の中で探ることにする。
マニュエルが「僕は結婚してます」と言うので
「奥さんとはいつ結婚したの?」と。
「なんで奥さんじゃないといけないの?」
「あ、だんなさん…」
どーやらオープンなゲイのようです。

ベルギーでは同性の結婚が認められている。
フランス人の彼がベルギーに来たのもおそらくそのためだろう。
実際「“愛”のためにこの国に来た」と言っている。

彼は自由に生きている。
授業には毎日遅刻してくる。
やっと来たかと思えば、教室でサンドイッチを食べながら教える。
先生のくせにペンを持ってない。
私のペンを持って何かを書き込んでは、それを私の届かない位置におく。
しばらくしてまた何か書きたそうで、私のところからもう1本持ってった。
せめてさっき取ったペンを使ってくれ…
授業が終わってから自分のペンを回収するのが私の日課。

感情のままに行動する。 久々にこんなにゲイっぽいゲイを見た。

「みんな、今日は注意してね。僕、ほんっとに疲れてるから」
そしてしこたま機嫌悪い。
いやいや、お金払ってるのはこっちなんで あんたのご機嫌を心配する立場にないんですけど…
公立小学校の教師じゃないんだから 「広島カープが負けたから今日は自習だ」とか言ってらんないよね。


基本的にはおもしろい先生で、全然嫌いじゃないけど
女子以上に女子っぽい彼についていけないことは多々ある。

「今日は僕、大事な電話を待っててイライラしてるから気をつけて」
でた~、この上から発言。 家族に何かあったのかな?

1週間ほどして、マニュエルが同僚に 「離婚して引っ越した」と話しているのを聞いてしまった。
そんな重大なことになってたのか。かわいそ~

と思ったのもつかの間。
どうやら浮気したのはマニュエル本人。
新しい彼と済むために引っ越したみたい。
先日イライラしてたのは、 新しく出会った彼からの連絡を待ってたらしい。
彼はマニュエルの連絡先を知ってるけど
マニュエルは彼のコンタクト情報をなくしたんだって。
それで、彼が電話をしてきてくれるか否かで 人生の分かれ道だったとの本人談。

あ、そーゆーことね。 それにしてもいちいち表現が大袈裟。
あんた、結婚してるんだから彼から連絡なければ

そのまま今の生活すりゃーいいんじゃん。 いい年して乙女だ。

そんな個人的事情で授業の雰囲気や進行を左右する自由人マニュエル。
そういえば、体の部位を説明する時、「おしり」の説明がやたら細かかった。
「お尻全体は~~、片方ずつだと~~、カジュアル表現では~~、悪いスラングだと~~」
自分のお尻をつかみながら丁寧に説明し、興奮状態のマニュエル。
どーも憎めない。

朝、女子が教室に入ってくると普通に「おはよ~(テンション低)」

男子が入ってくると「おはよ~元気?↑↑」と自ら握手しに行く。
いや、やっぱ憎たらしい。

マニュエルとの授業は先月終わり、今は別のベテラン先生カルメン。
おばあちゃんだけど、とにかくきっちり教えてくれる。
時間どおり始まり、教室中にトマトソースの臭いもしない。
まともな授業を受けられる幸せをかみしめております。